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放課後カミカクシ・レトロ  作者: 雨音静香
第四章 解説? 考察?
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検証開始

「それで、その『たね』ってどうやって探すものなの?」

 お母さんからの問い掛けに、私とリーちゃんはどちらからともなくお互いを見た。

 顔を見合わせて、お互いに答えが無いことを確信する。

 どちらも手がかりがないのなら、これまでのことを口にしようと決めて、私が話すことにした。

「これまでは、その『神世界』って呼んでるんだけど……その、異世界の中心に『種』がいるのが普通だったの」

 お母さんは「世界の中心ねー」と口にしてから私を見て「それってどこ?」と首を傾げる。

 私は苦笑しつつ「そこがもう全くわからないんだよ」と返した。

「あと、種って凄く大きいの……これまでは」

 頬を掻きながらそう伝えると、お母さんは「大きいって、お相撲さんくらい?」と聞いてくる。

 私は軽く左右に首を振ってから「怪獣映画の怪獣ぐらい」と伝えると、お母さんは目を丸くした。

 その後で「流石に、そんなスゴイのが出たニュースは聞いてないわね」とお茶に口を付けながら続ける。

 ここで、リーちゃんが『まず、この世界の広さがどのくらいあるのかが不明なのじゃ……ところで、サッちゃんの旦那さんは通勤をしておると思うのじゃが、どこまで行っておるか教えて貰えるかの?』とお母さんに声を掛けた。

「なるほど……ウチではお父さんが一番遠出しているわね」

『うむ……詳しくは本人から聞かねばならぬのじゃが……もし旦那さんの勤め先でも普通に世界が動いているなら、少なくともそこまでの広さがこの世界にあると言えると思うのじゃ』

 そんな二人の会話から、私は一つの出来事を思い出す。

「そういえば……」

 私の呟きに、リーちゃんとお母さんの目線がこちらに向いた。

 注目を浴びたことで、一瞬戸惑ってしまったが、軽く深呼吸をしてから、記憶に蘇った異変のことを伝える。

「実は、この世界に来た日のことなんですけど、掃除の時間があって、その時に起こったことなんですが……」

 言いながら二人の反応を見ると、真剣な眼差しを向けてくれていた。

 話し終えるのを待っていてくれるのだと察した私は、ふっとい気を吐き出したから、改めて続きを口にする。

「掃除に行った場所に、男子が来なかったんです」

 私の話に、お母さんは大きく瞬きをしてから「ま、まあ、男の子はそういう事があるかも知れないわねぇ」と苦笑いを浮かべた。

 話が終わったと勘違いしてしまったお母さんに、慌てて「ち、違います。男子が来なかったのがおかしな事じゃなくて、その後、教室で話をしたら、私以外の皆が、男子も掃除していたっていう認識に変わっていたんです!」と伝える。

 慌てて話したので、ボリュームの調整に失敗してしまったせいか、お母さんも、リーちゃんも黙り込んでしまっていた。

「あ、あの、えっと、話……今度こそ終わりまし……た……けど?」

 反応が無いことに焦りがもの凄い勢いで増していく。

 どうしようとパニックに陥ったところで、ようやくお母さんが「そんな不思議なことがあったのね」と反応してくれた。

 正直、反応して貰えたお陰で、直線までの焦りが一気に解消していく。

 ホッと胸を撫で下ろしたところで、リーちゃんが『記憶が世界の干渉で書き換えられているということじゃな』と私の体感した出来事について推測を立ててくれた。

 その後で、リーちゃんは『このタイミングで、主様がこの話をしてくれたのは、サッちゃんの旦那さん、主様の父上の記憶が書き換えられる可能性を想定してのことじゃな?』と続ける。

 流れに乗って、その通りと言いたいところではあるけど、考えていることはリーちゃんには筒抜けなので、大人しく素直に「そこまでは考えてないけど、なんとなく言わなきゃって思ったんだよね」と返した。

 呆れた顔をされるかと思っていたのに、お母さんがクスクスと笑いながら「そうなのよねー直感が鋭いのもウチの家系なのよ」と言う。

 すると、リーちゃんも『まあ、主様の勘がさえていたという出来事は、わらわにも覚えがあるのじゃ』と肯定気味のことを口にした。

「あ、あれ、意外に、否定されなかった?」

 二人の反応に、つい思ったままが口に出てしまった私に、お母さんは「凛花は自分の感覚に自信がなさ過ぎね。性格的に自己肯定するのは苦手なのはわかるけど、直感は侮れないわよ」と苦笑されてしまう。

『実際、主様の父上に話を聞いても、正確な情報とは限らぬ事がわかったからのう』

 そんなリーちゃんの言葉に、すぐに反応できなかった私とは違って、何かを感じ取ったお母さんは「もしかして、リーちゃんにも、異変が感じ取れないのかしら?」と質問を口にした。

 話の流れが理解できない私を置き去りに二人だけで会話を継続していく。

『わらわも主様から知らされておるだけで、恐らく、この身体を使っているときなどは、感知できぬ上に、記憶を改竄される恐れがあるのじゃ』

「じゃあ、凛花だけが世界の異変を感じ取れるってワケね」

 二人の視線が私に向いた。

 何を言うのか正解か決めきれずに私は「とりあえず、頑張ります」と二人に伝える。

 直後、リーちゃんとお母さんがほぼ同時に噴き出した。

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