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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第六章 日常? 非日常?
325/475

それぞれの

「オカルリちゃん。リーちゃんに頼めば、スイッチを入れて貰うことが出来ると思うんだけど?」

 私が話が降ると、オカルリちゃんはすぐにリーちゃんに視線を向けた。

 少し考え込むような素振りを見せてから、オカルリちゃんはこちらに視線を向けてから「この子が、カメラと一緒に隠れて、侵入者が現れたら録画をする……ということですね?」と聞いてくる。

 リーちゃんはこれに大きく頷き『その通りじゃ!』と言い放った。

 直後、皆の目が私に集まる。

 何が言いたいのかを察した私は「腹話術じゃないよ……えと、ちゃんとリーちゃんには意思があって、自分で考えて行動できるよ」と説明した。

 私の簡潔な説明で、理解してくれたのか、皆の目がスッとリーちゃんに向かう。

 正直、リーちゃんが自分から話し始めるとは思わなかったけど、きっと考えがあるはずだ。

 問題はそこに予測が立っていないことだけど、ここで委員長が確認という形で考えを披露してくれる。

「いろいろ、信じがたいところはあるけど、要するに、凛花ちゃんがずっと操作というか、操るというか、なにかし続ける必要は無いという解釈で合ってるかしら?」

 リーちゃんは『そうなのじゃ。わらわは主様とは独立した存在故、単独行動も可能じゃ』と肯定した。

『故に、監視中、主様が何らかの負担を負うことはないのじゃ』

 言い添えられたリーちゃんのセリフに、皆安堵の表情を見せる。

 どうやら、リーちゃんが潜伏している間、私が能力を使い続ける……つまり、負荷が掛かり続けるのではないかと心配してくれたようだ。

 その心配を解消するために、リーちゃんは敢えて自分が自立していることを示してくれたんだと理解する。

 すると、リーちゃん本人から考えを肯定する言葉が頭に響いた。


「これならほとんどの条件をクリアできますね」

 オカルリちゃんの力強い断言に、皆がほぼ一斉に頷いた。

 そんな中、千夏ちゃんが暗い顔をしていることに気付いた私は「何も撮影するモノがないといいね」と、敢えて口にする。

 多分、皆を巻き込んでいると千夏ちゃんは感じているんじゃ無いかと思ったし、自分の勘違いだとどうしようと思ってるんじゃないかと、私は考えていた。

 だからこそ『何もなければ良い』と千夏ちゃんに示したのだけど、真っ先にお母さんが「そうね。事件は起こらないに限るわね」と同調してくれる。

 私の意図を察してくれたのであろうお姉ちゃんも、お母さんに続いて「不安って言うのはわからないからこそ大きくなるのよ。だから、確認するのは大事だし、千夏ちゃんはか弱い女の子なんだから、真っ先に逃げることを選ばなきゃ駄目なのよ」と笑みを浮かべながら優しく囁いた。

 その後で「それに、考えてもみて!」といきなり声の調子をハキハキした強めのモノに切り替える。

 急変に吃驚した顔を見せる千夏ちゃんに、先ほどの柔らかな笑みとは違う、まどか先輩の様な豪華意味を感じる笑みを浮かべてお姉ちゃんは「凛花が誰かに監視されてるかもしれないと不安に思って、それが気のせいだとか、思い込みだと思って、誰にも相談できず、無理矢理勇気を振り絞って、その場に踏み止まろうとしたら、どう思うかしら?」と問い掛けた。

 私を引き合いに出しても仕方が無いと思ったのだけど、千夏ちゃんは「それは、保護しないといけませんね、凛花ちゃんを!」と強めね口調で即答する。

「私たちにとっては、凛花も、千夏ちゃんも、同じ。護りたい存在なのよ、ね、母さん?」

「そうね。だから、気に病むことは何にも無いし、何もないならそれが一番良いことなのよ。もし、自分の思い込みだったらどうしようなんて、余計なことを考える必要は無いわ」

 お姉ちゃんとお母さんの断言に、千夏ちゃんの瞳が大きく揺れた。

 そんな千夏ちゃんに向けて、まどか先輩が「姫も、千夏も大事だ後輩だからな。私も良枝やさっちゃんと同じ気持ちだ」と続ける。

 続いて、史ちゃん、茜ちゃん、加代ちゃん、委員長と同意を示した。

 オカルリちゃんは「私は実験したい気持ちもあるので、ちょっと純粋さに欠けてるかも知れませんが……でも、ちーちゃんに被害が無いことは喜ばしいと思いますよ」と少し言い難そうに、けど、本陣だとわかる言葉を口にする。

 自分を囲む皆の言葉に、目の揺らぎが益田千夏ちゃんの目がこちらに向いたので、それに合わせて私は「うん。私も何も無い方が良いし、不安を消すためにも、ちゃんと確認しておくのは必須だと思う」と伝えて、最後の一人に視線を向けた。

 結果、トリになったユミリンは、何度も口を開こうとしては、声を発せられず、最終的に頭を掻いて渋い顔をする。

 ユミリンは更に溜め息を吐き出して、視線を外したまま「私は、勘違いで明あを巻き込んだら、この自意識過剰女って、罵ってやるつもりだ」と言い放った。

 そう言われ千夏ちゃんは目を大きく見開き、その垂あふれ出た涙が頬を伝う。

 そんな千夏ちゃんの涙を見ないまま、ユミリンは「けど、そんときは私も一緒に皆に謝ってやるから、心配すんな……お前は気に入らないけど、その……と、ともだちだからな」ともの凄く言い難そうに口にした。

 直後、千夏ちゃんの口元に笑みが浮かぶ。

 そして、無理に出したとわかる明るい声で千夏ちゃんは「言質取ったわ! ちゃんと付き合いなさいよ!」と言い放って、ユミリンの背中をバシッと叩いた。

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