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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第六章 日常? 非日常?
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実演と報告

『なんだか、隠し事をしてるみたいで、気が引けるけど、大野先生が戻ってくる前に話を済ませちゃおうと思うんだけど?」

 私の発言に、皆を代表してオカルリちゃんが「異議なし」と答えた。

 ここで、余り事情のわかっていない千夏ちゃんに、オカルリちゃんには特殊な能力があって、私の幽体離脱を目撃したという事実を伝える。

 千夏ちゃんは、私の幽体離脱した姿をオカルリちゃんが見られることにびっくりし、一方、史ちゃんと加代ちゃんはユミリンだけで無く、千夏ちゃんまで知っていたことに驚いたようだ。

 と、皆が落ち着くのを待って上げたくは合ったものの、残された時間がどの程度かわからないので「じゃあ、実際に見て貰うね」と宣言する。

 すると、委員長が「そんな簡単に出来るものなの?」と目を瞬かせた。

「結構、慣れてるから」

 それだけ伝えて、倒れ込まないように椅子に深く腰掛け直す。

「じゃあ、始めるけど、まずは『目』を出してみるね」

 私はそう宣言すると共に、目を閉じた。

 ここでオカルリちゃんが「ちょっと、まって、『め』って、なに? モノを見る目のことで合ってる?」と聞いてくる。

 意識を集中して『目』を出現させる前に「私も説明がうまく出来るかわからないから、実際に見て貰って質問して貰う形でも良い?」と逆に聞き返した。

 オカルリちゃんは「わ、わかった。じゃあ、集中して見てる」と口にした後、何かを置く音が聞こえてくる。

 目を閉じているので予測にはなってしまうけど、私の勘s多雨に集中するために、メモを一旦相談室の机の上に置いたようだ。

「じゃあ、行きます」


 まずは『目』を出現させて、その後『球魂』を身体から分離させてみた。

 どちらも、始める前にそれぞれ『目』を使う、『球魂』を分離すると、やることを宣言してある。

 そんな風に、二回の実演を終えたところで、私は早速、オカルリちゃんに話を振ってみた。

「どう、だった?」

 私からそうとイカルと、オカルリちゃんはかなり興奮した様子で「スゴイよ、ハヤリンの身体から、フワッてハヤリンが飛び出してきて、キラキラ光ってて、神々しくて綺麗で、感動した!!」とほんの一息で一気に言い切る。

「確かにとても神々しかったです! さすが、凛花様」

 うっとりとした表情で感想を口にした史ちゃんの存在に、私は思わず「え!?」と声を上げてしまった。

 これまで、見られると主張していたのは、オカルリちゃんだけだっただけに、他にも見える人がいるのかもしれないという事実に今更ながら思い至る。

 ただ、その事を今考えても仕方が無いので、情報をきっちり収集するために、二人に話を聞くことにした。


「えっと、聞きたいんだけど、史ちゃんには、その、霊感? みたいなのはあるのかな?」

「ありませんけど」

「そっか、やっぱり無いんだ……」

 史ちゃんの答えに頷きながら、途中でおかしいことに気が付いた。

「え!? ないの?」

 てっきり、あると想定していたのに、全く逆の答えだったことに、声が思ったよりも大きくなる。

 一方、史ちゃんは真面目な顔で、動揺すら見せずに「はい。霊感というのはいわゆる幽霊とかが見えるというものですよね? 幸いにと言うべきか、残念ながらというべきか、今までその他食いは見えたことがありませんよ」と言い切った。

「そう……なんだ」

 神格姿を獲得するためには、黒境を越える必要があるものの、神隠しを得ていなくとも、球魂を感じ取れる者はいる。

 いわゆる霊感と言われる神仏や死者の魂を感じる能力の保有者だ。

 だからこそ、確認の意味での質問だったのに『無い』と前提を覆す答えが返ってきたことに驚きしか無い。

 動揺で思考が鈍る前に、何か違う情報が欲しくて、私はオカルリちゃんに目を向けた。

「ん? 私はそれなりに経験があるよ」

 オカルリちゃんの答えに、私は思った以上にホッとする。

 自分の想像していなかったところから、想定通りの場所に状況が戻ってきたような気がして、史ちゃんがジッと私を見ていなかったら『そうだよね』と両手を握ってしまいそうだった。

 それくらい安堵を覚えた私に、多少の冷静さが戻ってくる。

「えっと……その、二回、方法を変えて、身体から意識を切り離したんだけど、二人にはどう見えたか聞いてもいい?」

 とりあえず情報を集めることにして、二人を見た。

 すぐに口を開こうとして、オカルリちゃんは動きを止めて史ちゃんに視線を向ける。

 一方、視線を向けられた史ちゃんは「田中るから報告して良いですよ」と告げた。

 その言葉に、パァと顔を明るくしたオカルリちゃんは、こちらに視線を向け直しながら「いいの!? じゃあ、私から感じたままを言うね、ハヤリンも良い?」と聞いてくる。

 私は頷きながら「お願いします」と伝えた。

「了解!」

 ニッと笑ってそう返事をすると、自然の部屋の皆の視線がオカルリちゃんに集まる。

「まず、私には、セーラー服、つまり今の姿のままのハヤリンが、そのまま身体から浮き出るような感じで見えたかな」

 大きく腕を動かして、ジェスチャーを交えながらオカルリちゃんは見たものの説明を始めた。

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