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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
139/345

120それは何かな?

 潜泳機の傍らに積まれた荷物を騎士たちは、手分けして次々と荷解(にほど)きして()く。リーシャたちは自慢に()らずとも慣れたもので、(ほど)いた梱包(こんぽう)材を邪魔に()らないようにとてきぱき片して()く。

 普段はマリオン先生も手伝って()れて6名と1羽で作業をして()()の作業場は、現在12名の人たちが加わり奪い合う(よう)に何かしらの作業に(たずさ)わって()るのだ。

 リーファ様とハンナ様は二人して興味津々で(ほど)かれた荷を覗き込む。うん、(なに)(なん)だか分からない(よう)である。(なに)しろ()()は全てばらばらの一部品でしか無いのだから。


「アリア殿下、()()の部品は全て一つのものと()るのですか?」


 ハンナ様は素直に直接()いてみる事にした様だ。


「一部は違いますが(ほとん)どが一つの(ため)(つく)られた部品ですわよ。()()を取り付けるには一部既存の機材や容器類の移動も必要と()りますの。()(ため)の図面も(こしら)えて()()りますわ」


 ハンナ様がアリア殿下の取り出した図面を覗き込むと、()(また)リーファ様も同じ(よう)にずいと顔を出す。


「後部貯水槽を退()けて……(いや)、縮小して空いた下側の場所に新しい機材を取り取り付け()される訳ですか。(しか)し、()れでしたら最初から潜泳機の後部が重量過多に()りませんか?」


勿論(もちろん)()れも考慮しての前方部への新しい機材追加ですわ。リーファ様」


「前方部には操舵席が()りますから色々と機材が入って()て、結構一杯一杯だと記憶して()りますが……と()いますか何を追加()されるので御座(ござ)いますか?」


 アリア殿下は少し得意げな顔をし自信を(もっ)(のたま)われるのである。


「大丈夫ですわ! チェロル様たち「ヒッ!」なら下手な技術者よりも余程頼りに()りますから、屹度(きっと)最善の方法で(なん)とかして(もら)えますわ! それから新たな取り付け予定のものは遠隔義腕の絡繰りですのよ! ()れが予定の構想図ですわ!」


 何気に希望的観測である。


「はあ、それでは拝見させて(いただ)きます。……案が2つ()るのですか。()の魚に手を生やした様な位置は何だか気持ち悪いですね。私は(ひげ)の案が(よろ)しいかと存じ上げます」


「気持ち悪いとか(ひげ)とか余り()の件に関わりが無い気がするのですが、まあ(よろ)しいとしますわ。チェロル様「ヒッ!」は如何(いかが)思われますでしょうか?」


 どうやらチェロルも興味をそそられたらしく、少し背を伸ばして覗き見て()たのが(あだ)()って逃げも隠れもできない様である。少しきょろきょろした(のち)(ようや)く答え始めた。


(ひげ)向きの方が前方部に付くから利用範囲が高いと思うんだよ! (あと)、正面中央は計器類の機材が多いから退()けやすいし、(ひげ)収納時は取り付け位置の関係から負荷が掛かり(にく)く耐久性も高いと思うんだよ!」


「はあ、リーファ様が変な(たと)えで言いますから(ひげ)で定着して仕舞(しま)いましたわ。ですが()れで決定(いた)しましたわね」


「ははは、……面目無い」


「まあ、取り()えず運んで()きましょう。ああ、アリア殿下が運んで(いただ)く分はもう無い様ですよ。皆さん鬼気迫るものが()って非常に(よろ)しいですね。チェロルさん「ヒッ!」……()の部品は何処(どこ)へ運べば(よろ)しいのでしょうか?」


「あ、うん! ()れは今リーシャ様が潜泳機の中で取り付けの準備をして()ると思うんで、其方(そちら)に運んで欲しいんだよ!」


(わか)りました。(つい)でに()(まま)取り付け作業を手伝って()ますね」


「チェロル様」

「ヒッ!」


 其処(そこ)には若干(なが)ら不服そうなアリア殿下が御座(おわ)しまし宣ひ(のたまい)けるは、


「新しい塗料が届いて()りました(はず)ですが、何方(どちら)()りますのでしょうか?」


「は、はい! 直ぐ使わないものは(ほとん)彼方(あちら)の隅に固めて()いてるんだよ! じゃあ私は潜泳機の作業に戻るんだよ!」


「ええ、判りましたわ。忙しい(ところ)、感謝(いた)します」


 逃げる(よう)にチェロルは潜泳機の中へ入って()く。(いや)、先程、人が大挙して入って()そうだから逃げて()たのではないのだろうか。


「アリア殿下は塗装でしょうか?」


「ええ、今回の水推進機関や遠隔義腕の取り付けで外側も何箇所か切り外し(いた)しますので、鍍金(めっき)やら塗膜やらが剥がれ(いた)しますでしょう? ですから最新の耐久性を備えた塗料も届いて()ることですし全面を塗って仕舞(しま)いましょうと考え(いた)しましたのですわ」


()る程、それでは私めも手伝わせて(いただ)けないでしょうか? (あぶれ)仕舞(しま)いまして」


「構いませんわよ。リーファ様」


「――()る程、矢張(やは)(あれ)()は推進機関の(たぐ)いだったのですね――」


 ()(つぶや)くとアリア殿下と護衛のエミリア様と共に、彼方(あちら)の隅とやらへ歩いて()く。どうやらリーファ様は謎の部品が何か尋ねようと辛抱強く待って()た様である。



---

修正記録 2017-06-26 07:04


ルビを追加


取り付けられる訳ですか。 → 取り付け()される訳ですか。


絡繰りでのよ! → 絡繰りですのよ!


(ほとん)此方(こちら) → (ほとん)彼方(あちら)


()(つぶや)くとアリア殿下と護衛のエミリア様と共に、彼方(あちら)の隅とやらへ歩いて()く。」追加


いた → ()

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