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プロローグ

1892年、イギリス バーミンガム。

昼間の雨に濡れた石畳と霧のヴェールに覆われたガス灯の光が、ビクトリア朝の重厚な建築物をぼんやりと浮かび上がらせていた。

薄暗い路地裏、月の光が照らすレンガの壁に2つの人影が張り付く。1人の名はアレハンドロ。若々しい肢体、尖った耳、そしてルビーのように赤く光る瞳。冷たい皮膚の下で響く限りなく人間に近い鼓動の強さは彼がハーフヴァンパイアであることを示していた。彼の隣に立つのは名の知れたヴァンパイアハンター、ジョン・エヴァンス。革のコートに身を包み、手に握られた銀の十字架の装飾が施された銃がガス灯の光を鈍く反射していた。

「今夜の奴も三流だったな。血への衝動に抗えない哀れな亡者だ」

アレハンドロが冷ややかに言い放つ。彼は他のヴァンパイア同様、血を生きる糧とするが罪なき人間の血は決して吸わなかった。町の安全を脅かす罪人や、人間を遊ぶように殺し食い物にするヴァンパイアのみを飼っていた。

彼の孤独な魂が、せめてもの贖罪を求めていた。

ジョンは静かに頷いた。数年の間、二人は共通のある目的のために互いの背中を預け、数多の闇を葬ってきた。

ヴァンパイアに血を吸われ死に損なった人間が、不完全な夜の怪物として血への欲求に支配され夜な夜な人間を襲うという事件が多発しているの聞きつけ、2人は数ヶ月前からこの街に留まっている。


ジョンはアレハンドロの超越的な力と、冷徹な理性を信頼していた。アレハンドロもまた、ジョンの人間的な温かさ、愛情深さ、そして何よりも彼の強い正義感に惹かれていた。



二人の間には、友情というにはあまりに濃く、恋情というには踏み越えられない一線が存在していた。

アレハンドロの永遠の命と、ジョンの有限な人生という、冷たい壁が。

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