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私が悪役令嬢ですか?じゃあ聖女目指します!

作者: 下菊みこと
掲載日:2021/06/06

私、聖女を目指しておりますの。


初めまして、ご機嫌よう。私はエラ・オルレアン。公爵令嬢ですわ。私、悪役令嬢になる予定ですの。


実は、私には前世の記憶がありますの。その前世では、私は日本という恵まれた国に生まれて、幸せに生きていましたわ。そんな中で、異世界転生モノの小説をよく読んでいましたの。そんな私は、ある日自動車事故に巻き込まれて、目が覚めたら生まれ変わっていましたわ。私はすぐにこの世界が大好きな乙女ゲームによく似た世界だと気付きましたの。そして、私が『悪役令嬢エラ』だということにも。しかし、私は悪役令嬢なんかになりたくありません。ですから、周りに必死に愛嬌を振りまいて愛されるよう努力しましたわ。もちろん前世の記憶を使って天才ムーブもかましましたわ。おかげでみんなからちやほやされるようになりましたわ。


しかし、だからと言ってヒロインが出てきたらどうなるかわかりません。だから、私考えましたの。


ー聖女になって教会の保護のもと生きていこうと!


幸いにして兄がいるので公爵家の跡継ぎは心配いりません。本来なら貴族としては許されることではないのですが…お父様におねだりして婚約者を決めるのを十五歳まで先延ばししてもらいましたわ。教会の保護のもと生きるなら、婚約者はかえって邪魔ですもの。


ということで早速、五歳の頃から人助けを始めましたわ。土の魔力を領地の畑で食物達の成長促進の為に使いまくり、飢饉に苦しんでいた領民達を救いましたわ。幸い悪役令嬢の中でもラスボスクラスの私は魔力が有り余るほどありますの。そう簡単には魔力の枯渇は起きませんわ。


さらにスラム街へ行き、貧困により治療を受けられない全ての人々の怪我や病気を魔力を使って治しましたわ。正直こんな真似ができるのは光魔法の使い手のヒロインか、水魔法の上級者だけ。私は光魔法と闇魔法以外全部の属性の魔法が使えますの。保持魔力もこの国有数のものですし、まさに聖女に相応しいですわ。この国では光魔法が使えるものは優遇こそされますが、基本的には善行を積み重ねてきたものが聖女に選ばれますの。私、きっと聖女に選ばれますわ!そして、それ以外にも孤児院への慰問や街の清掃活動。お小遣いは全て教会に寄付したり、様々な善行を積みながら、皆から愛されてすくすくと健やかに成長できたのです。


ー…


人助けを始めてから早数年。十五歳になってしまいましたわ。まだ聖女として認定されていないのに…。


「エラ、お前に紹介したい方がいるんだ」


「お父様…そこをなんとか!」


「だめだよ。これまで待ったんだ。これからはデビュタントもあるのだし、ちゃんと婚約者が必要だ」


むむむ。あ、でも、もしかしたら攻略対象者じゃないかもしれませんわ!それなら私、悪役令嬢にならなくて済みますし、これまでの努力も無駄じゃないですわよね!


「わかりましたわ」


「…よかった。じゃあ早速紹介しよう」


部屋に通された方はジェイコブ・ガティネ様。侯爵令息の方ですわ。そして攻略対象者ではない方ですわ!やったー!婚約者選びを引き延ばしてよかったですわ!


「ご機嫌よう、エラ嬢。僕はジェイコブ・ガティネ。よろしく」


「初めまして、ジェイコブ様!私はエラ・オルレアンですわ。貴方のような素敵な方と婚約出来るなんて…!感激ですわ!」


「嬉しいな、ありがとう。僕もエラ嬢のような可憐な方が婚約者になってくれてとても嬉しい」


照れたようにはにかむジェイコブ様。なんて可愛らしい方なのかしら!攻略対象者ではないし、見た目も爵位も金銭的な面でも中の上クラス!まさに理想の婚約者ですわ!


…そして学園生活が始まり、物語は幕を開けました。ヒロインさんももちろん入学してきましたわ。


しかしヒロインさんは、私と同じ転生者なのかそうではないのか、攻略対象者全員に言い寄っていますわ。みんな婚約者がいるのに。すぐに『やばい奴』として噂になり、何股もかけていたことで攻略対象者全員に見放され、事態を重く見た校長先生から退学処分を受けたそうですわ。


攻略対象者はみんな、一時期とはいえヒロインさんに靡いたことで婚約者の方々から反感を買ったものの、どうにか許してもらえたようです。


逆ハーレムは無事瓦解しましたし、攻略対象者の皆様は元鞘に収まったようですし、よかったですわ。


私?私は性格がとても可愛らしく、見た目も爵位も金銭的な面でも中の上クラスのまさに理想の婚約者様と日々愛を重ねていっておりますの。聖女にはなれませんでしたが、聖女になるために積んできた様々な善行のおかげで私自身の評判もいいですし、幸せですわ。


「エラ」


「どうしました?ジェイコブ様」


「これ、君のところの領民達から」


「あら、可愛らしい花束」


「君に飢饉から救ってもらったお礼だって。毎年届くけど、今年は特に豪華な花束だね」


「うふふ、気にしなくていいのに」


「君のそういう飾らないところが、たまらなく愛らしく思うよ」


「まあ、ジェイコブ様ったら」


「早く君と結婚したいな」


「私もですわ」


「それはよかった。大好きだよ」


「私もお慕い申し上げておりますわ」


今は聖女に選ばれなくてむしろよかったと思っておりますの。これからもこの幸せを守っていきますわ。

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