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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
108/345

89届け物

 今日も今日とて朝が来る。何時(いつ)もの(ごと)くティロット御所望の岩を(つく)るリーシャの傍らでは、ベイミィが朝稽古其方(そっち)退()けで(しき)りにお(しゃべ)りを(きょう)じて()るのは()れも(また)何時(いつ)も通りの事である。


「それで、ライチェったらすっかり宮殿侍女の様に振る舞って()て、何と()うのでしょう(はく)が付いたと申しましょうか。()(かく)ミリザさんの教育が(すご)いのかしら見違える程の……あ、マリオン先生、お早う御座(ござ)います」


「お早う御座(ござ)います。マリオン先生」×3

「マリオン様、お早う御座(ござ)います」

「チィチッチィ」


「はい、お早う御座(ござ)います。今日、リーファ様は一寸(ちょっと)ややこしい? 問題を話し合われる(ため)、昨日に引続き直接宮殿へ向かわれた様ですね。(ふみ)(したた)めるのも(はばか)られるから詳しくはリーシャにでも()いてお(くれ)、と此方(こちら)に連絡が入って()たので後で教えて頂戴ね」


「はい、あっ! ()れ余り此処(ここ)(しゃべ)らない方が良いのですか?」


「ええ、今日も作業場に行く予定だから其処(そこ)で、()う、リーファ様から()れも支持されて()たのだったな。施設内にリーシャとチェロルの作業場が()ると、取り()えずそんな話にして()く事に()った様だね。何方(どちら)にせよ2人の(つく)るものは秘匿事案だからとの事だよ」


「何だか腫れ物扱いしてませんですか?」


「いいや、良い隠れ(みの)の方だね」


「私に隠れる所なんて無いよ!」


「2人共注目されてて羨ましいな!」


貴女(あなた)たちの判断基準が(わか)りませんわ!」


()れから(また)、ルトアニアから荷物が届くようなんだけど。チェロル、内容の方は(わか)りそうかい?」


「んー! ()(そろ)えられるものは全部来たんだよ! 後は……」


「後は?」×4


「アリア殿下が試して欲しいと望む予定外の部品かな? 他は幾ら何でも大変なんじゃないかな!」


「んん……、分かった、先に内容だけでも連絡して()くべきだな。では、後で私が一緒に行くので荷物を取りに宮殿まで……荷物が多いと2人では大変だね。皆で行こうか」


「はい」×3

(かしこ)まりました」


「留守番をしなくても(よろ)しいのかしら?」


「ええ、巡回中の札を掛けて侍女さんたちは全員施設の方へ居て(もら)えば問題無い」


「はい、分かりました」


「よし、では久し振りに稽古を()けて()ろう」


「はい」×5


--


 ()れは全長40mは()ろうか、……否々(いやいや)、何で(また)もや大型貨物飛翔機とやらが此方(こちら)へ向かって()()るのだ。前方にはハンナ様の小隊とリーファ様の姿が見えるから、()れなりの事情が()るとは(うかが)えるのだが。


「済まないな。アリア殿下が依頼する特殊なものの可能性を示唆(しさ)する連絡を受けて、一応と(のぞ)いて()たら、何方(どちら)にせよ厳重な護衛を必要とするものが荷物に含まれて()たのでな」


 小隊の皆は昨日だと()(さま)荷物運びを手伝って()たのだが、今日は四方を固め警備に務めている。


()れは余り此方(こちら)で保管したくは無いものですね。はあ、今内容を(うかが)うのは不味そうだから()ずは運んで()くとしてマギーさんお願いするよ」


(かしこ)まりました」


 礼の(ごと)くお願いされたマギーは、貨物室の荷物を次々と縄で運び(やす)いように(くく)って()き、()れを皆で手分けして運んで仕舞(しま)うのは然程(さほど)も掛りはしない様である。


 大型貨物飛翔機とやらを見送って施設へと入った一同は早速荷物を(あらた)めることにした。


()れは……()く許可が下りましたね。(しか)も最新型ですか」


 其処(そこ)には遠隔気力通話器という軍事規制の付いたものが3台も()るのだ。確かに東門から護衛を引っ提げて移動しなくては()らないぐらいのものである。

 此処迄(ここまで)来るのに目立ち過ぎるだろう事を考えると、大型貨物飛翔機が城壁下に()る無人の通りを越えて、隣接する派出所に着陸するくらいは些細(ささい)な事だろう。(いや)些細(ささい)では無いが()しであろう。


「昨日の件は聞いて(もら)えたかな?」


「いえ、地底湖に下りてから()く積もりでした」


()うか……、取り()えず警戒体制を強化する事が必要に()ったのだが、と言って人員を増やす訳にはいかなくてな。偶然だが()の機材は押し付けられて大変有難(ありがた)いのだ。心遣い良いことに蓄魔(ちくま)器が1台追加で来て()たよ」


「では、()の施設と作業場、そして潜泳機(せんえいき)に設置するようにと?」


「地底湖の事は一切報告して()ないのだがな……」


()の、単純に派出所と湖()しくは河川近くに建てた作業場分、そして潜泳機と用意して(いただ)いたのではないでしょうか?」


 リーシャはリーファ様とマリオン先生の会話に()()ずと意見を述べた。


「まあ()れが妥当な線か、(しか)如何(いかが)して許可が下りたんだ」


「あっ! 皇族の御方(おかた)が乗る機体や警備環境を整える(ため)になら許可が下り(やす)いのでは」


 ()の言葉に皆は納得がいく(ため)か苦い顔をして唯唯(ただただ)沈黙が続いた。




---

修正記録 2017-05-25 10:29


厳重な護衛が必要な → 厳重な護衛を必要とする


方 → 御方(おかた)

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