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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第一章 過去? 異世界?
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お弁当作り

 ピッと一音だけ、電子音声が耳に入った。

 それに合わせてカタッという音と、布が擦れる音がする。

 私が上半身を起こしながら音の方を見ると、丁度同じように身体を起こしていたお姉ちゃんと目が合った。

 そのお姉ちゃんの口が、多分だけど『起こしてゴメン』と音を発さずに動く。

 私は音が立たない程度の速度で軽く首を左右に振った。

 お姉ちゃんは、自分のお腹を刺しながら、またも口パクで『大丈夫?』と聞いてきたので、今度は縦に頭を動かして返す。

 私の反しを見たお姉ちゃんは、横で眠るユミリンの様子を覗ってから、布団をめくって、本格的に動き出した。

 お姉ちゃんは、テキパキとした動きで布団を畳んでいく。

 敷き布団も一纏めにすると、その下から大きめのタオルが顔を出した。

 お姉ちゃんはそのタオルをめくり、中から制服のであろうスカートを取り出す。

 その様子を見て、昨日寝る前に、ユミリンとお姉ちゃんが、スカートを『ネオシ』すると言っていたのを思い出した。

 かなり朧気な記憶だけど、確か制服の生地は熱に弱いから、昔は布団の下に強いて『寝押し』をしたとか、何かのアニメ映画を見たときに教えて貰った記憶がある。

 正直、目で見てスロットを止める『目押し』だと勘違いしていたので疑問だったのだけど、ようやく謎が解けた。


 綺麗に布団を畳んで片付けたお姉ちゃんは、そのまま黙って入口のドアを開けた。

 そのタイミングで、廊下からふわりとお味噌の微かな香りと朝の光が、部屋へと流れ込んでくる。

 僅かな時間で部屋から出たお姉ちゃんが、ドアを閉めたことで、味噌の香りも朝の光も途絶えた。

 やあやって、今度はトントンと、お姉ちゃんが階段を降りる音が聞こえてくる。

 私は未だ寝息を立てているユミちゃんを見て、どうしようかと考えた。


「あら、凛花も起きたの?」

 なかなか帰ってこないお姉ちゃんが気になって、一階に降りたところで、お母さんに声を掛けられた。

「お姉ちゃんも起きたし」

 そう答えると、お母さんは「お姉ちゃんは台所でお弁当作ってくれてるわよ」と教えてくれたので「わかった。ありがとう」と返して早速行ってみる。

 台所にはお母さんが教えてくれたとおりお姉ちゃんがお弁当を作っていた。

 じゃらじゃらと木製のすだれを押し上げて台所に入ると、こちらを見たお姉ちゃんが「あら、凛花」と笑みを浮かべてくれる。

 笑顔で迎えてくれたお姉ちゃんに歩み寄りながら「おはよう。お姉ちゃん」と挨拶をした。

 対して、お姉ちゃんは手を止めず大小四つのお弁当箱に置かずにご飯を詰め込みながら「どうしたの? つまみ食いでもしに来た?」と聞いてくる。

 私は「えー、つまみ食いなんてしないよ」と否定してから「でも、手伝えることがあったら手伝おうと思って」と言ってみた。

 ただ、もうお弁当作りは終盤のようなので「出番はなさそうだけど」と苦笑する。

「そんなこと無いわよ、はい、凛花!」

 お姉ちゃんはそう言うと、自分の持っていたお箸と、きんぴらゴボウの入っていたお皿を手渡してきた。


 テーブルに並べられたお弁当箱は、大、中、中、小の四つだ。

 このうち二つには見覚えがある。

 中サイズの一個がユミリンのだし、小さいのは私のだ。

 多分、もう一つの中サイズは私のお弁当箱と同じ系列のなので多分お姉ちゃんので、大きいお弁当箱は多分お父さんのだと思う。

 多分、専業主婦のお母さんの分は要らないということの筈だ。

 お弁当箱には既にご飯と卵焼きが入っているので、お箸ときんぴらゴボウのお皿の後に渡されたアルミホイルを適当に切って入れる。

 と、その前に「お姉ちゃんおかずは、卵ときんぴらだけ?」と確認してみた。

「まだ、インゲンとにんじんの肉巻きもあるわよ、後ブロッコリー」

 そう言いながらお姉ちゃんは別のお皿を見せてくれる。

「じゃあ、あんまり大きく場所取っちゃダメだね」

 そう口にした私は、お姉ちゃんの手にしたおかずの量を確認しつつ、アルミホイルのサイズを調整してお弁当箱の中に納めていった。

 肉巻きやブロッコリーに比べて、エリアのサイズの変更も容易なので、余り考えずに決めてしまっている。

 まあ、手慣れた様子のお姉ちゃんなら、私が多少やらかしてもフォローしてくれるはずだ。


 四つの箸箱を乗せたお弁当箱を、それぞれ一枚のナプキンで包んで仕上げたところで、お姉ちゃんが笑顔で「凛花、ありがとう」と言ってくれた。

「いや、私はちょっと手を出しただけだし、お姉ちゃんこそいつもありがとう」

 私が慌ててそう返すと、クスクスと笑いながらお母さんが「二人ともありがとうで良いじゃ無い。お母さん凄く助かっているわ」と言う。

 そんな言葉に顔を見合わせた私とお姉ちゃんは、お互いに「そうだね」と口にして笑い合った。

 少し笑ったところで、お母さんが「じゃあ、そろそろ、ユミちゃんを起こしてきてあげて」と言う。

「わかった」

 私はそう答えると、未だ寝ているであろうユミリンを起こすために、二階の部屋に向けて台所を後にした。

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