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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第六章 日常? 非日常?
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最新のネタ

 もの凄いスピードで、お寺で怪談話のお泊まり会の開催が決定してしまったものの、案外皆が乗り気のようだ。

 そもそも、ホストになる茜ちゃんがもの凄く嬉しそうに見える。

 オカルト好きを公言しているオカルリちゃんも、当然、乗り気で……と、考えたところで、そう言えば話が途中で脱線していたことを思い出した。

「オカルリちゃん、七不思議の話は、茜ちゃんちにお邪魔するときにとって置くとして、他にも何か、不思議な話、知っていたりするの?」 

 私がそう話を振ると、オカルリちゃんは「もちろん」といってにまりと笑う。

 何故か、少し背筋が冷えた気がしたけど「どんな話を知っているの?」と踏み込んでみた。

「うーーーん。最近私が触れたとっておきを聞く?」

 話したいという気配をビシバシ感じる問い掛けに、お百合が「もの凄く気になるから聞かせてくれよ」と食いつく。

「私も気になるわ」

 ユミリンもそう言って、手を挙げ、皆も頷いたり同意の声を上げた。

 オカルリちゃんは「実はこの学校の生徒の例が目撃されるようになったのよ」と言う。

 これに、委員長が「まって、なんでこの学校の生徒ってわかるの?」と話の腰を折りかねないストレートな疑問を放り込んだ。

 そんな無粋な問いに対して、オカルリちゃんは「それは簡単。だって、セーラー服を着てたんだもの。私たちとお揃いの」と言う。

「まあ、名札に校章やクラス章といったところは目撃できなかったから、絶対にウチの学校の生徒と断言は出来ないけどねー」

 オカルリちゃんから齎された情報に、委員長は「ふむ」と一言口にしてから「確かに、市内の中学、高校でセーラー服を採用してる公立校はウチだけだから、そういう意味ではウチの学校の生徒って可能性は高いわね」と見解を口にした。

 運動部所属だけ合って、既に他校にも遠征に行っていたりするお百合が「あー、確かに、他の学校はセーラー服じゃ無いもんな」と頷く。

「他の学校の制服って気になるなぁ」

 加代ちゃんがそう口にした直後、オカルリちゃんが「ちょっと待って、加代チン」とストップを掛けた。

「え?」

 驚いた顔を見せた加代ちゃんに、オカルリちゃんは「制服の話は後回しにして貰って良いかしら~今は私のお話の途中なので」と告げる。

「あ、そうだね。ごめんね。つい思い付いちゃっただけだから、邪魔しちゃったね」

 申し訳なさそうに謝る加代ちゃんに「気にしないで! 私も制服の話は面白そうって思うから、後でしっかりしよう!」と言ってオカルリちゃんは笑いかけた。

「う、うん」

 加代ちゃんが頷くと、オカルリちゃんも笑顔で頷いて、再び話の主導権を握る。

「というわけで、ウチの学校の……と、思われる制服姿の女の子が、校舎の上を飛んでいるのを目撃したって言う話なんだけど……」

 気になるところで話を区切ったオカルリちゃんに、ユミリンが「けど、どうした?」と続きを催促した。

 先を聞きたい気持ちは皆一緒だったので、自然とオカルリちゃんに続きを乞うように、皆が前のめりになる。

 対して、オカルリちゃんは「これが結構小さい子みたいでね。身長で言えば、加代チン、フミキチ、そして、ハヤリンくらいの背丈なんだよね」と言い出した。

 自然と、委員長、茜ちゃん、ユミリン、お百合が私たちに視線を向け、私たちも互いに視線を交わし合う。

 その最中、心臓を鷲掴みするような一言がオカルリちゃんから放たれた。

「しかも、先週から急になんだよ」

 言われた瞬間、私の中で、もの凄く、とっても、身に覚えがある出来事が思い浮かぶ。

 この世界に紛れ込んだのは、この世界の時間で先週で、その時に『目』を放った。

 その際の『目』の姿は、あくまでドローンだけど、人によってその姿が違って見えるケースがある。

 基本は見えないものだからからか、いわゆる霊感と呼ばれるような、見えないものを感じたり見たりする能力がある人間は、認識する際に、能力による補正なのか、その力を生み出した人間の姿が見えるケースがあるのだ。

 もちろん、術者がイメージしたドローンの姿で見る人もいれば、球魂のようなヒトダマとか、光る球体のように見えるパターンもある。

 これについてはいろいろと研究や考察されていて、まだ明確な結論が出ていないのだけど、今の問題はそこでは無かった。

 重要なのは、その女の子を目撃したのが誰かという話で、場合によっては、私に辿り着いているかもしれない。

 この世界の人に私が能力を持っているのを知られてしまうのは仕方ないけど、目下、問題になり得るのは、私に能力があることを知られる事が『種』に何かしらの影響を与えてしまう可能性だ。

 私は話の流れからは少し不自然かもしれないと自覚しつつも「それで、その……誰が目撃したの?」と尋ねる。

 すると、オカルリちゃんは「先週の話だよ? いくら、私でもそうすぐには取材できないよ」と言って、笑みを深めた。

 心臓がドキドキと暴れ出して更に言葉を重ねられない私の目の前で、ユミリンが{どういうことだ?」と首を傾げる。

 そんなユミリンに、オカルリちゃんは自分の胸に手を当てて「目撃者はわ・た・し。私だよ、ハヤリン」といって目を細めた。

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