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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第七章 偶然? 必然?
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帰宅と設置

「「「おかえり~~」」」

 再び、委員長のお父さんの車で送って貰った私達は、どうやってタイミングを計っていたのか、玄関を開けたお姉ちゃん達留守番組に出迎えられた。

 少し驚いたのは、その中に茜ちゃんが混じっていたことである。

 思わず「茜ちゃん?」と声を上げてしまったが、本人はいつもの調子で「さっきぶりぃ~」と手を振り返してきた。

「なんで……」

 私は総会の後、姿を見なかった茜ちゃんが何故にウチに来ているのか、話を聞こうとしたのだけど「凛花ちゃん、先に機材を運ばせて」と委員長に声を掛けられて止められる。

「あ、そうだった! お母さん、どこに運んで貰うの?」

 委員長にやるべき事を指摘されて、私はお母さんに声を掛けた。

 お母さんは「居間が良いわね。テレビに付けるんでしょう?」と返してくる。

 これに「テレビというと?」とオカルリちゃんが興味深そうに尋ねてきた。

「実は、神楽を任せて貰えることになったんだけど、前の舞手のお姉さんが遠くに住んでいて、自主練習が主体になるの……で、その練習用にこれまでの練習や本番を録画したモノを貸し出して貰って、その機材を借りてきたの」

「なるほど、じゃあ、接続は私も手伝います!」

 私の話に笑みを深めたオカルリちゃんはそう言って胸を叩く。

「心強いよ!」

 短くそう答えてから「凛花」と私に声を掛けてくれたお姉ちゃんに「ごめん、お姉ちゃん。もう委員長のお父さんと、うちのお父さんが機材を運んでくれてるから、お話しは後でいいかな?」と後ろを振り返りながら尋ねた。

 私の視線を追って、後ろを見たお姉ちゃんが「そうね。話は後にした方が良さそうね」と納得してくれる。

「じゃあ、皆、荷物が通りやすいように、通路を開けてー」

 すぐにお姉ちゃんは振り返ってそう指示を出すと、皆はすぐに了承して行動を開始してくれた。


 オカルリちゃんは、お父さん達を的確に指示しながら、運び込まれた機材をスムーズに接続していった。

 機材といっても、モニターと録画装置だけだけど、それそれが大きくて重い。

 モニターはブラウン管が使われた大きくて四角かった。

 再生機材の方も、モニターほどではないけど、かなりの大きさがある。

 加えて、録画データは黒い長方形の箱のようなビデオテープに記録されていて、入れ替えて再生しないと動画を見ることは出来ないうえに、一本につき1~2時間程度しか記録できないので、このテープだけでも段ボール一箱分あった。

 しかも、この時代の機器は一つずつ、個別のコードで有線接続しなければいけない。

 お父さん達にも、機材同士を繋ぐのはかなり難しいらしく、オカルリちゃんの知識には二人とも感謝していた。

 こうして、かなり短い時間で接続は完了となり、早速試運転となる。

 モニターについているダイアルを動かして、チャンネルを調整したオカルリちゃんは、ガチャコンと大きな音を立てて、ビデオレープをセットし「じゃあ、いきますね!」と宣言して再生ボタンを押し込んだ。


 独特の駆動音が響いてすぐに、モニターの方に変化が起こった。

 ザアッと画面全体にノイズが走る。

 パッと画面が青一色に切り替わると共に、プツッと大きな音をモニターが発した。

 画面中央に昭和60年夏祭というテロップが出て、さっき見てきたばかりの境内の映像が映し出される。

 多くの人達が神楽舞台を囲んでいる姿が映し出された。

 映像はブツッという音と共に、一旦途切れてから、恐らく本殿側からと思われる映像に切り替わる。

 直前よりも神楽舞台を囲んでいる人の数が増えていた。

 視点を切り替える間に、観客が増えたのだろう。

 そうして、シャンシャンとすぐが鳴り響いたところで、委員長のお父さんが「大丈夫そうですね」と口にした。

 それを合図にオカルリちゃんが、停止ボタンを押して、動画の再生を止める。

 動画が止まり、委員長のお父さんが立ち上がったので、自然と皆の目はそちらに向かった。

「無事、取り付けも終わりましたし、私はここでお暇させていただきますね」

 委員長のお父さんがそう口にすると、お父さんが「わざわざありがとうございました。助かりました」とお礼を告げる。

「私よりも、田中さんの方が活躍していましたよ」

 委員長のお父さんはそう言って笑いながらオカルリちゃんを見て、丁寧に感謝の言葉を口にした。

 更にその感謝の言葉にお父さんも加わり、二人のお父さんから褒められたオカルリちゃんは頬を真っ赤にして照れてしまう。

 その様子を微笑ましそうに眺めてから、委員長のお父さんは視線を自分の娘に向けた。

「報告もあるので、もう行くけど、美保はどうする?」

 委員長はチラリと私たちを見てから「あーちゃんと一緒に帰る……でも、いいかな?」と返す。

 それを聞いた委員T両のお父さんはウチのお父さんに「かまいませんか?」と尋ねた。

 お父さんは「もちろん、構いませんよ」と『頷いてから「よろしければ、アナタもお嬢さんも一緒に食事をしていきませんか?」と誘う。

 委員長のお父さんは「報告もありますし、またの機会にお願いします」と申し訳なさそうに断わってから、委員長に「母さんには言っておくよ」とだけ伝えた。

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