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隣の転校生は重度の中二病患者でした。  作者: 夏風陽向
「痛々しい転校生」
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痛々しい転校生 part1

皆さん、こんにちは! 夏風陽向です。


こんなのも書いてみたいと思い、書いてみました!


こちらもよろしくお願いします!!


 中二病……それは、だいたい中学2年生くらいになると、自分の中で設定された自分を外に出してしまう病気。


 病気と言っても、医学的な病気ではなく精神疾患ともまた異なるが、自分は良くとも周りから見れば実に痛々しい……。


 そして、一般的には大人になっていくにつれて本来の自分を無意識に認められるようになり中二病から卒業ができる。



 --------------------


 楽しみで楽しみで仕方がなかった夏休みもあっという間に終わってしまった。


 今年は特に何もなく、強いて言うなればバイトと少し友達とプールに行ったくらいだっただろうか……。


 私立 瑠璃ヶ丘高等学校に通う1年生である私……梶谷(かじたに)詩織(しおり)は、憂鬱な気分を心に残したまま、通学路である坂を登っていると、後ろから元気な挨拶と共に弾みよく肩を優しく叩かれた。



「おーはよっ! しーちゃん!」


「あっ! おはよー、真悠!」



 栗川(くりかわ)真悠(まゆ)は、家が近所の幼馴染で、男子はもちろん女子からも人気が高い。


 人気な理由としては、明るい性格なうえに、天然が少し入っていること。しかし、モテるくせに今まで一度も彼氏を作らない子で、ずっと一緒にいた私でさえ、不思議だと思うことが多い。


 いつもなら待ち合わせをせずともお互い、大体同じ時間に家を出るので一緒に登校しているところだが、新学期初日の今日に限って準備に戸惑ったようだ。遅刻が怖かった私は仕方なく真悠を置いて先に出発していた。



「しーちゃん、ちゃんと宿題やったー??」


「やったやった! 高校生にもなってこんなに勉強しないといけないだなんて……学生の宿命って辛いわ」


「そ、そんな、大袈裟だよ……」


 真悠は、苦笑いしながらこっちを見ているが、私は私で一つだけ気になっていることがあった。


「ところで、真悠。宿題をやったのはいいけど、ちゃんと持ってきた?」


「ふっふーん! 私だってもう高校生なんだよ! やった宿題を忘れるわけなんて……」



 真悠は、鞄の中から宿題を入れたクリアファイルを出そうと探し出すが、次第に顔が心なしか青くなっていく。



「わ、忘れるわけなんて……」


「───で、見つかった?」


「ふええええ……どうしよう、しーちゃん! 部屋に忘れてきちゃったかもー!」

 

「せっかくやっても、忘れたら世話ないわね……でもまあ、この学校の先生みんな緩いから、今週中に出せば大丈夫でしょ?」


「そ、そうかな? 大丈夫かなぁ?」



 そんな話をしているうちに下駄箱に着き、上履きに履き替えて教室に向かう。


 教室へ入って自分の席で鞄の中を開け、新学期の準備を軽くしていると───



「あっ……あったー! しーちゃん、あったよー! やったぁ! 提出できるよ!」



 と、嬉しそうに真悠が言ってきた。



「あって良かったじゃない! 忘れなくなっただけでも大きな一歩よ!」


「うへへ」


(……少し、嫌味のつもりだったんだけど)



 流石は我が幼馴染。嫌味が通用しないらしい。


 まあ、褒められて嬉しそうな顔が可愛いので、これはこれで良しとしたい。



「うーい、おはよー。みんな席につけー」


 我がクラス、1年3組の担任こと針岡(はりおか)達夫(たつお)はやる気があるのか、ないのかよくわからないテンションで着席を呼びかけた。


「あー、これから始業式があるので、みんな速やかに体育館へ集合ー。遅れるなよー?」



 ───と、指示があったのでみんな一斉に体育館へ向かっていった。



「しーちゃん、私たちもいこっ!」


「うん、行こっか!」



 私は、真悠と一緒にみんなの後に続いて体育館へ向かった。


 体育館に着いた私は真悠と一緒に並んで座る。クラスでまとまって2列で並んでいれば、順番など決まっていない。これから退屈な式があるというのに、真悠はこんな時でもにこにこしていた。



「しーちゃん、新学期も楽しみだねっ!」


「そうね、文化祭とかあるからね」



 そんな短い会話をした直後、男性教員の少し甲高い声がスピーカー越しに響いた。



「皆さん、静かに起立! ……これより、私立瑠璃ヶ丘高等学校、二学期始業式を執り行います。礼!!」



 高校生にもなると、きちんと礼をする人の方が少ない。もう一つ付け加えるなら、バラバラかな?



「着席!」



 この瞬間若干ざわつくが、それでも先生は執り行おうとする。



(……そのゴリ押し感、嫌いじゃないわ)


 --------------------


 休み前と同様、長い校長先生のお話が終わると、校歌を歌い始業式が終わった。


 ちなみに、校歌斉唱といえば歌う人は少ないし、歌詞を覚えていないので私も歌わないが、隣で真悠は歌っている。



「起立! 以上で、私立瑠璃ヶ丘高等学校 二学期、始業式を終わります。何か連絡がある先生方は……? いないようでしたら、生徒のみなさんは速やかに教室に戻りなさい」



 真悠と一緒に速やかに教室へ戻ると、真悠は思い出したように言った。


「そういえば、しーちゃん。今日、転校生がくるらしいよ? うちのクラスなのかなー?」


「え、ほんとに? どんな人なんだろうね。少し楽しみかも……」


「───おーいみんなー、席に着けー」


 いつの間にか入ってきていた針岡先生が着席を呼びかけたので、みんな席に着いた。



「ん、実に迅速で結構、結構ー。さて、今日はこのクラスに転校生がきたので紹介するぞー? それじゃ、入ってこーい」



 この時、私はまだ気付いていなかった。


 まさかこの転校生が……転校生が……。

 


「はーい、自己紹介をよろしくー」


黒山(くろやま)透夜(とうや)です。よろしくお願いします」



 入ってきた転校生は、なかなかの美形男子だった。



(私的には、中の上……くらいかな?)



「みんな、仲良くしてやってくれー」



 みんな、拍手やらよろしくやらでガヤガヤしてるが転校生本人は固まったままだ。


「…………」


「……? お、ああ!黒山の席は……あー、梶谷の隣でいいかー。はい、決定ー。異論は認めん」



 黒山は特に突っ込みを入れることもなく、何事もなかったかのように「わかりました」とだけ返事をすると、指定された先がまるで今までずっと自分の席だったかのように自然と座った。



(この席……たまに、こっそり荷物置き場にしてたんだけどなぁ……)



 それはそれとして、私は隣になった転入生に挨拶をする。



「黒山君、これからよろしくね 」


「…………」


「……黒山君?



 ところが、初っ端から無視された。もしかしたら聞こえなかった可能性もあるので、名前を呼んで確認してみたが、どこか光が足りない真っ黒な瞳を私に向けて黒山が口を開ける。



「こちらこそ……だが、俺にあんまり近付くな。怪我するぞ? ふん……」



 何を言われているのか理解出来なかった。ついうっかり、むっとなってしまった私は黒山に言い返してみる。



「なんで? なんか怪我する要因とか君にあるの?」


「俺の両腕は壊すためにある……理由はそれだけだ」


「へ、へえ〜……」



 そう、まさか。


 まさかこの転校生が……この転校生が……。


 こんなにも痛々しい中二病だっただなんて。



(え、なに? 恥ずかしくないの? そんな高校生にもなって、中学2年生にも負けないくらいだなんて……)



 私はそう、思ってしまった。



 --------------------


「信じられない! なんなのよ、あいつ……」


「しーちゃん、どーしたのー? なんか嫌なことあった?」


「あの転校生……黒山透夜? マジきもいんですけど! 何よ、俺の両腕は壊すためにある、だって? ええ、そうね! おかげで私の情緒がぶっ壊されたわよ!」



 お昼休みになったので、真悠の席と近くの人の席を合わせてお昼ご飯を食べながら、私は真悠に愚痴を言っていた。



「ふふふ……! 転校生くん、面白い人だね! むしろ、しーちゃんにここまで言わせた人、梶谷家以外で初めてだと思うよぉ」


「確かにね……でも、あれはきもいわ! いい、真悠! 絶対にあいつに近づいちゃダメ!」


「でも、仲良くしてあげないと可哀想だよ……?」


「真悠! あんたは優しすぎるわ! あれを見てみなさいよ!」


「んー?」



 そこには周りに群がる人はおらず、1人でお昼ご飯を食べてる黒山の姿があった。


 これでも、最初の休み時間までは群がっていたのが───。




「うるさいな……いいか? 黙らないと、俺の右手がお前らを闇の底へ引きずり落とすぞ? お前らなんて、右手だけで十分だ」



 などと言って、クラスメイトにドン引きされたり。



「あいつ、調子に乗りすぎじゃね? 中二病イタイタ転校生の分際でよ!」


「おい、やっちまおーぜ?」



 廊下で黒山の悪口を言っていた2人が、彼にちょっかいを出した。2人並んで黒山にぶつかろうとする。



「あっ、ごっめ……」



 ───ヒョイ!


 そのままぶつかると思いきや、黒山は見事な動きで衝突を回避したのだ。



「…………」



 それどころか、ぶつかろうとした2人はどういうわけか派手に黒山の前で転んでいた。


 転んだ2人はすぐ立ち上がって黒山に掴み掛かる。



「いって〜! この野郎!」


「……何をしてる? 邪魔なんだが」


「あぁ!? ぶっ潰してやる!」



 2対1の喧嘩(周りから見ればいじめ)が起きようとしていたが───。



「おーい、おまえらー? 何してるんだー?」


「ちっ……覚えてやがれよ!」



 ……と、針岡先生の乱入があったので大事に至らず済んだのだった。


 そんなわけで、肝心の初日で悪目立ちしてしまったがために友達が1人も出来ていなかった。



「はっ……! いい気味だわ!」


「しーちゃん、そんなひどいよ……」


「いいの、いいの! 確かにいじめは良くないと思うけれど、黒山も黒山よ! 少しは痛い目を見ればいいと思うわ!」


「うーん……」



 真悠は心配そうな顔で見ているが、私としては特に真悠には近づいて欲しくなかった。


 中学生の時もそうだったけど、ああいう痛々しいやつは、真悠みたいな優しい女の子に好意を抱いてストーキング行為をやりかねないから。

大体4000文字…まだまだ足りませんね。

目安として1万文字ととあるサイトで読みましたが、難しいですね…


ちなみに、私が高校生だったころの始業式の挨拶と司会は当然、別の先生がやってましたが、略しました!

申し訳ありません……


こっちは、第1話が1回で終わらないようにしています!

週一ペースで更新したいと思っていますので、よろしくお願いします!


2021年9月15日 修正済。

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