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02 おっさんは自分の力に気づき、冒険を始める決意をする。

太陽が照りつける中、ランデルはいつものように西門で冒険者を待っていた。


しかし、この日は冒険者が少なく、今は周りに誰の姿も見当たらなかった。


突如、ゴゴゴゴゴ!と地割れのような音が聞こえ、その原因を目の当たりにしたランデルは驚いた。


街の西門付近で、普段見かけることのない強力なコボルトキングが現れていた。


ランデルは周りを見渡したが、冒険者は一人もいない。


今、彼一人でなんとかしなければ、街が大変なことになってしまう。


「俺は、戦うことは得意じゃないが…」


と思いつつ、ランデルは杖を構えた。


彼の得意とする支援魔法は、他人だけでなく、自分にもかけることができるのだ。


ランデルは「物理攻撃に魔法ダメージを一時的に上乗せする」効果で、自分の杖を超強化した。


そして「移動速度・攻撃速度を一時的に高める」効果を使い、身体の動きを極限まで速めた。


コボルトキングはランデルに向かってきたが、彼の超強化された杖と速度の前には、何もすることはできなかった。


そして、ランデルの一撃はコボルトキングに直撃し、驚くほどのダメージを与えた。


その規格外の一撃で、コボルトキングは形を残らず消し飛ばされ、その場から消え去った。


息を切らしながらも、ランデルは自分の支援魔法の効果を初めて実感した。


彼は自分の魔法がここまでの力を持っているとは思っていなかった。


コボルトキングを一撃で吹き飛ばした自分を振り返り、


「もしかしたら、この魔法があれば、俺も冒険に出ることができるんじゃないか?」


と考えた。


最強の支援魔法使いが、ついに自分の力を自覚したのである。



コボルトとの戦いから数日後、ランデルの日常は変わらず続いていた。


毎日のように、朝から夕方まで、街の西門で冒険者たちに支援魔法をかけていた。


しかし、以前の戦闘で自分の魔法の力を実感したことから、彼の心には新たな思いが芽生え始めていた。


「俺の支援魔法、果たして他の場所でも役立つのだろうか…」


夜になり、ランデルは考え事をしながら街の酒場へと足を運んだ。


その日も、酒場は賑やかで、多くの冒険者たちが彼の登場を歓迎してくれた。


「ランデル!今日もありがとう!」


という声が飛び交い、彼は町の人々に愛されていることを感じた。


ランデルは冒険者達と立ち話をしたあと、バーカウンターに腰を下ろし、酒場の主人に彼の悩みを打ち明けた。


「冒険を始めたいけど、街の冒険者たちのためにも支援魔法をかけたいんだ。」


酒場の主人はしばらく考えた後、


「たしかに冒険者たちは、君の魔法を心から信頼している。でも、お前さんにも新しい経験をする権利がある。」


と優しく答えた。


「そうだよな…」


彼の表情は、ちょっと悩んでいるように見えた。


そんな彼に気づいた酒場の冒険者たちは、次々と彼のもとへと集まってきた。


「おい、ランデル!何か悩んでるのか?」


と、毎日ランデルに支援魔法をかけてもらっている冒険者が声をかけた。


「ああ、実は…」


ランデルは今日のコボルトキングとの戦いと、冒険への気持ちを打ち明けた。


新米冒険者のリサは、明るい笑顔で言った。


「ランデルさん、あなたは私たちにたくさんの支援をしてくれました。本当にありがとう。でも、冒険の夢を追うのは、それとは別。あなたの自由よ。私たちは応援してるから!」


次々と他の冒険者たちも、ランデルをはげまし始めた。


「おっさん、どんな選択をしても、俺たちはおっさんの味方だぜ!」


と、キラキラした目の少年冒険者も声を上げた。


「みんな…ありがとう。俺、冒険を初めてみるよ!」


ランデルは思いを新たにし、なおかつ


「冒険に出ない日は、西門で支援魔法を続けよう。」


と心に決めた。


酒場の仲間たちもランデルの決意を応援し、彼の新たな冒険を祝う宴が開かれることとなった。



夜が更け、ランデルは自室の小さな机に灯をともし、地図を広げた。


彼が興味を持っているのは、伝説の宝「ブルージュエル」。


この宝石は、持つ者に絶大な力をもたらすと言われている。


多くの冒険者がその存在を追い求めてきたが、実際の所在や具体的な手がかりは、誰にもわからない。


その神秘が、ブルージュエルを更に魅力的にしていた。


ランデルは考え込んだ。


「手がかりがないからこそ、探し甲斐がある。宝の価値を高めるのは、それを手にするまでの冒険だ。」


彼は自分の支援魔法の力を思い返し、その魔法の力を信じて、ブルージュエルを探し求める冒険に出ることに決めた。


「誰も見つけることができなかった宝を、俺が見つけ出す。そして、その力でこの街や冒険者たちをもっと支援できるようになれたら…」


ランデルの目には冒険への熱意が宿っていた。


「明日から、街でブルージュエルの情報を集めよう。」



【次回予告】


ランデルは伝説の宝「ブルージュエル」を求めて街の情報を集める。


しかし、彼を待ち受けるのは予想を超える冒険と驚きの事実、そして魅力的な女性たちであった。



【作者より】


 小説をお読みいただき、ありがとうございます。


もし気に入っていただけたら、フォローや★で称えていただけると嬉しいです。


これからも読み手の皆様に楽しんでいただける作品を目指して参ります。


今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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