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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
124/345

105交渉

 暗闇の(とばり)に隠されて()(はず)の地底湖は、今や100m以上の視界を照らし出して()る。

 以前であればマギーさんに30m程先行して(もら)って()たのだが、()れだけ視界が確かであれば周囲を自分たちの目で見ても十分判断できる(はず)だ。


『バルパルとの距離、50mを間もなく切ります。減速を願います』


「了解! バルパルとの距離50mに接近、減速を開始するよ!」


 うん、判断というかチェロルは目標を認識して()たかも怪しいぐらだ。


「ああ、()りましたわ。少し左手ですわね。喫水線が微妙な所に()りますから、少し下げて()いても(よろ)しかったのかしら」


「まあ、単独航行でしたら()うでしょうが、今は先導が()ります故、特に問題は無いでしょう」


「ええ、理解しましたわ。リーファ様、確かに潜泳機の場合は自らの視界に頼った航行よりも、先導や水中音声蒐集(しゅうしゅう)機の情報から判断しての航行を心掛けた方が(よろ)しいですわね。()う言えば背鰭(せびれ)みたいな監視所は、先程の接近を把握して()たのかしら」


「はい、姫様。減速を開始するのが遅いと確認の連絡を入れるべく、蓋を回して()られた(ところ)で減速に至った模様です」


「……蓋も安全策には欠かせませんが、もう少し取り回しの良いものを開発せねば()りませんね。ルトアニアへ戻ってからの課題と(いた)します。ところで、マギーさんは()の潜泳機が来る前の()だ暗闇の状態ですら、400mの距離を見通して()りましたが、他の方というか普通は()の位のものなのですか?」


「ふむ、普通はと言うか私は()れなりに鍛えて()りますが、100mが限界でしょう。リーシャで多分300から400m、マギーさんだと500mは何となく把握して()りそうですし、ハンナ様だと600m以上だと予測して()ります」


()る程……まあ! (あれ)がバルパルですか、尻尾が太くて蜥蜴(とかげ)みたいですけど、ん? 平べったいのかな。愛嬌の()る顔ですわね」


「リーシャ、外に出てバルパルと交渉して()れないか? 我々と一緒に散策をして()れるなら後で狩に付き合って()るぞと」


「=はい、了解(いた)しました=」


「リーシャ様は従魔と会話できるのですか?」


「ええ、従魔は知能が発達して()る個体が多いですから、気合で行えば意外と通ずるものですよ。リーシャやチェロル「ひゃい」……ああ、何でも無い済まないな。()の2人はメルペイクと常に接して()るからか、特に意志の疎通が()(やす)い様です」


--


 ラクス様とリーシャは後方部の部屋に居た。


「予備の飛翔板ですか?」


「ガチャ」

「はい、よっと、どうせ重量を増やすなら置いて()って問題ないかなと思いまして。(ただ)、力作を置くとチェロルが持って帰って仕舞(しま)うので困りものなんですけどね。では行って()ます」

「中々些細(ささい)な事でも大変ですわね。行ってらっしゃい」

「ガチャ」


「カチャ、カチャ」

唯今(ただいま)戻りましたわ。あら、メアリーさんはアリア殿下にお茶を御出しに行って()ましたのね」


「はい、丁度(ちょうど)良い頃合いかと存じまして、矢張(やは)り姫様の体調管理をしない訳にも行きませんから、機会を待って()りました」


本当(ほんと)()ういった機微の判断力は関心させられますわね。()れを回せば良いのよね。おっ、おお」


 メアリーもイザベラ様も微笑(ほほえ)ましく見守って()るのだが、洗練された()の2人に(おい)ては(おくび)にも出さないのである。


「ラクスは監視任務の引き継ぎですね?」


「ええ、此処(ここ)には窓硝子(がらす)()りますから、私の【水晶】とも相性が良くて外に気を送る事も容易いのですわよ。うん、リーシャと従魔さんは(はた)から見れば何だか(まる)で本当の会話をして()る様に見えますわね」


「どうやら交渉が(まと)まった様ですね。後でバルパルが狩りへ()く時に(おとり)役をすると()ったら、喜んでご機嫌さんだとか本当に言葉を理解して()るのでしょうね。あらあら、アリア殿下が狩りに参加する事を表明遊ばされました様ですね」


如何(どう)あっても魔落を()の目で見たいと()う事ですか?」


「ええ、現状だと()の潜泳機に恐れを()して近寄らないそうですから、何方(どちら)にせよアリア殿下は一計を練っていらせられたと思いますよ」


「確かに、矢張(やは)りリーファ様の様に護衛が増えたと喜ぶべきでしょうか」


「カチャ」「カチャ」

唯今(ただいま)戻りました。って上がって()るし」


「お疲れ様でした。此処(ここ)(まで)昇っていらっしゃい」


 ラクス様がぴしゃりぴしゃりと座席を叩くのをリーシャは眺め、ふうと一息()き鉄の梯子(はしご)()じ昇り始めた。



---

修正記録 2017-06-11 06:18


暗闇に帳 → 暗闇の帳


(はず)。 → (はず)だ。


幾つかの句読点を追加


「ラクス様とリーシャは後方部の部屋に居た。」追加


監視任務 → ラクスは監視任務


リーシャと従魔 → リーシャと従魔さん


(まる)で会話 → (まる)で本当の会話


ラクスがぴしゃりぴしゃり → ラクス様がぴしゃりぴしゃり

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