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アリアは知らない  作者: taru
二章
12/345

05広がる闇の世界

魔窟の巨大空洞絵を描きました。

雰囲気が伝われば良いのですが。

http://ncode.syosetu.com/n9385dv/2/



 どうにか光幻親衛隊の隊列を立て直し進軍を開始した。アリアには全ての視野や感覚を朧気(おぼろげ)ながらに把握していた。それを半自動とはいえ全ての統率を取っているのだから器用であると言えよう。いや【器用繊細】も加わっているのだろうか。

 するとまた揺れである。先程よりは緩いが岩は多少なりとも振ってくる。アリアは()えて光幻たちを残し回避の練習である。余念がない。


『ちょっとキツイですわ、少し数を多くしすぎましたわね。いえ、今のうちに慣れなくては』

 ふとアリアは思う。今まで感じていなかった。いや阻害されていた繋がりが戻った様な気がザワザワと心を刺激する。今ならもしかして()れを手繰(たぐ)()せられるかもしれない。だけどまだ早いと感が(ささや)く。力を付けなくてはと。



---


『……あれは溶岩が流れているのでしょうか』


 それは暗闇を薄っすらと照らす橙色(だいだいいろ)の河。たまにアリアがやらかした時に作る液体よりは温度が低そうなので1000度くらいだろうか。

 先陣を進む光幻騎士の視界に縦穴の縁から覗く景色が見え始めた。【暗見】のお陰で明かりの少ない暗闇の中でもその情景が見える。その全貌は岩の坂階段を降りるに連れて徐々に明らかになりつつあった。


 そこには広大な見渡す限りの空洞があった。時折200m程の岩柱が不格好に支えられるのかと疑問にさえ思える形でいくつも立っている。大地には森らしきものと大きな河が流れている。あっ! こっちは本物の河ですよ。

 そして何より目立つ不気味な薄紫の珊瑚(さんご)のような柱は上と下に(つた)や血管のような(くだ)(いく)つも四方に張り巡らしている。その中央は何故か崩れ罅割(ひびわ)れており、目に優しくない光がチクチクと指し輝くのが()れていた。


『確かに驚きましたわ。この広大さ規模、さらに何から何までひっちゃかめっちゃか。だけどそんなことよりも、見つけましたわ!』


 アリア(模)を操作して人差し指でビシッと力込めて指し示す演技は忘れない。



 降りるには縦穴の出口の(ふち)辺りからだらりと降りた岩を伝って行けるようだ。残念ながら縦穴の時のような道らしきものは無かった。

 いまアリアは非常に真剣であった。如何(いか)にそれっぽく光幻たちに岩肌を()い、しがみつき降りさせるか。

 勿論、アリア(模)が足を滑らせてミーア(模)が受け止める演出も忘れない。


 アリアは考えていた。自分ならこの岩柱を監視するだろうと、敵対者の戦術を想定し自分の取れる手段を模索する。自分の体を取り返す為に。その肩には小さな光幻が座っていた。



---


「姫様はこの先に向かったようだな」

 エミリアが眺める洞窟の通路内には、凄まじい数の死兵だったものが散乱していた。


『これを姫様一人で倒したのだろうか、いや聖光を放って灰と成っていたものは分かる。だが此処(ここ)に転がる多くの鎧を(まと)った白骨の兵は【剣技】によって切られた後がある。何よりこの太刀(たち)、私の剣に似ている。いや少し無駄に飛び跳ねているが同じ型を学んでいるのは確かだ。

 まさか最初に向かった捜索範囲と逆の方向に進まれるとは……、入れ違いになったのか? しかし最初には一切痕跡(こんせき)が無かったではないか、想定外の事が起こりすぎている。先程の大きな揺れ、【岩】の御業持ちが3人居て何とか危なげなく乗り越えたが……。


 そろそろ隊の分割してルトアニア領へ向かわせた方が良いだろう。旅の途中だったとは言え食料も残りわずかか……。関所まで辿り着けば遠隔気力通話機を使って親衛隊の本体を動かせる』


「先へ進むぞ、道中些細な機微も見逃すな!」


『進むに連れ死兵の果てた数が増えている。姫様は何故この先に向かったのだ。何が在るというのだ』



 そこは大きく穹窿(きゅうりゅう)状に広がった空間だった。最奥の壁は光が届かず見えない、いや入り口周辺しか懐中気灯の光は照らせていない。異様な空気感があった。途轍(とてつ)もない淀んだ濃い魔気が何処からともなく(あふ)れている気配が伝わってくる。


 鎧が無数に折り重なる広間の入り口に、ゆっくりと進んだエミリアたちにアリアの残した【残留思念】の伝言が伝わった。


『エミリア、他の皆も……、私はね死んでしまったみたいなの。幽霊なのかな。体が透き通っていてね物が触れなくなっちゃたの。


 ……もしまだ私の体を探しているなら止めなさい。

 そしてルトアニアへ戻るのです。これは私の最後の命令です。』



『自分の眉根が寄るのを知覚する。見ずともメアリーの顔がこわばっているのが分かる』


 エミリアの声は意図せず大きくなる。


「ラエル、今、姫様はっ!」


「無事です。依然に衰えた状態とお見受けしますが【守護】の繋がりは切れておりません」


 【守護】は自らを守れない代わりに恩恵が多い。主をお守りする強固な結界。主の命ある限り(ほどこ)した守護は切れず、繋がりからある程度の主の状態がわかり50kmは効果範囲となる。

 ラエルの【遠見】は閉鎖された場所は見通せないし地下洞窟も厳しいだろう。


 調べた結果、この広大な広間の中心に巨大な縦穴が存在し、奥に下へと降りれそうな道が続いていると報告を受けた。


「ミーア、【岩】持ち1名残り6名選んで関所へ走り船の使用許可を、親衛隊を此処(ここ)へ連れてきなさい。戻り次第この縦穴を降ります。

すまないが食料はギリギリしか渡せない」

「ハッ、直ちに準備します」

 ミーア副隊長も【岩】持ちだから都合が良い。此方はメアリー1人居れば問題無いだろう。

 親衛隊とミーア、メアリーで【岩】持ち5名、【木】持ち8名。ぶち抜いて船を入れるか。



わかったのが

・ルビが如何に思考妨害しているか

・プレビューを見て修正するのは効率的

・プレビュー無しで作業するのは至難


---

修正記録 2017-03-11 20:07

前書きに魔窟絵のURLを追加 http://ncode.syosetu.com/n9385dv/2/


---

修正記録 2017-02-22 18:10



ルビ追加


幾つかの改行追加


珊瑚 → 薄紫の珊瑚


光幻たちを岩肌を這はいしがみつき降りるか。 → 光幻たちに岩肌を()い、しがみつき降りさせるか。


一部エミリアの思考部分を『』で括る


入り口 → 入り口周辺


「エミリアの声は意図せず大きくなる。」追加


地下 → 地下洞窟

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