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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第六章 日常? 非日常?
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お泊まりで

「これは楽しみになってきたわね」

 委員長が目を輝かせて言うと、茜ちゃんが「ウチ! ウチはぁ、広い部屋もあるからぁ、提供できるわぁ」と手を挙げて主張し始めた。

「皆で集まるなら、確かに、あーちゃんの家は良いわね」

 頷く委員長に、茜ちゃんは「お、お泊まり! お泊まりも大歓迎だよぉ」と続く。

はしゃいだ様子でそう宣言した後で、茜ちゃんはハッとした表情を浮かべて「あ、そのぉ……お寺が嫌じゃなければぁ」と目に見えて意気消沈していった。

「私は、行きたいです!」

 すぐに宣言したのは、やはりというべきかオカルリちゃんである。

 オカルリちゃんの性格や好みを知っているので、純粋に生きたいんだろうなと思えた。

 ただ、オカルリちゃんの宣言は呼び水になったようで、千夏ちゃんも「私もお邪魔したいな」と言う。

「え、いいのぉ!?」

 オカルリちゃんの時には強く反応しなかった茜ちゃんが、千夏ちゃんには驚いた表情を見せた。

「ちょっとぉ~~茜さ~~ん?」

 茜ちゃんの態度の違いに、オカルリちゃんがジト目を向ける。

 対して、茜ちゃんは「だってぇ~~ルリちゃんはぁ、夜のお寺とかぁ、お墓とかぁ、普段から来てるでしょぉ」と同じくジト目で応戦した。

 その上で、更に茜ちゃんは「でもぉ、千夏ちゃんはぁ、大変な状況なのにぃ、興味を示してくれたんだよぉ? 嬉しくなるじゃない~?」と言い加える。

 オカルリちゃんは「まあ、確かに」と思ったよりもあっさりと認めて頷いた。

「というわけでぇ、凄く嬉しいですぅ」

 茜ちゃんは千夏ちゃんに向き直って、もの凄く嬉しそうに笑う。

「そ、そんなに喜ばれることじゃないと思うけど……」

 真っ直ぐ笑みを向けられた千夏ちゃんは、スッとこちらに視線を向けてきた。

 もちろん視線だけで、何かを言われてはいないけど、千夏ちゃんの目が、私にも宿泊を希望して欲しいと言ってる気がする。

 私はその直感に従って「私も茜ちゃんのお寺に泊まってみたいかも」と名乗り出てみた。

 すると、茜ちゃんと、何故かオカルリちゃんが「「凛花ちゃんも!?」」と声を揃えて迫ってくる。

 多少気圧されてしまったモノの、前言撤回するつもりはないので「う、うん」と頷いた。

 対してオカルリちゃんは口元をニヤニヤと緩ませ、茜ちゃんは来たいの籠もった目で他の皆を見やる。

 茜ちゃんの期待の視線に、加代ちゃんが「私は……お、お泊まりまで出来るか、ちょっと、自信は無いけど、でも衣装合わせはお昼間だよね!? そっちは絶対参加するよ!」と自分の考えを示した。

 史ちゃんは「凛花様が参加されるなら、私は絶対に参加したいと思います」と言い切る。

 そして、ユミリンは「茜には、不謹慎に聞こえるかもしれないけど、夜の寺なんてワクワクするな」と言って笑って見せた。

 茜ちゃんはそんな皆の意見に頷きながら「来てくれるだけでぇ、興味を持ってくれただけでぇ、嬉しい~!」と嬉しそうにする。

 更に茜ちゃんは、加代ちゃんの手を取って「怖いのは仕方ないからぁ、無理はしないでねぇ、お昼間だけでもぉ、来てくれるだけで嬉しいよぉ」と微笑みかけた。

 これに、委員長が「まあ、実際にあーちゃんの家に行ってみたら、止まるのも怖くないと思うかもしれないわよ」とサラリと言ってみせる。

 茜ちゃんはそんな委員長と、加代ちゃんを交互に見て、少し困った表情を浮かべた。

 委員長に同調して、加代ちゃんを追い詰めないかと考えているんじゃないかと思う。

 私がそう考えたところで、加代ちゃんは少し考えてから「た、確かに、日、一人でお寺に泊まるわけじゃ無いもんね。皆と一緒に泊まれるなら、夜も大丈夫かもしれない」と言った。

 加代ちゃんにそう言われても尚、茜ちゃんは「無理はしないでねぇ」とだけ伝える。

 意外に、茜ちゃんの抱えているトラウマは大きいように見えた。

 友達が来てくれると言うだけで嬉しそうな茜ちゃんだけに、家に来て、怖がられて、帰られたなんて事を目の当たりにすればトラウマになるだろうし、警戒が抜けきらなくなってしまうのも仕方が無い。

 なので、口で何を言ったところで、仕方が無いだろうと思ってしまった。


「凛花様と一緒に泊まるなら、怖さなんか感じないんじゃ無いかしら」

 ポツリと言う史ちゃんに、加代ちゃんは少し考える間を置いてから「確かに」と頷いた。

「むしろ、リンリンがいるなら、リンリンを護らなきゃってなるよな-」

 ユミリンの発言に、千夏ちゃんが「わかるわ」と頷く。

 二人のやりとりに戸惑った私は、何かを言わなければと思ったのに「ちょ、え?」と二音発するのが精一杯だった。

「凛花様は安らぎも、勇気も、使命感も齎してくれるってことですよ」

 オカルリちゃんはもの凄く真面目な顔でそんな事を言い、委員長も「さすがリーダー……いえ、姫ね」と、パチンとウィンクをしてみせる。

 何故か醸成された『凛華(わたし)がいれば大丈夫』という空気に、茜ちゃんの口からは「我が家のお泊まりの会のためにぃ、ご協力お願いしますぅ、姫様ぁ」と本気なのか冗談なのか判断に困る発言が飛び出した。

しばらくの間、予定が立て込んでしまったため、更新が不安定になるかも知れませんが、更新可能な日は16時に掲載しますので、予めご了承ください。

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