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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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95迎賓館?

 ()れは他の中型飛翔機(ひしょうき)と明らかに違かった。勿論(もちろん)装飾や装備が違うのは当り前だが、()うでは無く()れを操舵(そうだ)するものが誉れを受けるに相応(ふさわ)しい腕前と()うことだ。

 洗練された動きが物語るは言わずもがな、操舵(そうだ)とは()くの(ごと)し。


 飛翔機は静かに其処(そこ)へ着陸して推進機関を停止した。リーファ様たちや近衛騎士たちが、整然と居並び礼を()る。

 上空には(いま)だ幾つかの飛翔機が残り、編隊飛行を崩さずに旋回し続けることで警戒体制を維持して()る。


 其処(そこ)には荘厳で圧倒的な雰囲気は無い、と()うか微妙だ。所詮草が(まば)らに生える派出所裏の空き地だ。片付け忘れた前衛的な切込みが入った岩芸術が所々に飾られて()るが、()れは(また)別の話である。

 そそくさと現れて簡易階段を抱えた近衛騎士が、()れを飛翔機の横に設置して再びそそくさと()の場を離れて()く。


 護衛の任を(つかまつ)ったミーア副隊長が飛翔機横の扉を開けて出て()ると、周囲を(しっか)りと確認した(のち)にアリア殿下へ声を掛け、御守りし(なが)ら殿下を伴って飛翔機から簡易階段を使って降りて()る。

 ミーア様がするりと後ろへ控えたのを合図に、礼を()りずらりと並ぶ(みな)の前(まで)アリア殿下は躍り出る。


「出迎えご苦労、リーファ様、ハンナ様、リーシャ様と派出所の皆様方、()の様な場です。儀礼的挨拶も言葉も抜きにして()ずは()うですわね。派出所へ案内して(もら)えますかしら? 其処(そこ)で秘密の場所を教えて(もら)いますわ」


 まさかとリーファ様は()の答えの示す事実を否定したかった。


「秘密の場所ですか?」


()うですわ。私も流石に派出所で潜泳機? でしたわね。()れが開発されて()るとは思って()りませんことよ。態態(わざわざ)派手に陽動して此処(ここ)へ目を向けさせたのですから、後は陽動の騎士団を此処(ここ)へ残し秘密裏に潜泳機の許へと向かいますわ! って何故(なぜ)()の様な困った顔をして()るのですか?」


「長旅で御疲れも御座(ござ)いましょう。派出所は()の大きな建物の横に()る小さな建物でして殿下を御迎えして安らいで(いただ)くには不十分です。丁度リーシャやチェロルを尋ねて()られる御方々を迎える(ため)(こしら)えさせて(いただ)いた、迎賓館が御座(ござ)いますので其方(そちら)へ御案内(いた)します。此処(ここ)ではゆっくりと話すこと(まか)り通り兼ねますから」


「そ、()うですか、()の大きい方が派出所と思うて()りました。()れで取り計らいなさい」


(かしこ)まりました。エミリア様、迎賓館の屋上は飛翔機が数台乗っても問題ない設計と()って()ります」


「はい」


 エミリア様は頷くと(ただ)ちに【念話】で中継して(もら)い、迎賓館? と()われる建物を警備すべく指示を出す。

 そして、警備体制の変更が整ったとの連絡を(もら)うと、リーファ様へ礼を()って合図を送る。


「では(まか)り入りましょう」


「――(ああ)、本来其処(そこ)へはおいそれと入れないのね――ええ、参りましょう。折角、色々苦労して騎士団を連れて()たのに(なん)だか無駄に()りそうですわ」


「ほう、(なに)か色々細工()されて参りましたのでしょうか?」


「ええ、今回、飛翔機の気灯を此方(こちら)に送りましたものと同じ新式のものへと変えた事で、夜間飛翔が可能と()りました。其処(そこ)12の刻(昼夜)を問わず騎士団単位で移動する演習も兼ねた訓練と称し、枢機院(すうきいん)の許可を()だけ(・・)告げて()ぎ取っ……(もら)いましたのですわ」


()れは、此方(こちら)ラギストアや関係騎士団などへは連絡(いただ)いて()りますのでしょうか?」


「……ええ、騎士団の行動詳細は(わたくし)も同行(いた)しますので、極一部の方しか知らせて()りませんわ。ちゃんと太上皇陛下、皇太后陛下、トロスト大公殿下には演習・・として、宮殿区画の外を通りますと連絡差し上げて()りますのよ。(ただ)、夜間演習を通して参りますので何時頃(いつごろ)()るかは(わか)らないと……()()う直前まで()の演習の話を教えられなかったら、騎士団が()の様な行動を()るか面白いかも知れないと、太上皇陛下は(のたま)いて()りましたわ。()の土地の風土は計り兼ねますわね。まあ、此処(ここ)南東側の区画は皇太后陛下が御座(おわ)す所の()ぐ近くですから、宮殿側は女性皇族方の近衛騎士団が集中して警備に当たって()りますし、離宮には皇帝陛下の旧近衛騎士団が留守中詰めて()りますから、過剰警備と()()ぎですし大して動揺はしないでしょう」


 当然、ハンナ様もリーファ様も困った顔をして()る。風土と言うより皇族の血筋が悪戯(いたずら)というか困難な経験を(もっ)て糧と()させることが好きなのではないだろうか。

 アリア殿下は豪華な裏扉から迎賓館? へと案内される。成る程、立派なそれでいて派手さを抑え適度に(つつ)ましく気品を醸し出して()る。


此処(ここ)が迎賓館こと石祠(せきし)通路隠蔽(いんぺい)施設(しせつ)兼皇太后陛下管轄(かんかつ)近衛(このえ)屯所(とんしょ)であります」




「えっ?」



---

修正記録 2017-06-02 00:44


先帝陛下 → 太上皇陛下


改行を追加


---

修正記録 2017-06-01 07:12


幾つかのルビを追加


此方(こちら)のラギストアや騎士団 → 此方(こちら)ラギストアや関係騎士団


(わたくし)も同行(いた)しますので、」追加


此処(ここ)南東区画は → 此処(ここ)南東側の区画は


御座(おわ)す所ですから、女性皇族方の

御座(おわ)す所の()ぐ近くですから、宮殿側は女性皇族方の


近衛隊 → 近衛騎士団


過剰警備過ぎですし → 過剰警備と()()ぎですし

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