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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
129/345

110支え合う

 アリア殿下に(しっか)りと(つか)まれて()るリーシャの後ろから、更にしがみ付いて()るものが居た。


「うぐ、ラクス様、私たちを支えて(いただ)けるのは有難(ありがた)いのですが、(そもそも)波が来ると()うのに梯子(はしご)へ身を置いた(まま)()るのは危なくないですか?」


「ん、私も危ないと感じたからこそ、(しっか)りとした場所にしがみ付いて()るのですわよ。ほら1本だと簡単に倒れますけれど3本なら安定するのではなくて?」


(いや)、3本と(たと)えた時点で、(しっか)りとしてないではありませんか。もう、本当に危ないのでちゃんと(つか)まって()て下さいね」


 ()の様にアリア殿下が御座(おざ)なりな対応を()る訳は、(いま)だに潜望鏡を覗き見て()るからである。

 ラクス様も()の様な心許(こころもと)無いアリア殿下を見兼ねてか、支えに来たのであろう。屹度(きっと)


「中央上部の操舵(そうだ)席より連絡、水深90cmに上昇しました」


「=前方部より連絡だよ! 若干注水して()て様子を見るよ!=」


「巨大な魔落とやらは前方70mを横切るのですわね。今、潜泳機は北東へ向かって()るのですから、北西()しくは南東の何方(どちら)かから来るのですわね。まあ! ()う言えば()の事を()いて()りませんでしたわ! イザベラ何方(どちら)から来るのですか?」


「少し御待ちを(いただ)けますか。……はい、右から左に進み西北西へ向かう様で御座(ござ)います」


(わか)りましたわ。右から……んん、暗くて()く見えませんわね。……あら、(あれ)でしょうか何か波の様に盛り上がって近付いて()ますわ。リーシャ様、(あれ)ですよね?」


()()れ失礼しますね。はい、記憶に()背鰭(せびれ)が見えて()りますから間違いないです。(あれ)が巨大魔落と私たちが認識して()りましたものです。此方(こちら)に向かって()る様子は無さそうですね。はい、どうぞ引続き台覧(たまわ)りませ」


「ええ、()る程、()の波が此方(こちら)(まで)届く際が、危険と()う事ですのね。そして()の潜望鏡で見遣(みや)る限りでは、実際の大きさが(わか)(にく)い様ですわね。ふむふむ。此方(こちら)は……(ああ)矢張(やは)()だバルパルさんは諦めて()りませんですのね。素晴らしいですわ! おっと、辛い事ですが我慢ですわ!」


「……」


「=前方部より緊急連絡、総員、()れより波が来るので注意せよ=」


()の距離で水中からでも見えるのですか?」


「私は()れだけ近付けば御業(みわざ)で見えますが、操舵(そうだ)席の方たちであれば影を認識できる程度ではないでしょうか。状況把握はマギーの監視報告で得て()るかと存じます」


()れも()うですね。あら、特に見せ場も無く通り過ぎて()きますわよ。まあ波は置いて()きましたけれど」


「いえ、見せ場が()っても此方(こちら)は早々に退避しましから、御期待(いた)されていらせられる光景は望み薄だと存じます。中央上部の操舵(そうだ)席より連絡、水深90cm変わらず維持してます!」


「ええ、残念ですが(いた)し方無いですわ。あっ、待って(もら)えますか? 中央上部の操舵(そうだ)席より連絡、皆様、波が到達しますわよ」


 リーシャが伝声管の蓋を閉めようとするとアリア殿下は()れを(とど)め、自分もと(ばか)りに連絡事項伝える。実に満足そうだ。

 潜泳機は波に乗る事で大きく機体を上下する。海原で船の揺れにも乗り慣れて()るのか、それとも日頃から行って()飛翔(ひしょう)板を乗る訓練の(たまもの)か、エミリアたち近衛騎士の面々は涼しい顔で立っている。


「中央上部の操舵(そうだ)席より連絡、此方(こちら)波の影響無しですが水深1m20cmに下降しました」


「=前方部より連絡、()れより反転して深度を更に深めた確認を行う。潜望鏡は収納するように=」


「中央上部の操舵(そうだ)席、了解しました。ではアリア殿下、もう潜望鏡を仕舞いますね。と言うか二人共もう波は過ぎたので、そろそろ離して(いただ)けませんか?」


「あらあら、沈んで()く潜望鏡にバルパルさんが何か訴え掛けて()るのですが、全く聴こえませんわ。マギーさん守り抜きましたわね。後で褒めて()きましょう」


()れは善き事ですね。ミーアの悔しそうな顔が目に浮かびます」


「エミリア隊長、()れは人が悪いと言うものですよ……」



---

修正記録 2017-06-16 06:42


どうぞ御高覧(いただ)けますか → どうぞ引続き台覧(たま)りませ


訓練の(たもの)か → 訓練の(たまもの)


---

修正記録 2017-06-16 05:51


句読点を追加


今は北東へ → 今、潜泳機は北東へ


何方(どちら)かですわね。()う → 何方(どちら)かから来るのですわね。まあ! ()


向かう様です」 → 向かう様で御座(ござ)います」


「あっ、待って(もら)えますか? 」追加


リーシャが蓋を → リーシャが伝声管の蓋を


120cm → 1m20cm


前方部より緊急連絡、()れより反転して → 前方部より連絡、()れより反転して


深めて確認を → 深めた確認を

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