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煌月こうづき

「…え…?」


学校帰り。

さすがに11月ともなればもうコートが必要だと、夕方の冷たい空気の中ブレザーの肩を竦めながら歩いていた途中、不意に聞こえた自分の名前に足を止めて振り向いた。

煌月、それは俺の名前。七瀬煌月ななせこうづき


視線の先には、夕日を背に浴びて立っているダークスーツ姿の背の高い男性が一人。

逆光になっているせいでその顔立ちはハッキリとわからないけれど、ただ1つ言えるのは、絶対に知り合いではないという事。


聞き間違いかと思い、首を傾げつつも再び前を向いて歩き出した。


「…煌月…、全てを、忘れてしまったのか…」


ポツリと聞こえた切ない響きの声。


…忘れて…?


その一言に何かが引っかかった。

自分は、何かを忘れている?

…それも、とても大切な何かを…。


グッと胸に何かが込み上げてきた。

そして足元の地面にポタリと落ちる透明な雫。

立ち止まって頬に手をやると、指先がしっとりと濡れた。


…なぜ、涙なんて…。


意味もわからないのに、ただ切なさだけがジワリジワリと込み上げてくる。

まるで、感情という機能が誤作動を起こしてしまったみたいに、自覚のない何かが胸の奥から湧き起こってくる。


手の甲でグイっと涙を拭って後ろを振り向くと、そこにはもう誰もいなかった。








BL短編再掲載の開始です。

これは私が書いた短編の中でもっともページ数が少なく、そしてちょっと異色なものとなりますが、読んで頂けたら嬉しいです。

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