雨の日
「…はぁ」
やっと今日の仕事が終わった
最初は小さかったこの医療所がここまでデカくなったのはほとんど俺のおかげと言ってもいいだろう。
と少し自分に酔っているとおやじが来た
「お前、今日も行くのか。」
「あ?あぁ、当たり前だろ?」
「あんな所に遊びに行くのも大概にして本命を見つけたらどうなんだ」
「はぁ?おやじに関係ねぇだろ。俺は遊びに行ってるんじゃないあいつに会いに行くんだ、俺にはあいつしかいねぇ。」
「まだそんな馬鹿げたことを言っているのか?お前はここを継ぐんだぞ?子孫だって残さないといけないんだ。あんな吉原の汚れた娘に……」
「親父……!!あいつは汚れてなんかいねぇ!!あいつは誰よりも綺麗で穢を知らないんだ!」
「っ……お前正気か?」
「うるせぇよ…お前には一生分かんねぇよ。それより、あいつに何かして見ろ…殺すぞ?」
「ハッ…お前にそんなこと出来るわけが無いだろう。お前には俺がいないといけないんだから留美子の分までな。」
「…」
「まぁいい、雨の日だけしか行かないって約束も守ってるみたいだしな仕事もちゃんとこなしてるし行くな。とは言わない、だかな、自分の立場を考えて行動しろよな?」
「………あぁ。」
何が自分の立場を考えて行動しろよな?、だ。
俺が約束破ったらおやじの親友の庄郎の娘の咲と婚約させるのとあいつにもう俺に近づくなって親父自ら釘を差しに行くという条件らしい。
俺が勝手に婚約させられるのは自分の問題だが俺のせいであいつに迷惑かけるのだけは絶対に駄目だ。
だからおれは雨の日だけあいつに会いに行く。
だから俺は、雨が好きなんだ。
アイツに--そう夜月に会えるから。