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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第九章 不通? 疎通?
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終わりと施錠

 三様の舞いの振り付けをしていくなかで、私を含めて十人編成でフォーメーションを改めることになった。

 前、中、後の参列の中で、私は真ん中のメンバーに加わる。

 基本は三人が横一列に並ぶが、真ん中の列は四人となるので、菱形のフォーメーションをとり、お姉ちゃんと私が縦に並び、左にオカルリちゃん、右に茜ちゃんが付く形になった。

 後列は左からユミリン、まどか先輩、委員長、前列は史ちゃん、千夏ちゃん、加代ちゃんという並びで舞う。

 当初の案では、私と皆の振りは逆にするという話だったけど、フォーメーションが変わったことで、私の加わった真ん中の四人が元々の振りで、前列と後列の六人が左右を反対の振りで舞うことになった。

 振り付けに関しては、私一人の方が目立つけど、四人に増えたことで説得力が増したように思う。

 正直、一人だと、私が間違っているように見える気がするのだ。


「やっぱり、凛花ちゃんだけより、四人と六人に分かれた方が、チーム感が出るわね」

 腕組みをして千夏ちゃんは満足そうに頷いた。

「まぁ、凛花ちゃんだけだとぉ、凛花ちゃんがぁ、一人だけぇ振りを間違ったみたいだもんねぇ」

 私と同じ意見だったらしい茜ちゃんが言う。

 自分でも思っていたことなのに、茜ちゃんの口から聞くと、なんとも言えないダメージがあった。

「やっぱり、私一人間違っているように見えるよね……」

 思わずそう呟いてしまった私に、ユミリンが「大丈夫だ、リンリン。もう一人間違っているなんて思われなくなったから」と言って笑い飛ばす。

「そ、そうだね」

 微妙に腑に落ちなかったけど、ユミリンなりにフォローしてくれているのには違いないので、少しぎこちなくなってしまったけど、どうにか頷いた。


「えっと、これはどうしたら良い?」

 今日の練習を終えるタイミングで、具現化させたテレビに触れながら尋ねてみた。

 すると、皆の視線が静かにオカルリちゃんに向く。

 オカルリちゃんは「じゃあ、私が代表して、決めてしまいますね」と宣言してから、私に向かって「具現化を解除することは出来ますか?」と尋ねて来た。

「もちろん、出来るよ」

 私が頷くと、オカルリちゃんは「じゃあ、また次回も具現化することは出来ますか?」と聞いてくる。

 これにも頷いて「一度具現化したモノなら、再度具現するのは難しくないよ」と答えた。

「じゃあ、消してください」

「了解!」

 即座に了承してテレビに手を置く。

「あ、凛花ちゃん、ストップ!」

 少し慌てた様子で委員長が待ったを掛けたので「あ、うん」と頷いた。

「あーちゃん」

「おっけぇ~」

 委員長と茜ちゃんは廊下の入口へと移動していく。

「千夏」

「りょーかい」

 ユミリンと千夏ちゃんは、ソフト手素部が活動している窓の方へ移動していった。

 それぞれが移動を終えたところで、オカルリちゃんが「皆さん、どうですか?」と問い掛ける。

「大丈夫よ」

「問題なしぃ~」

「こっちは良いぞ」

「私の方も大丈夫」

 四人からの回答を聞いたオカルリちゃんは「凛花様、いつでも消してください」と言って笑顔を見せた。


 早速、テレビに手を置いて意識を集中させた。

 頭の中でテレビが白い発光体に変わるイメージを描く。

 そのまま光の球へと変質させた後、具現化とは逆手順で、掌を通じて身体に、エネルギーとして吸収した。

 頭の中のイメージで、具現化していたテレビが消え、手の間に出現していた光球も消失する。

 消失を確認してからゆっくりと目を開くと、頭で描いたイメージ通りに、テレビも光球も消失していた。


 パチパチパチパチと拍手されたので、視線を向けるとオカルリちゃんが「お疲れ様でした」と労ってくれた。

 ここまでやりとりをみていたお姉ちゃんが「それじゃあ、制服に着替えましょう」と提案してくる。

「「「はーーーい」」」

 お姉ちゃんの提案に自然に皆の声が重なった。


 制服に着替え終えた私たちは、機材と空き教室の片付けに入った。

 テレビは片付けたというか、具現化を解除しており、今回は未だ視聴覚室を借りていないので、オカルリちゃんの持ち込み機材を鞄にしまい直すのと、ラジカセの返却前準備が対象である。

 教室の方は、全部の窓を施錠した後で、カーテンを閉じるのが一つ、もう一つは使用した机と椅子を元通りに積み直す作業だ。

 私が返却のために、ラジカセを廊下に運んでる間に、皆は手分けして復旧を終わらせてしまう。

 廊下で一息ついたときには、も物を持った皆が、教室から出てき始めていた。

「はやいね」

 思わずそういった私に「帰り支度に時間掛けても意味ないしな」とユミリンが言う。

「まあ、確かに」

 頷いた私に、史ちゃんが「凛花様の荷物は私が預かっておきますので」と満面の笑顔で言ってきた。

「じゃあ、行きましょう」

 史ちゃんに返事をするよりも早く、委員長が教室に施錠して声を掛けてくる。

「あ、持つわ」

 ラジカセを滑らかな動きで委員長にとられた私は、せめて自分の荷物をと思ったのだけど、史ちゃんに胸に抱きしめられて「預かります!」と言われてしまった。

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