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【️12/12 番外編更新】俺を嫌ってるはずの幼馴染が『先輩に告白された』と相談してきたので背中を押してみる  作者: みつぎ


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第3話:愛と嘘

 俺の『報告』を受け、夏海は力が抜けたように椅子に尻もちをつく。

 目は眼球が飛びでそうなくらい見開いていた。

 ……想像以上の反応だ。

  

「に、新山……先輩……?」

「うん」

「ってまさかあの、めちゃくちゃ美人でおしとやかで、手芸部のキャプテンの……!?」

「部長な」 

「……あっそう。そうですか。なるほどね~そういうこと。そっちはそっちでよろしくやってるわけね。オッケー、じゃあ私もやっぱ、箕輪先輩とーー」

「断ったけどな」

「……」


 脳の処理が追いついていないかのような、混乱した顔を見せる夏海。漫画だったら目がぐるぐる渦巻いてそうだ。


「なになに、どういうこと……? わけわかんない。なんであんなキレイな人からの告白を、断ってんのよ……」

「だって他に好きな人がいるのに付き合うなんて、それこそ先輩に失礼だろ?」

「私のことが、好きだから……?」

「おう」

「じゃああんたはこのまま、誰とも付き合うことなく、ずっと生きていくの?」

「まあ、お前のことが好きなうちはな」

「……なによそれ、そんなのおかしいでしょ」

「俺が勝手にそうするだけだから。お前は気にせず別の誰かを好きになって、そいつと幸せになってくれ」

「……」


 何を思ったか、夏海は黙り込んでしまった。急に静かになられると気まずいんだが……。

 なんだかバツが悪いので、

 

「あ、でも結婚式には呼んでくれよ。友人代表のスピーチくらいはさせろ」

 

 俺は軽い調子でそう言った。

 すると夏海は小さな声で、

 

「……嫌よ、ばーか」


 そう呟いた。なぜか分からないがその表情は少し、寂しそうに見えた。

 

「っていや、真に受けんなよ。今のは冗談だ」

「……どっからどこまでがよ。スピーチ? 結婚式に呼ぶのが?」

「新山先輩に告白されたことが」

「そっからぁ!?」


 と夏海は叫び、勢いよく立ち上が――ろうとして失敗して、机の天板に太ももをぶつけた。「いったぁ!」と悶える。

 今日の夏海はリアクションが大きくて、愉快だな。


「ぐ、くぅ~……あ、あんたねえ……!」  

「あのなぁ。そもそもお前と違って俺は帰宅部だぞ。新山先輩との絡みなんてあるわけないだろうが」

「な、なんなのよそれ、どういう意図があっての冗談なのよ……!」

「なんかお前だけ告白とかされてムカつくから、見栄をはりたくなった」

「くっだらない理由……! それで、満足した!?」

「満足したよ。お前は?」

「はあ!?」

「さっきの相談はもう結論出たんだよな。お前がそれで『満足した』なら、俺はもう帰るよ」

「……」

 

 夏海は俯いて、何も言わなくなった。いよいよ呆れ果て、無視され始めたのかも。

 俺は仕方なく「じゃあ、おつかれ」と立ち上がる。

 

 そして教室の扉へと、歩みを進めるとーー

 

「……待ってよ」


 と、夏海が俺を呼び止めた。

 振り返ると、夏海も既に立ち上がっていて、腕を伸ばし俺の制服の袖を掴んでいた。顔はやはり俯いていて、表情は見えない。

 

「なんだよ」

「……なんか今日のあんた、変じゃない……? いつもと雰囲気違うというか……なにかあったの?」

「お前が言うなよ」   

「は? なにその態度……ムカつく。やっぱ先輩と付き合っちゃおうかなぁ」

「そうしろってずっと言ってるだろ」

「あっ……えと、今のはちがくて、その……」

「はぁ……」


 黙ったり苛立ったりあたふたしたり、忙しいやつだな。

 そんな夏海を尻目に、俺はため息をつく。本当に――


  

 本当にお前は、()()()()()()()()だよ、夏海。


  

「そういやもう一個、大事なこと言い忘れてたわ」

「えっ……?」


 俺は唾をごく、と飲み込み、意を決した。

 そして、袖を掴む彼女の手をーーぎゅっと握り、顔の前まで持ち上げる。

 

「昔からずっと、夏海のことが好きだった。俺と付き合ってくれ」


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