中央大陸の国々
【ルアフィル・デ・アイリン王国】
年代記は語る。
建国王の名を、ライリー。
イェール帝国の貴族である。
帝国の末期、彼は中央大陸中東部に一大勢力を築きあげ、巨大な帝国に対して反乱の狼煙をあげた。
時に大陸暦1460年。群雄割拠の時代の幕開きである。
そして、これが帝国滅亡の原因となった。
20年もの長きに渡り動乱が続く。
そして、大陸暦1480年、ルアフィル・デ・アイリン王国の樹立が高らかに宣言される。
国名は「アイリーンの栄光を讃えよ」という意味である。
その名が示す通り、ライリーは熱心なアイリーンの信奉者であった。
彼は「神の心、鬼の軍略」とも呼ばれ、剛柔を駆使した政戦両略によって、一代で中央大陸に冠たる強国を作り上げた。
奉じる神は、もちろん至高神アイリーンである。
国力は中央大陸随一であり、王都アイリーンは「花の都」と讃えられる。
「太陽の没せざる世界の中心」
他の大陸の人々は、憧憬と畏怖をこめ、ルアフィル・デ・アイリン王国をこう呼ぶ。
《詳細情報》
【沿革】
大陸暦1480年建国。初代国王はライリー一世。
【位置】
中央大陸中東部。東海に面している。
【宗教】
主としてアイリーン。
【人口】
約4500万人(大陸暦2000年調べ)。
【首都】
王都アイリーン
王国中東部に位置し、人口は100万を超える。
【元首】
マーツ二世。
【主要産業】
貿易。金融。観光。農業。林業。漁業。
世界最大の国力を有する王国。
名君マーツに治められ、「名宰相」ビゼント侯爵や「洗練された剛勇」ガドミール・カイトスなど、多くの名将、名臣を抱える。
技術、文化、経済の発信地である。
王都アイリーンは世界一の大都市で、花の都とも称えられる。
また、世界一の軍事力を持ち、スカイブルーの鎧と軍旗で統一された「青の軍」は、大陸最強の名をほしいままにしている。
【スタディア朝バール帝国】
年代記は語る。
建国王の名を、ウィンデル。
中央大陸北東部の平原騎馬民族の一員であった。
この地にはいくつもの部族が存在し、イェール帝国滅亡後も群雄割拠が続いていた。
それを統一したのがウィンデルである。
彼は5人の友とともに、じつに400回に及ぶ戦いに勝利して一大帝国を築きあげる。
バール帝国の誕生である。
時に大陸暦1495年。ルアフィル・デ・アイリン王国の建国に遅れること15年であった。
ウィンデルは、忠実な5人の友に、皇族としての特権を与えた。
ガズリスト家、マードル家、カーン家、スタディア家、フリードル家、そしてウィンデル自身の生家であるトリューニ家。
この6氏族が、バール帝国を支える皇家となる。
どの家から皇帝が出ても良いよう、ウィンデルは巧みな婚姻政策によって皇族すべてにトリューニの血を入れた。
バール帝国が信奉するのは野心の神バール。
ウィンデルが幼少の頃、バール神から神託を受けたからだという。
大陸暦2007年3月、皇帝ミシエル・ガズリスト死去。
ネヴィーラ・スタディアが即位し、皇統はスタディア家に移る。
また、それに伴って選帝皇家のひとつカーン家が取り潰される。
《詳細情報》
【沿革】
大陸暦1495年建国。初代皇帝はウィンデル一世。
【位置】
中央大陸北東部。東海と北海に面している。
【宗教】
主としてバール。
【人口】
約3000万人(大陸暦2002年調べ)。
【首都】
ガズリストグラード
帝国中央部に位置し、人口は50万程度。陸封された内陸都市。
【元首】
ネヴィーラ三世。
【主要産業】
貿易。農業。林業。漁業。
北方の雄。
選帝皇家という特殊な政治形態を取る。
アイリンとは歴史的な敵国同士であったが、新帝ネヴィーラの有効政策によって、両国の関係は良くなりつつある。
領土としてはアイリンと同等の広さを誇るが、北国ゆえ生産力はそれほどでもない。
兵は剽悍驍勇で、ことに「氷の牙」騎士団が勇名を轟かせている。
【ルーン王国】
年代記は語る。
建国王の名は、ラーカルト。
イェール帝国の騎士だった彼は、帝国の存続のために最後まで力を尽くした。
だが、周知の通りイェール帝国は大陸暦1480年に完全に消滅する。
ラーカルトは非戦闘員たちを引き連れ、中央大陸北西部へと逃げていった。
広大な森林地帯を切り開き、森の民たちと交わり。
そして大陸暦1488年。ルーン王国の建国が宣言される。
イェール帝国の正統を継ぐ、と、彼らは自称したが、むろん帝国の血統はまったく受けていない。
ただし、精神的、文化的な遺産を継承したのは事実であった。
帝国の有識者や学者を多く抱え、生活様式なども引き継がれた。
国土面積は、中央大陸5ヶ国中もっとも狭いものの、学術・文化レベルは他の追随を許さない。
奉ずる神は、知識の神ルーン。
これもまたイェール帝国時代からの伝統である。
現在、世界各国で使用されている共通語は帝国最盛期に作られたものだが、これはルーン神の言葉が元になっている。
もちろん国名も、知識の神の名を冠したものだ。
文化と学識の香りが漂う静かな国。
療養に訪れる人も少なくない。
《詳細情報》
【沿革】
大陸暦1488年建国。初代国王はラーカルト一世。
【位置】
中央大陸北西部。西海と北海に面している。
【宗教】
主としてルーン。
【人口】
約1000万人(大陸暦1999年調べ)。
【首都】
ルーンシティ
王国中央部に位置し、人口は20万程度。陸封された内陸都市。
【元首】
エカチェリーナ二世
【主要産業】
貿易。農業。林業。漁業。
イェール帝国の遺臣たちによって建てられた国。
中央大陸で最もはやく奴隷制度を廃止した。
アイリン王国とは250年来の同盟関係にある。
生産力、軍事力とも、中央大陸では二流の存在だが、デュワーヌ大河の天険と一対一では世界最強といわれるルーンナイトたちによって国が保たれている。
国主エカチェリーナは理想主義者として知られ、その元には、彼女の夫で魔法使いギルド世界本部総長「稀代の大魔法使い」オリフィック・フウザーなど、多くの知識人が集う。
また、人型の戦術機動魔導歩兵(魔導アーマー)を保有する唯一の国としても有名。
【セムリナ公国】
年代記は語る。
建国王の名を、アルパリス。
中央大陸南部の小部族の長である。
彼は幾多の戦乱をくぐり抜け、南部地方を支配する国を作り上げた。
これが、セムリナ公国である。
時に大陸暦1511年。以後、国主を公王と称する。
勝利の女神セムリナを奉じ、尚武を尊しとする。
気候は温暖で、国土北部の山岳を除いては積雪はしない。
主な産業は貿易。
国土そのものが東海、南海、西海に面しており、他の大陸との外交も盛んである。
また、天然の良港が多い。
その他、南国特有の農作物を産し、中央大陸に広く輸出している。
東方大陸のフレグ帝国と領海をめぐって隙がある。
幾度か干戈を交えるも、いまだ雌雄は決していない。
《詳細情報》
【沿革】
大陸暦1511年建国。初代公王はアルパリス一世。
【位置】
中央大陸南部。東海と西海と南海に面している。
【宗教】
主としてセムリナ。
【人口】
約2800万人(大陸暦2004年調べ)。
【首都】
セムリナパレス。
公国西部に位置し、人口は30万程度。西海に面している。
【元首】
シャリア一世
【主要産業】
貿易。農業。林業。漁業。
中央大陸最南部に位置する国で、戦女神セムリナを奉じている。
世界最強の海軍をもち、若き名将サミュエル・スミスや大セラことセラフィル・サージなどを輩出する。ちなみにこの二人はSSSという異称を奉じられているが、この二人に女王シャリアを加えてSSSと呼ぶ場合もある。
文字通りセムリナを支える三人のSという意味である。
また、この他にもセムリナは人材の宝庫として有名。
鋼心や忠烈といった騎士の名が他国にまで轟いている。
セムリナ騎士はイージスと呼ばれ、とくに防御戦に秀でている。
■ ドイル王国 ■
年代記は語る。
建国王の名を、ジョルジオ。
中央大陸中西部。イェール帝国の都サマルカーンの跡に、ドイル王国は建国された。
魔法学、魔法科学を極めたイェール帝国が滅び去った後、残されていたのはどこまでも続く荒野だけだった。
そこを再び開拓したのが、ジョルジオだった。
貧しい農家に生まれた彼は、帝国の諸侯や武人たちが戦いに明け暮れ、多くの文化財や貴重な人材が戦火に消えてゆくのを見つめてきた。
そして、その愚かさを知ったのである。
「便利な魔法などいらぬ。ただ自然と寄り添って生きよう」
この標語に、戦い疲れた人々や戦災で家族を失った人々が集まり、小さな小さな国が誕生した。
ときに大陸暦1510年。イェール帝国が滅亡して30年の歳月が流れていた。
ジョルジオは、農業を振興し、戦いを嫌い、自然を敬い、大地を友として生きることを国民に説いた。
多くの農民がそうであるように、彼もまたドイルの信奉者だったからである。
国名もまた、彼の敬う神の名が冠された。以来、ドイル王国は穏やかに、どの国家とも争わずに領土を広げてゆく。
荒れ地を開墾し、不毛な土壌を改良し、水路を整備し。
もしもイェール帝国を知る人間がいれば、この地の変貌に驚倒するだろう。
天をも貫く摩天楼の群れは姿を消し、地平線まで続く豊かな穀倉地帯となったのだから。
むろん、農業生産力は中央大陸随一である。
《詳細情報》
【沿革】
大陸暦1510年建国。初代国王はジョルジオ一世。
【位置】
中央大陸中西部。西海に面している。
【宗教】
主としてドイル。
【人口】
約2200万人(大陸暦2000年調べ)。
【首都】
ドイルシティ。
王国中西部に位置し、人口は30万程度。陸封された内陸都市。
【元首】
エクシード三世
【主要産業】
農業。貿易。
中央大陸一の農業生産力を誇る農業国。
国主エクシード三世は同郷出身の大魔法使いオリフィック・フウザーに師事した経験があり、開明政策者としても有名。
大国としては初めて、民主化に取り組んでいる。
気候は温暖で、それが国民の気風に影響するのか、平和と融和を尊ぶ国民性である。
軍事力は高くないが、天竜騎士団の勇猛は他国にも届く。