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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第六章 日常? 非日常?
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踊りの授業

「学校の先生方も前向きに協力してくれているというのが良い方向に働いたわよ!」

 教室にはイルなり、委員長が満面の笑みでそう言ってきた。

 間違いなく神楽の舞手の話なんだろうとは思うけど「日曜日に詳しく決めるんですよね?」と、考えが正しいかを確かめる。

「ええ」

 頷く委員長に「もの凄く話が早く進んでる気がしますね」と感想を口にすると、すぐに「どうも昨日私たちが演劇部の練習に参加している間に、先生方からウチの氏子会に連絡が行ったみたいでね。皆諸手を挙げて凛花ちゃんを推薦してくれたらしいわよ」と説明してくれた。

「も、諸手……」

 先生達がバックアップしてくれる話は聞いていたモノの、こちらに来てから日が浅いのもあって、自分が何故そこまで持ち上げられているのか、腑に落ちない……過大評価が過ぎている。

 けど、私の友人達は当然だと言わんばかりの意見のようだ。

「さすが、私の親友。鼻が高いよ!」

 ユミリンの発言を皮切りに「私は当然の評価だと思います」と史ちゃんが続く。

 更に、加代ちゃんが「リンちゃんは自己評価が低い見たいだけど……」と思わせぶりな目で私を見てから「出会った人は皆、短い時間でもファンになっちゃうんだね~」と笑みを浮かべて言い放った。

 加代ちゃんは純粋に言っているように見える。

 そんなまったく揶揄う様子が見られない加代ちゃんに、私はツッコミを入れることも出来無かった。


 この日の体育の授業は、プレイルームと呼ばれる少し大きめの特別教室で行われることになった。

 体育館ほどの広さはないが、教室二つ分程度の広さがある。

 プレイルームの一面はガラス張りになっていて、腰のやや上の位置に手すりが取り付けられていた。

 床は元の世界と同じく、木材では無く、恐らくダンス教室やバレエ教室でも使われるリノリウム敷きである。

 そのプレイルームに集まっているのは、E組とF組の女子生徒だけで、男子はグラウンドだ。

 私たちはクラス毎に整列した上で、床に直接お尻を付けて、脚を両腕で抱える『体育座り』という座り方で、綾川先生の到着を待っている。

 元の世界では、身体に負担を掛けるということで、見直す学校が多くなっている『体育座り』だが、この昭和の世界では、標準というか当たり前の座り方なので、慣れていない私としてはおかしくないか少し不安だった。

 が、よく観察をしていると、足の開き方が広かったり、狭かったり、あるいは、膝の上を通して脚を腕で抱えたり、膝裏に筆を通したりと、座り方には違いがあるので、皆座りやすい方法を選んでいるように見える。

 とはいえ、それも体育の担当である綾川先生の到着までの事で、先生が入ってくると、全員がきっちりと膝を揃えて、量ででしっかり抱える基本の姿勢を取った。


「さて、今日は体育祭に向けて、踊りを踊って貰う!」

 綾川先生の宣言に、委員長が「踊りですか?」と聞き返した。

 頷いた綾川先生は「体育祭では、女子は必ずダンスの演目があるんだ。二、三年生は創作ダンスなんだが、一年生は日本伝統の踊りと決まっているんだ」と言う。

「まだ、体育祭実行委員会が招集されていないから、今年の体育祭で、皆が何の踊りをするかは決まってない。ということで、昨年の演目、つまり今の二年生が踊った『花笠踊り』を踊って貰う」

 綾川先生はそう言うと、今度は委員長を初め何人かを指名して、プレイルームの入口にある段ボールから紙で出来た笠を配るように指示を出した。


 全員が笠を手にしたところで、綾川先生は皆の前に笠を手に立った。

「この花笠踊りは山形県の踊りで、傘を持って踊るのが特徴だ」

 手にした傘を軽く振りながら先生は説明を続ける。

「去年はこの笠に紙で作った花を付けて踊ったわけだが、華やかで見事だったぞ。兄や姉がいる子は、見たかもしれないな」

 綾川先生の言葉に、見ましたという声や綺麗だったという声が上がった。

「もしも、見てみたいなら、去年の体育祭のビデオがあるから申し出てくれ。放課後に上映会をする予定だ」


「では、まずは踊りの振り付けを覚えて貰う」

 綾川先生はそう宣言すると、丁寧に手の動きと脚の動きを指導していった。

 元々は街中を練り歩く踊りなのもあって、昨年の体育祭では合同クラス毎に円を描いて、それに沿うように踊ったらしい。

 流石にプレイルームが教室よりも広いとは言え、全員で一つの円を描くのは大変なので、二つの円を作ることになった。

 クラス毎と思いきや、なんと背の順で高い組と低い組に分けられてしまう。

 鏡と手すりの摂津された壁を正面に、背の低い組の円、奥に背の高い組の円を置いて、綾川先生は鏡の前に立っていた。

 皆が鏡を見れて、綾川先生も全体を見渡せるので、効率的な配置ではある。

 そう思うと、多少背の高さで分けられてしまったことに、引っかかるものはあったけども、抗議するほどのことでもないし、よりよい代案も思い付くわけでもないので、同じチームになった加代ちゃんと史ちゃんに挟まれて、花笠踊りに挑むことにした。

しばらくの間、予定が立て込んでしまったため、更新が不安定になるかも知れませんが、更新可能な日は16時に掲載しますので、予めご了承ください。

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