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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第二章 演技? 真実?
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考察とチーム分け

 リンリン様の報告から、この空間を生み出すために学校周辺の人ならざるもののエネルギーが集められて、この世界が出現したのはわかった。

『もちろん、自然には起こらないよね?』

 私の問いに対して、リンリン様は『うむ』と答える。

『その……何かについては?』

 ある程度予想を立てた上でそう尋ねると、リンリン様から『まだ調査段階じゃの』という予想通りの答えが返ってきた。

 時間経過から考えて、当然だろうなと思う。

『あくまでオリジンの予測じゃが……消失したエネルギー体の中に主導したものが含まれていたかも知れぬ』

 リンリン様に『私もその可能性は高いと思います』と返すと『わらわもじゃ』と三者の見解が一致していることが確認できた。

『それゆえ内部で観測が必要だと考え、わらわの意識の軸足をこちらに置くことにしたのじゃ』

 リンリン様の言葉に、驚きもあって「それって、どういう?」と思わず、声を出してしまう。

「ん? わかりにくかったかな?」

 まどか先輩からの即座の反応に、身体がビクッと震えた。

 全く聞いていなかったので、申し訳なく思いつつも「もう少し詳しく教えて欲しいです」と、それほどおかしく無さそうな言葉を選ぶ。

「おーけー、おーけー、もう少し砕いて説明するから、わからなかったらすぐ言ってちょうだい」

「は、はい。すみません」

 騙している気がして、心苦しさが増したけど、おかしくないならと、表情に出ないように私の胸の内に押し込めることにした。


 一端リンリン様には話を止めて貰って、私はまどか先輩の言葉に集中した。

「要は、さっきのエチュードと同じ即興劇だよ」

 聞いているのをアピールするために、そこはわかったと頷きで伝える。

 まどか先輩も、途中で口を挟んだ私のことを警戒しているのだろう、幾度となく視線が交わった。

「ただ、今回はカードに書かれたシチュエーションで、一人芝居をするんだ」

 チラチラとまどか先輩が私を確認する回数が増える。

 この辺りで、私はさっき口を挟んだのだと察して「そのカードがお題……で、それに合わせて演じる?」と首を傾げた。

「そうそう、そういう事だよ」

 表情を明るくして頷いてくれるまどか先輩の様子から、私の動きをおかしいとは思っていないように見える。

 上手くやれてはいると思うけど、心苦しい……というか、後ろめたい。

 とはいえ、口にしたのが、問い掛けだったので、自問自答というのはおかしすぎるし、かといってリンリン様のことを説明するわけにもいかないので、甘んじて受け入れるのみだった。


 見学の私たちが四人、演劇部の皆さんが十一人ということで、三人ずつの五グループに分かれることになった。

 内訳は見学の私たちが全員一年生なので、斎藤さんを加えた五人がそれぞれ別れる。

 二、三年生は十人でくじを引くようで、場合によっては三年生、三年生、一年生というパターンもありそうだ。


「それじゃあ、1~5の数字が入っているので、それぞれ引いて貰うでいいよね?」

 斎藤さんがティッシュ箱を改造して作られた簡素な抽選箱を手に首を傾げた。

「はい。大丈夫です」

 私が頷いた後で、史ちゃんが「凛花様と同じ班になれないなら、特に希望は無いです」とどんよりした表情で言う。

「史ちゃん、希望が無いの意味、違ってるよね?」

 加代ちゃんが、苦笑を浮かべながら指摘すると、史ちゃんは目を逸らした。

 なんとも言えない空気が漂いかけたところで「あ、私もくじ引きで良いよ」とユミリンが宣言して、加代ちゃんも「わ、私もくじを引くで、良いです」と慌てて同意する。

「じゃあ、順番はどうしますか?」

 笑顔で尋ねてくる斎藤さんにたいして、ユミリンがよりにもよってとんでもないプランを提示した。

「背の順でいいんじゃないかな?」

「なんで、背の順?」

 思わず反射的に聞いてしまった私に対して、ユミリンはシレッと「私は最後に引きたいなーって思って」と理由を口にする。

「それは、八百長というのでは?」

 ジト目でユミリンを見れば、本人は悪気もなく「でも、何か決めないとでしょ? 五十音順とかでも良いけど、それだとリンリン最後だね」と返してきた。

「いや、別に、最後が良いとかじゃなくていいんだけど……」

 そう返した私に「じゃあ、背の順で良いでもいいしょ?」とユミリンは言う。

 確かに構わないけど、でも、なぜだか飲み込めなかったので、私は「引く順番をジャンケンで勝った順にしよう」と別案を提案した。

 てっきり嫌がるかと思ったのだけど、ユミリンは「じゃあ、ジャンケンにしようか」とあっさり頷く。

 その後で「ふみきち、かよちん、ちーちゃんもそれでいい?」とユミリンは他の三人にも意見を求めた。

 三人とも、ジャンケンで構わないと承諾したことで、私たちのグループ分けは、ジャンケンの後くじ引きということに決まる。

 早速、ユミリンが「それじゃあ、いくよー手、出してー」と呼びかけ、五人が右手を前に出した。

「せーーの! 最初はグーー!」

 ユミリンの掛け声に合わせて全員が右手を握ってグーの形を作る。

「ジャンケン、ポン!」 

 直後、五人それぞれの手が放たれた。

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