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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第一章 過去? 異世界?
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考察

 正直、リンリン様の声が聞けたのは大きかった。

 具現化の能力を使ったことで『私の神世界』と繋がる事が出来たからだと思う。

 この『私の神世界』というのは、那美ちゃんの起こした事件の時に具現化して、ワープトンネルとして使った白い鳥居の先に広がる世界のことだ。

 二年の間、月子お母さんや志緒ちゃん、オリジンを中心とした研究によって、この私の神世界が、具現化した道具のエネルギー源である『種』の生み出す神世界から、エネルギーを引っ張ってくるためのパイプのような存在だと定義されている。

 つまり、私の中でエネルギーパイプのような認識でしか無かったので、まさか、この世界経由でリンリン様と繋がれるとは思っていなかった。

 予定外の事とはいえ、状況に飲まれ掛けていたのもあって、もの凄く安心している自分がいるのがわかる。

 とりあえず、横で話している幸子さんと保険医の先生に聞こえないように、心の中でリンリン様に呼びかけてみた。


 幸子さんが教室に戻ったタイミングでカーテンを少し開いて保険医の先生が声を掛けてきた。

「大丈夫そう?」

 私は頷きながら「はい。大丈夫です」と明るめの声を心掛ける。

「もしかしたら、貧血かもしれないから、お姉さんを呼んでおくわね」

「はい」

 頷きながらも、私は『この世界には私にお姉さんがいるかもしれないという保険医の先生の言い方』に、心の中でパニックになっていた。

  ただ、待っていれば答えを知ることは出来るので、動揺しながらも「こ、ここで待っていても、良いですか?」と聞いてみる。

 保険医の先生は「お姉さんが来たら起こしてあげるから、少し横になってなさい」と言って、私寝るように促した。


 保険医の先生の言葉に従って横になっている間に、私はリンリン様と情報の交換を果たした。

 まず、私の元いた世界では、私だけが突然行方不明になった事になっているらしい。

 東雲先輩が私が消失した瞬間に立ち会っていて、かなり早い段階で、私が違う世界に来てしまったことは認識されていたらしかった。

 オリジンの推測によると、今、私がいるのは単純に過去の世界では無く、何らかの存在の影響で生み出された特殊な神世界らしい。

 時間が遡行したわけでは無いらしく、こうしてリンリン様とリアルタイムで意思疎通を図ることが出来るのだが、私が元の世界に戻るのはそう簡単な話では無いようだ。

 状況で言えば、辛うじて通信が可能なだけで、私のいる場所が観測されているわけでは無く、私一人では戻れるほど大きな通り道を造ることが出来ない。

 そこで、この後の私がどう動けば良いかを含めて、オリジン、志緒ちゃん、月子お母さんを中心に話し合ってくれているそうだ。

 そこで、私はこの世界の異物として排除されないように、なるべく波風を立てないようにして、この世界のルールに従って、生活することが言い渡される。

 この点について、早速、球魂の切り離しで意識の書き換えを回避したばかりなので、ちょっと不安になりながらも、リンリン様に相談してみた。


『主様が球魂を抜かなければ、記憶を書き換えられていたと考えると、状況としては余りよろしくないが、行動としては良かったのではないかと、オリジンも言っておる』

リンリン様が伝えてくれた言葉に、嫌な汗を掻きながら「状況としては、余りよろしくない?」と説明をしてくれるように促した。

『オリジンも言っておることじゃが……主様が球魂を身体から切り離すことで、記憶の書き換えを回避したことを悟られている可能性があるという事じゃな』

 私は、心の中で『なるほど』と思う。

 あのモヤは目的を達して消えたのか、それとも一定時間が経過したので消えたのかが、わからないのは事実だ。

 ただ、私の記憶には鮮明な男子と掃除をした記憶が植え付けられていたので、モヤは役割を果たし終えているのでは無いかと思う。

『ふむ……確かに、それならば、悟られていない可能性の方が高そうじゃの』

 思いの外、リンリン様の同意が心強かった。

 いや、思えば、友好的な人には恵まれていたものの、異邦人として本音をどこかでしまい込んでいた分、自分の本音や本心を明かせたこと、それを肯定して貰えたことが嬉しかったらしい。

 熱くなった目頭に腕を乗せて、心の中で落ち着けと念じた。

 既にリンリン様とはリンクが繋がっているので、筒抜けだけど、相棒であり理解者であるリンリン様は、呆れているかもしれないけど、ちゃんと黙って見守ってくれている……と、思う。

 そう考えたところで、どこかぶっきらぼうな口ぶりで『当然じゃ』というリンリン様の声が聞こえてきて、私の口元が笑みを描いた。

 丁度、そのタイミングで「林田さん、お姉さんが来てくれたわよ」とカーテン越しに保険医の先生の声が聞こえてくる。

 ちょっと忘れかけていたけど、私のお姉さんというのがどういう人なのか、少し気持ちを引き締めながら「起きてます。大丈夫です」と返した。

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