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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第九章 不通? 疎通?
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改めて

 若草物語の配役も決まり、練習は演劇部の活動日である月水金の三日間に全体練習や衣装合わせなど、人が揃った方が良いものを行い、秋の日は個別練習と言うことが改めて決まった。

 私たちは神楽舞いの準備もあるので、火、木は空き教室教室で練習をする。

 ここは既に委員長と顧問である大野先生が動いてくれていて、夏のお祭り、神楽舞いの本番まで抑えてくれたそうだ。

 ちなみに、本番を終えた後続けるかどうかは未定であるモノの、お姉ちゃん達三年生が卒業した後も同好会を継続するなら、部への昇格も掛け合うと大野先生と中瀬古先生は張り切っていたらしい。

 正直、この世界での生活があとどのくらい続くのかはわからないので、無責任なことは言えないなと思って、保留にして貰ってはいるけど、もしその時を迎えたなら、委員長をはじめ、氏子さん達の意見を聞いた上で、部活として神楽舞いを継承していく道を作る選択肢をとろうとは思ってはいた。

 継承していくことへの使命感みたいなものが私の中に芽生えているのもあるけれど、それよりも何よりも強く『神楽舞い』に()()()()()()()という感覚がある。

 この感覚が神様からの働きかけなのか、あるいは『種』からの刷り込みなのかはわからないけど、少なくともこの世界を謎解くための鍵になるんじゃないかと、私は考えた。

 一応、相棒であるリーちゃんともこのことは話している。

 話し合いの結論としては、何らかの誘導されている可能性はあるものの、現時点で『部活昇格(それ)』を選んだところで、致命的な状況には追い込まれないだろうというものだった。

 ならば、敢えて罠に飛び込む覚悟で、状況を見極めつつ、流れに乗ってみることにしたのである。

 私だけだったら、踏み止まったかもしれないけど、リーちゃんという頼りがいのある相棒のお陰で、踏み込むことが出来た。

 正直、感謝しかない。

 そう考えたところ、私の思考は筒抜けなので、素直な気持ちを知った頼れる相棒が少し取り乱したことが、なんだか微笑ましくておかしかった。


 方針が決まったこと、状況が大きく動く可能性が低いことを根拠に、リーちゃんは外部との情報の送受信により注力すると判断を下した。

 既にわかっているのは、この世界での時間の進み方が、元の世界よりもかなり早いということである。

 なので、こちらから情報を入手するのは実はそれほど難しくはなく、かなり間延びしているものの、外の世界からの信号を計測して分析を駆けることで、一端デジタルデータに変換することで紐解けていた。

 問題は、こちらからの情報の送信が、時間圧縮されてしまっているせいで、信号として短すぎる為に伝わらない。

 まあ、正確には伝わってないと思われるだけで、実際には読み解けているのかも知れなないけど、可能性の話をするならば、最低ラインの状況を前提……つまり伝わってないと考えた方が情報伝達のロスを消せて、連携を図れる可能性が高いのだ。

 故に、リーちゃんは、これまでの情報受信で推測した時間進行のズレから算出した信号として伝わるであろう時間発報をして、状況伝達を試みる。

 一度情報のやりとりが確立できれば、以後の情報の送受信は自動化できると言うことなので、最初の一回のやりとりを、千夏ちゃんの家に潜伏する前に終えたいという意見もあって、私もこのタイミングが最良だと同意した。

 そんな背景事情があって、今日からしばらくは相棒に意見を求めることの出来無い日々が始まる。

 そこで私は、急に下手になったと思われないように、頭の中でしっかりと神楽舞いの振り付けを反復して、リーちゃんの不在を悟られないように心掛けることにした。

 理由は単純に『種』にリーちゃんの不在を伝えないためである。

 まあ、既に動きを完全把握されている可能性もあるけど、その場合は何をやっても無駄だけど、もし把握していないのなら、意味があるという程度の対抗策だ。

 それに、確認を任せる程度は良いかもしれないけど、いつまでもリーちゃんに頼りきりというわけにもいかないというのも大きい。

 良いタイミングだと思って、私は何度も繰り返し頭の中で振り付けをなぞった。


 若草物語の配役も決まり、今日は木曜日で演劇部は活動日ではなく、自主練習の日だ。

 授業が終わり放課後を迎えた私たちは、例の空き調湿で神楽舞いの練習をする。

 前の日に話に出たとおり、足さばきをチェックしあえるように、今日から体操服に着替えて練習をするのだけど、問題は着替えだ。

 驚くべきことに、未だこの時代は更衣室がほとんど無い。

 体育の時は2クラスが合同で、どちらかの教室に男子、もう一方に女子といった風に分かれて着替えをするのだ。

 プールには備え付けの更衣室があるので、水泳の授業はそちらを使う。

 部活はそれぞれ部室があるので、そこで着替えるのが一般的だ。

 さて、私たちはと言うと、当然部室はないので、この秋教室で着替えることになる。

 最初にカーテンを引いたままで、教室の中央に着替えをおけるように机をいくつか運んできて着替えることになった。

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