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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第二章 演技? 真実?
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トレーニング

 ペースは私が病み上がりだと思われているのもあってかなり遅めだった。

 早歩きより少し早い位なので、それほど負荷は感じない。

 皆で同じペースを保って二周し終えたところで、体験と言うこともあり今回は終了になった。

「普段は十周するんだけど、他の子も待ってるし、筋トレの方に合流しよう」

 まどか先輩の指示に従って、さっき別れた演劇部の人たちに合流する。

 既に二人組になって、腹筋運動をしていた。


「ここはやっぱりお姉ちゃんが良いと思うの!」

「待て待て、良枝、先輩として一番指導している私の出番だと思うんだが?」

 早速お姉ちゃんとまどか先輩が始めたのは、私の相手の取り合いだった。

「いや、お姉ちゃんもまどか先輩も、監督する立場なんだから、見ててくれないとダメでしょう?」

 私の発言に、こちらを向いた二人は複雑な表情を見せる。

「じゃあ、凛花さま、私が抑えますね!」

 サラッと名乗り出てきた史ちゃんに驚いていると、ユミリンは加代ちゃんに「私とで良いかな?」と声を掛けた。

「もちろん、こちらこそよろしく」

 加代ちゃんはそう言って頷くと「私が先で良いかな?」と言いながら床に腰を下ろす。

 ユミリンと加代ちゃんが準備したのを診た私は「じゃあ、史ちゃんお願いします」と伝えて、二人の横に腰を下ろした。

「はい! 任せてください!」

 史ちゃんはそう言うと揃えた私の足首を両手で押さえてくれる。

「お姉ちゃん、まどか先輩、始めて良いですか?」

 何故か呆然としているお姉ちゃんとまどか先輩にそう声を掛けた。

「そ、そうね、腹筋は10回ずつ、まずは一セットやってみましょう」


 どうにか10回を達成した私と、余裕のユミリンと違って、史ちゃん、加代ちゃんは5回に届かず脱落してしまった。

 懸垂の授業で苦手だと言っていたけど、胡蝶ではなかったらしい。

 正直、私もお腹周りがプルプルしているので、二人と大差は無いけど、どうにか10Kぁいはと立つ出来た。

 ユミリンは全然平気そうなのがちょっと悔しい。

「まあ、無理せず少しずつ回数を増やしていけば良いぞ」

 まどか先輩の言葉で、腹筋の次、背筋を鍛える上体そらしへと種目が変わった。

 先に腹筋に挑戦した私と加代ちゃんから床にうつ伏せになる。

 柔軟自体は結構自信があるので、腹筋よりも余裕を持って挑戦することが出来た。

 普段は一セット30回とのことで、これは私たち四人とも型小速度に差はあれど無事成功させる。

 そして、問題だったのは三種目目の腕立て伏せだった。

 一生懸命頑張ったものの、ユミリン以外は私も含め一セット30回の壁にすら到達しない。

 それでもどうにかこうにか10回まで達すことに成功した私たちは三人ともに粗い呼吸をすることになってしまった。

 それでも四人横並びで挑戦したお陰か、ユミリンを覗く出来ない組三人はお互いを意識しながらほぼ同じペースで進められたので、高め会えたと思う。

 なので、経験を積めば回数も増やせるはずだ。


「大丈夫、凛花」

「うん、大丈夫……だと思う」

 プルプルする腕で身体を起こした私をお姉ちゃんが支えてくれた。

 加代ちゃんはユミリンが、史ちゃんはまどか先輩がさせて、私たちは座った状態に体勢を移す。

「基本はこれを三セット……まあ、腹筋と腕立ては一セットに足りてないけど、まあ、三人は徐々に力を付けていこう」

 まどか先輩に苦笑気味に言われてしまって、申し訳ない気持ちで一杯になった。

「大丈夫、大丈夫、今出来なくても、繰り返し練習をすれば出来るようなるわ、凛花」

 優しい口調で言ってくれるお姉ちゃんに頷いてから「頑張ります、良枝部長」と返す。

 私がお姉ちゃんではなく良枝部長と呼んだのが予想外だったのか、ちょっと吃驚した表情になってからお姉ちゃんは無言で私の頭を撫でだした。


 かなり筋トレの量を減らしてもらって、どうにか演劇部の面々に合流できた私たちは、まどか先輩とお姉ちゃんを前に一列になった。

「それじゃあ、次は発声練習だよ」

 まどか先輩の言葉に、私たちに加えて合流した演劇部の人たちも「「「はい!」」」と声を揃えて返事をする。

 まどか先輩と、お姉ちゃんだけでなく、ジャージの色からして三年生だと思われる先輩達が、私、ユミリン、史ちゃん、加代ちゃんにそれぞれ付いてくれた。

 発声練習での私の担当はまどか先輩なのは、先ほどお姉ちゃんとの話し合い……ジャンケンの結果である。

「まず足は肩幅に開いてね」

「はい、まどか先輩」

 まどか先輩の指示に応えながら、私は言われるままに足を開いた。

 そんな私のお腹に手を当てた窓か先輩は「ここに力を入れてね」と言う。

「はいっ」

 頷きつつお腹に力を込めてみるが、まどか先輩の押す力に負けてぷにぷにとへこんでしまった。

「ま、まあ、腹筋は鍛えれば強くなるから」

 もの凄く気を遣ってくれるとわかるフォローに、私はどうにか「……はい」と返事をする。

 もの凄く恥ずかしいけど、急に腹筋が鍛えられることはないし、能力で強化したらおかしな事になってしまうので、されるがまま、まどか先輩にお腹をぷにぷにされるのを受け入れた。

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