表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

プロローグ

 

 目が覚めるとそこは異世界だった。

 それは、一体どんな気分がするんだろう。わたしにはわからない。そんな経験をしたことなんてないから。胸がわくわくするんだろうか?それとも不安でいっぱいで、泣き出したくなるんだろうか?あるいはそんな感情を覚える前に、事件とかに巻き込まれるのかもしれない。


 お母さんは、いつかわたしにこんなことを言っていた。

「帰りたくて、怖くて、死んでしまいたいとも思ったけど。でもわたしが今こうしているのは、友人や、周りの人や、そしてあなたのお父さんがいてくれたからなのよ」

 だから幸せだと。そういっていた。お母さんは笑っていた。



 この国には、昔からこんな伝説がある。


 王国に暗黒の雲がかかったとき、

 異なる世界から降臨する黒髪の魔女、

 その奇跡の力を以って、

 王国を導き、救わんとす


 こんな伝説を信じるのは、小さな子供と頭のおかしいひとだけだ。

 正確に言えば、『だけだった』。

 18年前のあの日、この国の人間はその伝説が本当だったことを知る。


 本当に、この国の人間ではありえない、黒髪を持つ娘が空から降ってきたのだ。そして彼女は、様々な困難や危険を乗り越え、その『奇跡の力』を使って、国に暗雲をもたらしていた邪教の集団を解体し、国や王を救ったそうである。

 だから今でも黒髪の『魔女』は王国の救世主としてあがめられ、たたえられ、人々の尊敬の念を集めている。

 今、『魔女』はそのとき一緒に戦った騎士と結婚し、子供をもうけ、幸せいっぱいに暮らしている。


 冒険小説は、普通はここで終わるのだろう。めでたしめでたし。ハッピーエンド。

 しかし現実は小説じゃない。そこから何十年も続くのだ。

 みんなは知らない。小説に描かれないその後の未来がどんなものなのか。生まれた子供がどんな生活を送るのか。



 わたしのお母さんは、異世界から来た「魔女」だ。

 



新連載です。ライトな恋愛ファンタジー、の予定。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ