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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第二章 演技? 真実?
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注目

「そ、そうなんだね……そうか……凛花さまは、気持ち悪いとは思わないんだぁ」

 なんだかしみじみと言われると、居心地が悪いのだけど、徐々に史ちゃんの表情は和らいでいるので、私の選択は間違ってなかったと無理矢理胸の中で繰り返して、納得することにした。

 と言うか、変に動きを見せると、なんだか興味深げに私の出方を窺っているユミリンを始めとした面々だけでなく遠巻きに見ているクラスの他の子達にも余計なイメージを植え付けそうだから、自衛と逃避を兼ねて、敢えて気付かないふりを決め込む。

 そうこうしているうちに、綾川先生がパンパンと手を叩きながら「よし、昼の時間だ、席に着け」と指示を出した。

 牛乳も配られ、に直さんの号令で、お昼ご飯が始まる。

 私もお弁当箱を取り出すと、前の席に座るユミリンが椅子に座ったままでくるりと身体を回転させ、横向きに座り直した。

 お昼ご飯の最中は、立って歩くのは禁止されているが、ユミリンのように横向きに座ることはセーフである。

 実際、ユミリンだけでなく、女子も男子も一部の子はそうやって自分の席の後ろのこと話ながら食べている子もいた。

 ただ、この食べ方は一部の子だけズルイとなる話ではあるので、既に綾川先生に抗議というか、服申し立てが行われているらしい。

 断片的な話のつなぎ合わせなので、多少正確に書けるかもしれないけど、この全員が自分の席についてお昼の食べるのは4月の間だけのことで、5月の連休を過ぎると、委員会や仮入部期間が終わる部活動などが本格始動するので、牛乳だけを受け取って各自、食事のとれる場所で取って良いとなるそうだ。

 史ちゃんはもどかしいですと言いながら、解禁されたら一緒に食べましょうと誘ってくれている。

 ユミリン、委員長、加代ちゃん、それにお百合や茜ちゃんも参加表明してくれているのは、掃除の時間の雑談の中で流れが決まったからだ。

 というわけで、ときどきこちらをチラ見してくる史ちゃんや加代ちゃんに、気が付く度に手を振りながら、お姉ちゃんと作った……詰めたお弁当を食べる。

 その最中、私と同じおかず構成のお弁当をパクパクと食べていたユミリンが「ねぇ、リンリン」と話しかけてきた。

「それだけで、足りるの?」

 私のお弁当箱を見ながら言うユミリンに、私は頷きながら「足りるね」と返す。

 どうもユミリンは納得出来なかったらしくて「ホントに?」と詰め寄ってきた。

「いや、ウソついてもしかたないでしょう?」

 私の返しに対してユミリンは「スーパーモデルとか目指して、過度なダイエットをしようとしてるんじゃないの?」と言い出す。

 首を左右に振りながら「モデルなんて目指してないし、そもそも、モデルには身長が足らないので」と強めに否定した。

 すると、ユミリンは私の胸元から頭の先までを数往復してから「身長か……」と呟く。

 その上で「なんかごめんね」と言い出した。

「謝られると、なんだか、もの凄く嫌なんだけど!?」

 思わず声が大きくなってしまったせいで、周りからの視線が向く。

 注目を集めてしまったことに、どうしようと思っていると、教室の前方から綾川先生が「林田、元気なのは良いが、ほどほどにな」と口にして、小さな笑いが起こった。


「凛花さま! なんで、由美子と凛花さまのお弁当の中身が一緒なんですか!?」

 ほんの数ミリの距離まで顔を近づけて尋ねてきた史ちゃんに、私は素直にユミリンが昨日ウチに泊まったことを説明した。

「ぐうぅぅ、ず、ズルイです!」

 心の底から本当に悔しそうに言うので、私は思わず「史ちゃんも嫌じゃなくて、あと、お母さんが良いって言ってくれたら泊まりに来なよ」と告げてしまう。

 すぐさま明るい表情になった史ちゃんは「本当ですか!?」と目を輝かせた。

「うん」

 勢いに押され気味になりながらも、頷くと、今度は加代ちゃんが「あ、あの、私も」と遠慮がちに手を挙げる。

 私は加代ちゃんにも頷きつつ「お母さんに聞いてみるね」と返した。

 ここで、委員長が「おチビッ子クラブが集合するなら、マネージャーの私も参加しないとね」と言い出す。

 いつの間に、そんな話になったのかと思わなくもないけど、それよりも感じな事に気が付いた。

「あ、でも、待って、お姉ちゃんが受験生だから、お姉ちゃんにも聞いてみないと……」

 ユミリンはお姉ちゃん自身が招いていたけど、史ちゃんや加代ちゃん、委員長となると聞いてみないといけないなと思い、それを説明すると、皆は田鹿にと頷いてくれる。

 そんな中、ユミリンは「お姉ちゃんなら、受け入れてくれると思うけどなぁ」と自分の予測を口にした。

 私も頷きつつ「私もそう思う」と同意した後で「でも、本当は勉強しなきゃなのに、無理して合わせてくれそうな気もするんだよね」と考えを示す。

 ユミリンは、私の指摘に「確かに、それはあるかも」と頷き、それを目にした皆もそれじゃあ遠慮した方が良いかなと言う雰囲気の態度に変わった。

 そんな中、茜ちゃんが「じゃあ~、ウチで合宿したら良いわよぉ、アイドル合宿ぅ」と言う。

 ポンと手を叩いたユミリンが「あかねっちの家、お寺だもんね。広間も借りれたら本当の合宿になりそうだね」と声を弾ませた。

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