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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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98地底湖は催しが沢山ある?

 にこにこと満面の笑顔を見せるアリア殿下に、(しばら)く黙って()たリーファ様は根負けしたのか(ようや)く口を開いた。


「はあ、仕方が無いですな。ハンナ様、護衛の数を増やす(ため)に協力をお願い(いた)したいのですが、例の小隊を出して(いただ)けますか?」


「ええ、()ずは皇太后陛下に御報告してからに()りますが、()の御方はアリア殿下に大変御甘く()さる故、滞りなく御許可(いただ)けると存じますよ」


 何気にハンナ様は毒を吐かれて()るが、アリア殿下の(かたく)なな笑顔を崩すには至らなかった。


「はい、(よろ)しく頼みます。では後、一応簡単な説明をして()きますと、地底湖へは飛翔板(ひしょうばん)で向かって(いただ)きます。(これ)は長い階段を下りるとか水上移動とか何かと便利なので欠かせません」


「水上では船の様に扱えば良いのですね。チェロル様「ヒッ!」の様に……」


「ああ、忘れて()りました。水面に飛翔板を浮かべると魔落が襲って()る場合も()りますので、今回は水面に着水せずに常に飛翔を保って(いただ)きます」


()うなのですか、残念ですわ」


「……話を戻しますが地底湖に着いてからは東へ20m程移動した所に、潜泳機を整備して()る作業場を造って()ります。()の作業場(まで)本の少しの距離でありますが其処(そこ)は既に魔窟なのですから、十分の注意を御願い(いた)したいのと、魚の魔落を確認して()りまして(かず)自体は少ない様ですが、先程も申しました通り水面や水中の音に敏感で遠く離れて()ても察知して敵対行動を()るものが()ります」


「ええ、何でも水中では音が()く響き()く伝わると聞き及んで()ります。丁度其方(そちら)にお送りした水中音声蒐集(しゅうしゅう)機も()の事を利用する(ため)のものですわ」


「はい、()だ試せて()りませんが中々興味深いものです。()()う、バルパル……(いや)、宮殿付き神官長が従魔を飼って()りまして尻尾合わせて3m程()(かわうそ)(たま)に地底湖を遊泳……いえ、魔落の狩りして()るので攻撃しないで(いただ)きたい。それから魔窟の主の様な存在と見られる巨大な魔落の魚、()れは一部分しか見た事が無い(ため)に大きさが(わか)らないのですが、20m以上は()るものが居りまして特に敵対行動を()って()る訳でもないので、()れは見掛けたら巻き込まれない様に素早く逃げます」


「逃げるのですか……(かわうそ)に巨大な魔落の魚ですか、催しが沢山()って(よろ)しいですわ」


 何気に近衛騎士2人の顔つきが若干引き気味で()るのは気の所為(せい)だろう。


「ちゃんと逃げて(いただ)けないと困るのですが……、以上の事を踏まえ地底湖へ連れて行く殿下の信頼に足る護衛を、3名程選抜して準備に取り掛かって(いただ)けますでしょうか?」


「ええ、ミーア」

「はい」

「メアリーとイザベラ、それから……チェロル様が「ヒッ!」怖がらない様に、見知ったラクスと(いた)しますわ。準備するよう伝えて()(もら)えるかしら」

(かしこ)まりました」


「メアリー? 騎士では無く侍女を連れて行かれるのですか?」


「ええ、どうやら今回マギーさんは騎士として控えて()る様ですので、()し地底湖の作業場とやらで騎士の方にお茶汲(ちゃく)みをさせたら、(わたくし)専属である侍女たちの矜持(きょうじ)(すた)()うなのですわ」


()ういうものなのですかマギーさん?」


「はい、悲しいこと(なが)ら侍女の矜持(きょうじ)に触れるとかで、派出所の炊事場を追い出されて仕舞(しま)いました」


「まあ、メアリーであれば騎士と変わらず護衛が可能だとは思うが、ラクス嬢よりは安心か……」


--


 ()うしてアリア殿下を御連れした一行は何やら丁重に梱包(こんぽう)された荷物を飛翔板に(くく)り付け、地底湖へと続く階段をちょっぴり慎重に降りて()く。


(あれ)が特別な機材とやらですか、随分丁寧に包んで()るのですな」


「――一寸(ちょっと)リーシャ! 何で私(まで)巻き込まれて()るのよ!――」

「――リルミール様、余り声を荒立てると周りに聞こえて仕舞(しま)われます。如何(どうか)かお静かに落ち着いて下さい――」


「……ええ、包まれたのは開発元ですから詳しいことは分かりませんが、丁寧に扱った方が良さそうですわね。()ういう意味ではマギーさんの縄(くく)り技術は助かります。随分と慣れて()られる様に見受けられますわ」

「ああ、此処(ここ)へ届いて地下へ降ろす荷物は大概と言うか全部マギーさんに(くく)って(もら)って()たから、元々上手だったのだがもう芸術と言っても良いだろうな」


「――だって私はてっきり今日も派出所で留守番をして、侍女さんたちと刺繍に興じて()ようと思って()たら、明らかに派出所も施設も人で(あふ)れかえって()るし、有無を言わせず此処迄(ここまで)連れて()られたのだけど……()しかして()しかして何だけど――」

「――ああ、はい、リルミール様は()の時に()ぐ退出して()ましたのでしたね。アリア殿下が矢張(やは)り地底湖へ往く事を御望みに()られて、(これ)にリーファ様は奮闘(むな)しく説得を断念()されたのは仕方無いとして、地底湖を知る人を増やす訳にも行かないので藁にも縋る思いで――」

「――私! 藁ですかっ!――」


其処(そこ)、聴こえて()るぞ……」


「――ヒッ!――」×3


「チェロルは関係無いだろ……」


「相変わらず愉快な方たちなのですわ……」



---

修正記録 2017-06-04 06:53


「はい、()だ試せて()りませんが中々興味深いものです。」追加


遊泳…… → 遊泳……いえ、


幾つかのルビを追加


一部 → 一部分


「特に敵対行動を()って()る訳でもないので、」追加


「逃げるのですか」追加


気味で()るは → 気味で()るのは

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