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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
131/345

112罷り成らぬ

 何だ彼んだといっても遊びの様な事を()って()る訳では無く、基本、彼らは潜泳機の試乗で態態(わざわざ)此処(ここ)(まで)来て()るのだ。事細かい計測や段階を踏んでの精査は、当り前に(こな)して行かなければ()らないのである。


「=中央上部の操舵(そうだ)席より連絡、水深8mの環境下で各計器類、各部状態の確認全て終わりました。それから硝子(がらす)の状態確認も此方(こちら)で間に合いました=」


「――まあ! もう(わたくし)は必要無いって事なのですわね。用済みの女ですか? ええ、甘んじて()の蔑称を受けますわ!――」

「――ベイミィ様、其処(そこ)は”新しい女ができたのですわね”を入れないと――」


「……了解した、(つい)此方(こちら)は水深15mへ移動するから引続き計測・観測を頼む」


「――用済みの女なの!――」

「――まっ!――」


「=……了解=」


(さて)、アリア殿下、予定通り操舵(そうだ)をお願い(いた)します。いざとなれば機体ごと御業(みわざ)で動かしますから御安心(いただ)ければ幸いです」


「ええ、先程の説明通り潜舵(せんだ)横舵(おうだ)の2つを同時に動かすのよね。では早速……ふむ、()る程、調整次第では(ほとん)ど傾きませんから適性御業(みわざ)を持つか計器類で判断しないと潜航の状況が(つか)めないのですわね」


「はい、逆に水平を保つ技術が顕著に現れますから、腕の善し悪しが露見して仕舞(しま)うかも知れませんですね。水深11m、12m……15m」


「――(ああ)(また)操舵(そうだ)の誉れを得ようと騎士訓練其方(そっち)退()けで、争う様に舵取(かじと)りを願い出るものが増えそうですね。ベイミィさん、そろそろチェロルさんを解放して()げては如何(どう)かな? 頬が真っ赤ですよ――」

「――エミリア様に免じて今日の(ところ)は許して差し上げますわ――」

「――ほふぇんふぁふぁい――」


「……潜舵(せんだ)横舵(おうだ)を0°に調整(いた)しました。ふむ、飛翔(ひしょう)機と違って速度の割に即座な反応が帰って()る感じですわ」


「まあ、()の分速度が出(にく)い感じですかね。水深15mを維持。各部、計器類の調査開始します」


「底が見えて参りましたわね。水深25mぐらいでしょうか」


()の辺りは大体20mから30mの水深ですね。(ただ)()れより浅い所も()るかも知れませんから注意は必要で御座(ござ)います。ん、左前方に魚ですね」


「あら、本当に魔落以外の生物が生息して()ります様ですのね。けれども目が普通に残って()りますので、矢張(やは)何処(どこ)か陽光下の水域から行き来してると推察できますわね」


「おや、目が残って()るのが普通では無いのですか?」


「ええ、地上でも話て()りましたニコライ先生から教えて(もら)いましたのですが、地下の光が届かない領域で隔絶されて生きる生物の多くは目が退化してると聞き及びます。逆に考えれば目を持つ生物が存在するならば此処(ここ)地底湖の水域は地上と(つなが)がって()りますと見て(よろ)しいかと。ええ、勿論(もちろん)(わたくし)何処(どこ)(つなが)がって()りますかは重大な案件ですから、()の調査に(おい)ては協力を惜しみませんわ」


「……ええ、()れは(とて)有難(ありがた)い事なのですが、調査には連れて行きませんよ。勿論(もちろん)の事ですが」


「ええっ!」


()の様な顔を()されても(まか)()りませんよ」


--


 ()れは少し前に行われたと()る2人の会話である。()れが()かれて()ると露知らずに。


「じゃあティロット、私が見本を見せてあげるわよ」


()きましょう!」


「さからいて あこうよしなに ひるもなし」


「んん! 逆らって赤魚(あこう)の魔落に……よしなだとうまい具合に遭遇か、止しなさいと言うのにって意味かな!」


「うん両方ね」


「昼もなしは地底湖だね!」


()れは、お昼ごはんそろそろなのにねと()う切実な気持ちを(つづ)ったのよ!」


「ええ! じゃあ季節の言葉は!」


「赤穂?」


「……もうそろそろ冬だよ! と言うかリルミール様、()れアリア殿下に聞かれて()たら不味い内容だよね!」


 ()の歌を詠むと()う行為には少々規則が()る様だ。5,7,5で詠む言葉に意味を当てるのだが、()れは複数()っても良いらしい。

 言葉から推測される意味を取って季節の言葉とする隠し要素も()り、(これ)()の場に()る題材とは余り関係が無いと見える。

 例えばティロットの詠んだ「そばすだき」であれば「蕎麦(そば)」は分かるが、「(すだ)き」だと群がると意味が分からない様に思えるが、「(ほだし)」で人を表し「蕎麦に集まる人たちで刈り取りから加工(まで)をする季節」とも取れるかも知れない。

 又、「昼もなし」を地底湖と取れるなら比喩や謎掛けの(たぐい)も使えるのだろう。一種の言葉遊びと()(ところ)だろうか。



「そんな怖いこと()わないでよ! あっ鳥肌立ったじゃない。ぞくぞくってしたわ!」



---

修正記録 2017-06-18 16:41


句読点を変更


と言うか()れ → と言うかリルミール様、()


「一種の言葉遊びと()(ところ)だろうか。」追加


---

修正記録 2017-06-18 07:43


硝子(がらす)の確認 → 硝子(がらす)の状態確認


↓追加

「――(ああ)(また)操舵(そうだ)の誉れを得ようと騎士訓練其方(そっち)退()けで争う様に舵取(かじと)りを願い出るものが増えそうですね。ベイミィさんそろそろチェロルさんを解放して()げては如何(どう)かな? 頬が真っ赤ですよ――」

「――エミリア様に免じて今日の(ところ)は許して差し上げますわ――」

「――ほふぇんふぁふぁい――」


潜舵(せんだ) → 「……潜舵(せんだ)


句読点を変更


ルビを追加


関係が無い様だ。 → 関係が無いと見える。


「そんな怖いこと()わないでよ! あっ鳥肌立ったじゃない。ぞくぞくってしたわ!」追加

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