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Phantom&Soldier  作者: めーりん
序章
2/6

ミッション開始

力と知識、そして部下を思いやる気持ちを持つ人物なら誰にでもチャンスある夢と希望の国”オベリスクグランド”


その街は様々な思惑や武器が集まり、それをできる限り統括する5つの組織が存在した。


荒事の総元締め”ブラッディウエポン”


運送や情報の総元締め”ヘルメスブラッド”


街の治安を守る”アイアンゲート”


金銭のレートを管理する”クラウンマネー”


街の外交などを一手に引き受ける”ブラウンネット”


この巨大な5つの組織は、まだオベリスクグラウンドが形になる前から仲の良かった10の組織が同盟を組み、それぞれに特化しつつ人々に夢や希望が持てるようにと思って結成された。


その中でも特に荒事を担当するブラッディウエポンは特殊な依頼やもめ事を解決するために、直属のメンバーを擁している。


‡‡‡


その日、ブラッディウエポンの総本部、通称「タワー」の最上階に一人の青年が訪れた。


「頭目、緊急事態だと聞いたが?」


「おう、雪駕(せつが)。わりぃな、折角の休暇だったってのにいきなり呼び戻しちまってよ」


なかなかの広さをもつ一室で、事務用のデスクに座るスーツ姿の男性に青年は落ち着いた様子で問いかける。スーツ姿の男性は申し訳なさそうにしながら一枚の紙を取り出し、雪駕と呼んだ青年に手渡す。


「三日前、BN(ブラウンネット)IG(アイアンガード)の連中から緊急連絡が入った。なんでも深夜にOG(オベリスクグランド)北検問所をどっかの馬鹿が強行突破したらしい」


「それはまた・・・・どこの命知らずだ?」


「わからねぇ。突破された直後にIGの若ぇ連中だけでなくベテラン連中までもが見回りを強化したらしいんだが、手がかりがその時はなかったんだとよ」


頭目と呼ばれた男性はこめかみを揉みながら疲れたように答える。その答えを聞きながら青年は受け取った紙に目を通す。


「頭目。この情報は?」


「事態を重く見たCM(クラウンマネー)HB(ヘルメスブラッド)、BNの三つで五重に調べた結果だそうだ。さらに別の国の情報屋にも当たったらしいが、まず間違いねぇそうだ」


「自称”魔法使い”ねぇ・・・・」


「魔法使いだか何だか知らねえがこの国に喧嘩を売ってるのかと疑いてぇよ。ここ最近、別の国から流れてきた中規模の組織が続々とその地に集まってるそうだ。BNにも裏は取ってある」


会話を続けながら頭目と呼ばれた男性はぎしりとデスクの傍にある椅子に腰を下ろす。


「雪駕。これはOGを管理する5つの組織の連名による依頼になる。当初は俺達、BW(ブラッディウエポン)が潰せばいいと思ってたんだが、その資料にある通りなら集まってる組織を迂闊には潰すことができねぇ」


「まあ、これは迂闊に全滅させるわけにはいかねぇな」


「だからこそ、だ。単独で潜入し、その自称”魔法使い”とやらを消せ」


シュボッ、という音とともに葉巻に火をつけた頭目が雪駕を真剣な目で見る。頷くと青年は頭目が投げた一枚のメモリーチップを受け取ると部屋を後にしようとする。


「武器は地下にいるマスターに言えば用意してくれるはずだ。報酬はいつもの通り。現地の近くにゃHBとIGの連中も待機してるから報告などはそっちに頼む」


「分かっている。それと・・・・」


「言われずともお前が行方不明になったとしても、死亡が確認されない限り援助はつづけるさ。それがお前の出した条件だからな」


「ならいい」


それだけ言うと青年は部屋を後にする。頭目はそれを見送ったのち、残りの書類の処理をしてゆくのだった。



‡‡‡


「ああ、雪駕。話しはお頭から聞いてるよ」


「状況が状況だ・・・・アドバイスを頼みたい」


BW総本部の地下。そこには世界中の国と取引して得た様々な武器が置かれており、BWだけではなくIGの組員も利用している武器庫。そこを訪れた雪駕を迎えたのは穏やかな顔つきをした男性だった。


「目的が暗殺だとは言え、そこに集まってる組織が複数。ならば潜入しつつ陽動するしかないね」


「となると・・・・消音装置(サプレッサー)が必要になるのか」


「後は陽動のために建物の発電装置を破壊する必要がある。C4の使用を勧めるよ。」


「その地の組員の火器は?」


「AK74系の武器が多いそうだ。あと、未確認情報だけどウラジーミルがいるらしいよ」


「T-90か・・・厄介な・・・。」


「とはいえ対戦車装備を持って潜入することは不可能に近い、現地調達で何とかしてくれ。」


話しながらも徐々に棚から火器や弾倉(マガジン)などをテーブルに並べてゆく両名。


「通信機器はヘッドセットだけで良いの?」


「構わない。・・・・マスター、この武器は?」


「最近入手した武器さ。今回にはうってつけだと思うよ?」


準備が終わったらしく、一つ一つ丁寧にチェックしてゆく雪駕。そこでふと今まで見たことのないライフルがあることに気が付き。マスターに問いかける。


「VSSと呼ばれる半自動消音狙撃銃さ。9×39mmで今回はSP-6という弾頭を選択させてもらったよ」


「特徴と弾数を教えてくれ」


「今回は20連マガジンの使用を提案させてもらうよ。400m圏内でなら防弾チョッキの貫通が保障されてるね。遠距離というよりは中距離から短距離の狙撃、近距離の銃撃戦を想定されてる」


「・・・・感謝する」


説明を受け、軽く笑みを浮かべながら準備を進める雪駕。マスターは雪駕の腰に納まっている銃をみると、少し呆れたように息を吐く。


「オートマチック主流なのにまだ回転式を使ってるのかい?」


「俺はマテバが好きなんだよ。別にいいだろう?今回は消音機付きのハンドガンも持って行くんだから・・・」


マスターに笑みを返しながら弾倉(マガジン)をポーチに収めてゆく。


「タクティカルベストで良いのかい?」


「構わない。一応は潜入メインだからな」


「わかったよ。外部で待機している部隊との通信コードは5538だ。残りの弾丸やC4はバンに積んであるよ」


「了解した・・・・っと」


「一応室内戦になった時用に持って行きなよ」


全てのベストポーチに弾倉を収め、腰のポーチには愛銃の弾が入ってるのを確認した雪駕にマスターが一丁の銃を渡す。それを受け取った雪駕はマスターからのアドバイスに頷くと、外で待機していた黒塗りのバンに乗り込む。


「出せ」


「はっ」


運転手の男性にマスターが声をかけると、バンは夜の街に溶け込むように走り去って行った。

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