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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第七章 偶然? 必然?
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氏子総会へ

 日曜日、午前中に、ユミリン、史ちゃん、加代ちゃん、オカルリちゃん、まどか先輩と我が家には沢山のお客さんが訪れた。

 委員長からは電話で、午後一時頃迎えに来てくれるという連絡があり、午前中に空きが出来たので、私たちは宿題を皆で取り組んでいる。

 千夏ちゃんはクラスが違うので、宿題がうちのクラスより少なかったけど、既に終わらせた私と一緒に教える側に回ってくれた。

 終え得ちゃんとまどか先輩は受験生なのもあって、受験勉強をしている。

 まどか先輩は音楽学校という目標があるものの、目標を一本化せず、学区内にある演劇の盛んな公立高校を志望校に定めているようだ。

 ちなみに、お姉ちゃんの志望校も同じくなので、二人は同じ学校に進学するのかもしれない。

 二人で話し合って決めたのか、自然とそうなったのか、少し気になるけど、根掘り葉掘り聞くのは野暮だなと思って、質問するのは控えることにした。


 皆で取り組んだこともあって、宿題は割と短時間で皆終えることが出来た。

 お昼ご飯まで時間があり、月曜日にはオーディションがある。

 この場にいる全員が演劇部の中でも演者をする予定、となれば、自然と練習することになった。

 オーディションの配役から、メグに史ちゃん、ジョーにユミリン、ベスに私と加代ちゃん、エイミーに千夏ちゃんとオカルリちゃんという割り振りになる。

 秋が本番の新人戦では、お姉ちゃんとまどか先輩は引退後になるため、二人は配役のオーディションを受けないので、今回の練習では、足りていない役、メグのもう一人をお姉ちゃん、ジョーのもう一人をまどか先輩が勤めてくれることになり、二組の四姉妹ができあがることになった。

 二組の四姉妹ということで、同役の二人でトランプで組み分けをする。

 結果、私の組はお姉ちゃん、ユミリン、千夏ちゃん、もう一組が史ちゃん、まどか先輩、加代ちゃん、オカルリちゃんとなった。

 練習はオーディションで使う四姉妹の交流のシーンで、交互に一通りセリフを読み合わせる。

 演じてる間、もう一組がそれを見て意見を言う方針だ。

 お姉ちゃんとまどか先輩が、丁度良くそれぞれの組に分かれてくれたお陰で、必ず経験者の上級生から意見を貰える形になったはありがたい。

 何度も同じシーンをそれぞれの組で繰り返し臙脂ながら、気付いたことを言い合って、午前中は過ぎていった。


「さて、凛花、準備は良いかしら?」

 お母さんにそう問われた私は「う、うん」と返した。

 反応がぎこちなくなってしまったのは、いわゆる卒服、卒業式用の子供フォーマルなドレスを着せられているからである。

 丸襟、袖口と至る所にレースのフリルがあしらわれた白いブラウスに、黒のジャンパースカート、グレーの襟無しジャケット、靴下もくるぶしより上にフリルがついていた。

 卒業式なら目立たない衣装だけど、日常ではもの凄く浮いてしまう。

 そんなわけで、興味深そうに私を見る皆の目がもの凄く恥ずかしくて、かなり身体が強張ってしまっていた。

 もちろん、こんな格好をしているのは、氏子総会に出席するからで、お父さんもいつもより生地に光沢がある高そうなスーツに身を包んでいるし、お母さんもクリーム色のワンピースタイプのドレスに身を包んでいる。

 委員長に服装の確認をしなかったので、失礼の無いようにということで、この格好になった。

 昭和は元の時代よりも礼儀を重んじた傾向が強いようなので、少し堅苦しくても当たり前なのかもしれない。

 まあ、お母さんとしては、私のサイズだとお下がりとして誰かに譲れなかった一式が卒業式だけで終わらなくて良かったと喜んでたし、史ちゃんや加代ちゃん、千夏ちゃん、オカルリちゃんも大絶賛してくれた。


 予定時間ピッタリにやって来た委員長は「凛花ちゃん、こんにちは、お父様、お母様、今日はよろしくお願い致します」といって頭を下げた。

 ただ、丁度、千夏ちゃん発案で、家の前で記念撮影をしていたタイミングだったので、急に冷静になってしまった私は、もの凄い恥ずかしさに襲われる。

 場の空気に流されていたとはいえ、記念撮影をする必要は無かった。

 そんなわけで、恥ずかしさと公開で硬直してしまった私だけど、皆は別に気にした素振りも見せずに委員長に応じている。

 私だけが皆の流れから離脱している間に、挨拶を済ませ、車を止めている場所を説明した委員長は、そのまま流れるように案内を開始した。


 いつの間にかお姉ちゃんに手を引かれて、車に辿り着いていた私は、頭が上手く回ってないうちに、お母さんに続いて車のシートに押し込まれた。

 後から乗ってきたお父さんに挟まれたところで、ドアが閉まり、皆が立つ歩道側の窓ガラスが開く。

「おっ」

 珍しくお父さんが声を上げたので、気になって視線を向けた。

「凛花、これはパワーステアリングと言って、電動で窓ガラスが開く機構なんだ」

 お父さんがそう言いながら小さく両手上げてみせる。

 意味がまったくわからない私の横で、お母さんが「ほら、うちの車はハンドル回して窓を開けるでしょ? この車はハンドルじゃなくて電動なのよ」と説明してくれた。

 そこで、ようやく、この時代はまだドアの電動化は珍しいのだと気付く。

 と、同時に前に視線を向けると、運転席の委員長のお父さんがルームミラー越しに少し困った顔で笑っているのが目に入った。

しばらくの間、予定が立て込んでしまったため、更新が不安定になるかも知れませんが、更新可能な日は16時に掲載しますので、予めご了承ください。

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