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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
122/345

103警護

 2回目となれば手順も注意事項も()る程度はでき上がって()るもので、マリオンは早々にミーア様へと引き継ぎを済ませて奥の階段から新しく増築した部屋、遠隔気力通話器を設置して()る言わば通話室へと配置した。

 ハンナ様から何ならリルミールを留守番に置きますよと提案されて()たが、他の時ならば()れでも良いけれど、アリア殿下を乗せた潜泳機との中継任務を帯びた連絡員としての待機ですから、責任は重く()し問題が発生でもしたら些細(ささい)な事であっても(しっか)りと対応しなければ()らないのですと断ったのだ。

 ハンナ様としても()れ程重要な護衛にリルミールとティロットの2人の新米を連れ往くより、熟練の騎士たるマリオンに来て(もら)った方が安心なのだが、確かに其方(そちら)も重要であるからして難しいものである。



 作業場で天井の大型気灯の明かりを消したのはティロットである。ミーア様がイザベラ様から連絡を受けた時には既に向かって()り、声を掛けると()ぐに消して()れたのだ。

 石祠(せきし)を斬ったとぽろぽろ泣いて()た若い騎士だが、イザベラに通じるものが()るかも知れないと認識を改めるのであった。

 そんな事を考えつつあるミーア様だが、引き継いだ段取りを()さなければ()らない。何時(いつ)ぞやから閘門(こうもん)は、作業場と水路の隧道(ずいどう)(トンネル)を完全に隔絶する少し大きい岩板と()って()た。()れを一度2つに分けてから退()かす必要がある。といっても【岩】の御業を持つものであれば継ぎ目を消すだけなのである。


「[岩よ()から()ね]」


 ミーア様は壁に手を付けて【岩】の御業を(もっ)って正確に調べると、壁と岩板、そして2つの岩板を(つな)ぐ接合素材として()えて変えられた異質の岩を探り当て消したのである。

 2m弱程ある岩板と8mの岩板が同時に退()けられ宙を浮き、()(まま)片隅へと()けられる。


「イザベラ、閘門(こうもん)岩を退()けました。(つい)で地底湖の出口を塞ぐ岩扉を開けに参りますと、()の様に伝えて」


 勿論(もちろん)、マギーも【念話】でリーファ様やチェロルに伝えて()るが、イザベラは(もっぱ)らエミリアやミーアと念話をして()るのだ。

 ミーアは飛翔板(ひしょうばん)を水路に浮かべて飛乗ると勢い良く滑り出す。()の試乗を始めるに当たって念入りに話し合ったのだから、水上を飛翔板(ひしょうばん)で滑走すると魔落が気付いて、寄って()ることぐらいは()いて()る。

 だが誰かさんが大波遊びをして以来、岩の扉は()()く閉める事と()って()る。

 それに潜泳機の試乗をして()る間の警護は、水上に浮かべて推進すると決まって()る。

 まあ、平たく()えば(おとり)である。といっても、”来るなら此方(こちら)を目指して下さいね。釣れたら()(まま)斬って捨てるだけですよ。”の意味が含まれて()る。

 (ただ)、水中の音を理解して()るのであれば12mは()()れなりに大きい潜水機が、水を()き分け移動するのであるから正常な判断力が備わって()れば、本来近付きはしないであろう。


 ミーア様の後ろにはマギーとティロット、リルミールが続く言わば先行部隊に類する形だが、実質ミーア様とマギーが戦力で残り2人はお荷物と()り兼ねない。

 残り4人、ハンナ様率いる熟練の騎士たちは後ろを固める訳だが、()()れだけの群を襲って()るものが居るのなら、()れは後ろからだろうと皆の意見が一致しての配置である。()して不慣れな新米騎士は後方警戒が(おろそ)かに()りがちなのだ。

 ハンナ様がリルミールを下げたかった理由が()の事に()る。詰まり先行部隊の編成が薄く()って仕舞(しま)って()(ため)、補強したかったという事である。


「イザベラ、岩扉を開けて周囲を確認して()ます。ん、マギーさん何でしょうか?」


「南西400m程の位置に神官長の従魔が壁近くを泳いで()ります。懐中気灯の光で此方(こちら)に気が付いて向かって()()りますが、特に気に(いた)さなくても(よろ)しいかと存じます」


「水深20mしか(さぐ)れて()りませんが、異常なしであります!」

「――えっ! 私が15mしか探れないのに同じ【海水】よね? どういう事なのよ?――」

「――此間(こないだ)から此処(ここ)で頑張って練習してました!――」

「――くっ――」


「……イザベラ、異常は無いが神官長の従魔が南西400mの位置から此方(こちら)へ向かって()るそうだ。(わか)った。()(まま)潜水せずに南西に200m程進むそうです。四方を固めて警護します」


「了解!」×3



 次回は、この会話の続きとなります。

 思いついた展開が600文字を超えそうだったので、諦めました。

 忘れないようにと昨日さらっと書いた文字が400文字でした……。


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修正記録 2017-06-09 06:10


此方 → 此方(こちら)

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