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4章4 クロスギ JMI渉外係長(10)


 私と一緒に戻った女性は、突然、マツとタケの肩を撃ち抜き、ケンイチさんに銃口を向けた。それを阻止したはいいが、彼女は、すかさず、マツとタケの持つ拳銃を奪った。わたしたちは店の奥へ飛び込みつつ、しゃがんで身を隠す。直後、彼女は、トイレから出て来たウメダを撃ったようだ。彼女は叫ぶ。


「この場から一人でも逃げようとしたら、ここにいる強盗犯や店員たちが死ぬことになるわよ!」


 身体を捻り、非常口を見ると、コマキがドアの前で振り返っている。


 今、彼女を刺激するのは得策ではない。私はここには資料以外、何も持って来ていないが、ケンイチさんたちは、きっとそれぞれ武器を所持しているだろう。


 しかし、彼女はウメダたちから、3丁の拳銃を奪っている。彼女が落とした拳銃を回収したとしても、武器の数を考えれば、五分五分といったところだろう。


 何より、彼女は、なぜ、今、行動を起こしたのか?


 勝算があったに違いない。仲間がいると思っていいだろう。


 また、マツとタケは殺されなかった。無差別殺人をする蓋然性は低い。


 今は、彼女の正体や目的を明らかにすることが先決だ。


 何とか、交渉して問題を解決する必要がある。あの大金が目的なら、この場は、あれを渡してもいい。なるべく警察が介入する事態になって欲しくない。強盗犯だけならまだしも、店員に被害が生じては大変である。


 コマキは私を見る。私は頭を振ると、彼は外に出ることを止めた。私は身を隠したまま、彼女に話しかけた。


「目的は何だ!? 話し合おうじゃないか!?」


 すると、彼女が素早く移動するような音が聞こえた。私は咄嗟に、両側にあったテーブルを倒しつつ、前転して衝立の陰に隠れようとした。その時、背後から「パンッ! パンッ!」と発砲音とともに、机と床の木材に銃弾が貫通する音が聞こえてきた。


「待て! 撃つな!」


 私は、衝立の陰で、床に落ちていたステンレスの小さなトレーを手に取り、鏡のようにして、彼女の様子をうかがおうとした。そして、トレーを衝立から出そうとすると、「パンッ!」と音を立てて、トレーが弾け飛んだ。


 ちっ。


 問答無用に撃って来たな……。しかも、狙いが正確だ。トレーを持っていた指がジンジンと響いていた。


 入口からここまで、10数m近くあるだろうに。彼女はプロだ。


「撃つなと言っているだろう! お互いの利益になるように話し合おう!」


 私は言ったが、もうひと言付け足すことにした。


「もし、また撃ったら、金を全部燃やして、爆弾をそっちに投げ込むぞ!」


 隣のつい立ての陰に隠れている、ケンイチさんたちは、ギョッとした目つきで私を見た。


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