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ロルフ  作者: 雨草ユキメ
5/7

肆 再会

久々の更新です……

 さく、さく。背の低い草を踏む感覚を楽しみながら森を歩く一人の少年。

 黒に近い群青色の外套を頭まですっぽり覆い隠すように被った彼は、山羊の胃で作った皮袋を三つ肩に担いでいる。


「ロルフ兄ちゃん!」


 そんな不審者極まりない姿をした少年を出迎えたのは、薄茶色の髪を振り乱した幼い男の子。

 森に面した村の入り口から弾丸のように駆けてきた男の子を認め、少年―――ラインハルトは外套に隠された口元を楽しそうに緩めた。


「兄ちゃん今日は何持ってきてくれたの?」

「今日は薬だけ。アドラー爺のとこ行ったあとは暇だよ」

「じゃあおれと遊んでくれる?」

「もちろん」


 双子の魔女に命を救われ、13歳だったラインハルト…いや、ロルフは15歳になった。


 魔法や歴史、様々な教養を叩き込まれた二年間は今までの人生がどれだけ恵まれていたか思い知るものだったとロルフは思う。

 王族として学んできたすべてをダメ出しされ、発音や文字の書き方まで徹底的に矯正してくるシシィ。シシィよりは優しいと思っていたが笑顔で何が違うかを並べ立てるミッシャ。

 こうして村に足を運んでいるのも彼らの「教育」の一環だ。


 双子の魔女が住む小屋から約二時間という長い道のりを歩くことで体を鍛え、国の情勢を村を通して知るために、という…配慮ともいえる教育。


 最初外套を渡された時は不審者として通報されるんじゃないかとひやひやしたが、何十年と昔から村に同じ格好で通っていたミッシャのおかげでそんなことはなかった。

 それを初めて知ったシシィの雷は落ちたが。


「ロルフ兄ちゃん次はいつ来るの?」

「え、もう次の話か? そうだなぁ…またひと月後だな」

「そっかぁ」


 寂しげに視線を落とした男の子―――ロルフに一番懐いてくれているイアンに気付き、ロルフは握っていた小さな手を軽く引き「次なにして遊ぶか考えててくれよ」と笑う。


「……うんっ」


 小さな村で森から最も離れた場所にある村唯一の商店、万屋アドラー。目的地にたどり着いたロルフはイアンに少し待っているよう言いつけると立てつけの悪い扉を開けて薄暗い店内に入っていった。

 薄暗い店内の最奥、古びたカウンターに迷わず向ったロルフはふんぞり返って居眠りをする老爺を見て小さく息を吐き出す。

 どん、と大きな音を立てて皮袋を置いたのはもちろんわざとだ。


「おっ、おっ!?」

「おはよう、アドラー爺。今月の分だぜ」

「お、おぉ……なんだロルフか……驚かせんじゃねぇよ」

「あんたが居眠りしてんのが悪いんだろ」


 カウンターに上げられた両足をぺしぺし叩き下ろさせる。


「へぇへぇ、暇なんでなぁ」


 ほい、お代。ミッシャお手製の薬の対価にと渡されるのは、小さな村の唯一の特産品である麦。

 もらえるものはもらっとけ、というシシィの精神のもとありがたく予備の皮袋に詰め込んでいく。


「……ところで、男衆はまだ戻らないのか?」


 イアンがちゃんと店の外で待っていることを確認しつつ、ロルフは腰を折り声を潜める。

 この村にはせっせと家事に畑にと動き回る母親たちとそんな彼女たちを手伝う子どもたち、そして目の前の老爺のような老人しかいない。

 働き盛りの若い男たちは皆、王都に徴収されていた。


「…ああ。城を改築するってーつれってったきり、一人も戻ってきてねぇよ。今日ぐらい、また村長んとこに延長の報せでもくんじゃねぇか」

「………そうか」

「お前も気を付けろよ。国王サマは脅しも兼ねて騎士を派遣してくださるからな。

 見つかったら連れてかれねぇよう女かジジイのフリでもしな」

「女は無理だなぁ」


 昔は小柄だ華奢だと言われてきたロルフだが、今となってはほとんどの人を見下ろすほどの体躯を手に入れている。体つきも、もう華奢とは言えないだろう。


「確かにそんなごつい女はいねぇわなあ」


 がっはっは、アドラーは豪快に笑うと店の外…ガラス張りの扉を見て「しかし…」とその表情を曇らせた。


「イアンの父親だけでも返してもらえんかねぇ…。あの子はまだ5歳だってのに」


 待つことに飽きはじめ地面に木の棒をつきたてて何かを描いているイアンを振り返り、ロルフもまたアドラーのように眉根を寄せて俯いた。

 イアンには母親がいない。彼を生んですぐに他界してしまったのだそうだ。だから、イアンには父親だけが「家族」だった。


「今は村長の家で面倒見てるし、俺たちもできる限りかまっちゃあいるがな。それでも父親や母親になれるわけじゃねぇ。

 皆を心配させねぇように元気ぶっちゃいるが本当は寂しいはずだぜ」

「……だろうな」


 家族がいるのにともに居られない苦しみ、悲しみ。それはロルフもこの二年間で嫌と言うほど味わったものだ。

 だが、ロルフにはロルフだけを見て育んでくれるミッシャとシシィがいる。自分だけを見てくれるわけではないイアンはずっと、ずっと寂しい想いを感じているだろう。


「じゃあ、アドラー爺。またひと月後にな」

「おう、待ってんぜ」


 先程は鳴らなかった扉付属のベルが鳴り「見てみて!」何故か鼻先にどろをつけたイアンが振り返った。


「兄ちゃんとおれ!」


 自慢げなイアンの頭を撫でながらのぞきこめば、そこには子どもらしい拙い絵で「ロルフとイアンが手を繋いでいる様」を描いていた。

 やっぱり外套が不審者っぽくてだめだな、と思いつつ込み上げてくる嬉しさを噛みしめる。


「ありがとう、イアン。アドラー爺には悪いけどこれはここに残させてもらおうか」

「できるの? そんなこと」

「できるさ。だって俺は魔女の弟子だからね」


 見てて。イアンの描いた絵の上に右手を向け、目を伏せる。


「沈黙を守る土の精霊よ 我が名において願う この形失わぬよう ――――ヒトニス」


 決して派手ではないが綺麗な光がくるりと舞い、その様にイアンが歓声をあげる。

 この村と森の中でのみ、ロルフは精霊魔法を使うことを許されている。他の場所、たまに買い出しに向かう大きな街では平凡な魔法を使うよう言いつけられているが。


 すごいすごいと興奮しているイアンの長い薄茶色の髪をかき混ぜながらロルフは思う。

 ―――――この男の子の寂しさを、自分が少しでも癒せますように。と。


「あ、そうだ兄ちゃん。今日はキャッチボールして!」

「お、いいぞ? 他の子たちも誘うか?」


 そうだった、と声を上げたイアンはいつの間にか草を編んで布で包みこんだだけの、ロルフお手製のボールを抱えている。

 もともと娯楽の少ないこの村では子どもたちの遊びと言えば走って転んで川で遊んでというものだったが、ロルフが通うようになってからはいろんな遊びを覚えていった。

 キャッチボールもまたロルフが教えたものである。


「みんなの遊ぶ時間はもうちょっとあとだから…それまではおれと兄ちゃんの二人!」


 ああ、そうだった。ロルフは自分の失言に唇を噛む。

 若い男たちが王都に集められて早一年。ここのように小さな村では男手がすべて奪われ生活にまで影響が出ている。他の村を見たことはあまりないが、妖精や精霊たちの噂を聞く限り、ここと同じようなところが多いらしい。

 最近では税金も高くなっているらしく、民たちの不満は募るばかりらしい。反乱がおきないのは男手がないからだ。


「独裁政権でも敷くつもりなのか…」

「兄ちゃん?」

「っ、なんでもない。さ、遊ぼうか」


 兄のあまりにも酷い手腕に思わず苦言がこぼれたが、今はそれを考えていても意味がないのだ。

 この二年間いろんなことを学んできた。その中で嫌と言うほど思い知ったのは自分には圧倒的に力がないということ。

 もっといろんなことを学び、魔法も、剣も、素手でさえも強くならなくては。輝夜のころによく物語の中で親しんだ勇者や英雄のように、人々に認められ世界を救えるほどに、強く。

 本当の勇者など待っていられるものか。自身が、偽物であっても「勇者」にならなくては。



「あ、こらイアン! 投げすぎだ!」


 原材料は草とはいえいくつも編めばそこそこの重さになる。5歳だというには力の強いイアンが投げたそれは、ロルフの手の先をかすめただけで村長の家へと続く大通り(といっても多少の舗装がなされただけの道)に転がって行ってしまう。


「ごめんね兄ちゃん!」


 楽しそうで何よりだが、取りに行くのは面倒なんだぞ。ロルフははぁ、と小さく息を吐き出した。

 面倒だと思いつつボールを拾うために大通りへと向かう。その時、家主自身の足が悪いためにイアンが出入りする時以外あまり開かれることのない村長の家の扉が開かれた。

 そこからぞろぞろと、威圧たっぷりに出てきたのは…真っ赤なマントを翻す軽装備の王宮騎士団員たちだった。


 マントの裾に煌びやかな刺繍が施された隊長格の男が一人、残りは部下だろう平の騎士が三人。

 視力を著しく低下させた右目のかわりにとばかりに、超人的な視力を持つようになったロルフの左目に映る胸の紋章は「宝玉を守る鷹」。

 二年前と変わりがなければその紋章を持つのは第五師団、国の治安を守る警察のような組織のものだ。


(……まずいな。もう来ていたのか)


 素早くボールを拾いわざとイアンが立っている場所よりずっと遠くに投げる。もちろん、イアンを遠ざけるためだ。

 視線を戻した騎士団員たちはすでにロルフの姿を認識している。部下らしき騎士たちは隊長格の男の後ろで剣の柄に手をかけていた。

 男がいないはずの村に居る、怪しい出立ちの男。警戒するなと言う方が無茶な話だろう。


 さて、どう誤魔化すか。


「そこの者、お前はこの村の人間か?」


 警戒している部下の一人の問いにロルフはただ首を横に振る。つかつかと歩いてきた騎士はその態度に眉を顰めながら足を止めた。

 二人の距離はおよそ二メートル。むやみに距離をつめないあたり警戒心の強い男なのだろう。残りの騎士たち…特に隊長格の男はその場を動かずじっくりとロルフを観察していた。

 その姿に既視感を覚えたロルフもまた、隊長格の男を観察する。


 風が吹くたびに揺れる柔らかそうな髪は赤茶色。顔は影になっていてロルフの位置からは確認できないが、一切の隙もなく悠然とした立ち姿に思わず感嘆の息を吐いた。

 ――――だが。


「旅人か? 出身はどこだ。今は国王陛下により徴収令が出ていて――――」


 目の前にいる騎士の声など、ロルフにはもう聞こえていない。

 一日の内についたもの以外のしわがまったくない騎士団の制服。常に手入れがなされているのだろうそれは少し色褪せているのみで他は綺麗なものだ。……雑すぎる縫合痕が残る胸の紋章以外は。


 まさか。ロルフの脳裏に一人の男が蘇る。


「おい、答えないか」


 だが、ありえない。もし彼だったのだとしたら、20という若さで隊長格になっているということになる。

 入隊当時からだった同じ師団だったならまだしも、彼は二年前に移動したばかりだ。


(ありえない、ありえない……けど、まさか…っ)


「……どうされますか、―――――ファブレ隊長」


 何を言っても答えないロルフにしびれを切らした騎士の言葉に、隊長格の男――――ファブレは、少し考えるようなそぶりを見せた。

 がしゃん、何を仕込んでいるのかやたらと重そうな音を立てたファブレはゆっくりと、俯いてしまったロルフのもとへと歩み寄ってくる。

 近づくにつれ、顔を隠していた影が消えていく。

 だめだ、やめておけ。頭の片隅で叫ぶ声に従えず、ロルフは視線を上げた。



「私は王宮騎士団第五師団一番隊隊長のヴィリー・ファブレ。もう一度問わせてもらおう旅人よ、お前の出身地はどこだ?」



 まず思ったのは「背が伸びたなぁ」というものだった。ロルフも随分と背が伸びたが、やはり身長差がある。

 記憶にあるものよりも精悍になった顔を視線だけで見上げながら、ロルフはふっ、と口元を緩めた。


 胸に広がる懐かしさと申し訳なさ、そして悲しみを押し込め外套に隠れるために俯いた。


「人間の王の命令に従う謂れはない。わたしはたまたまこの国に立ち寄っただけだ」

「…ほう?」

「わたしはこの国の最西端にある森に棲むという同族に会いに来たのだ。……まぁ、とんだほら話だったが」


 声変わりを終えたとはいえ油断してはいけない。低い声を意識しながらロルフは嘘を吐く。「魔女か…」先程までロルフに話しかけていた騎士が呟いた。


 外套を深くかぶり外を出歩く者は旅人の中でも罪人かエルフ、魔女くらいのものだ。罪人は論外、エルフだと特徴的な耳を確認するために外套をはがされる可能性がある。故の、魔女。

 魔女は魔法が無限に使えるというだけで外見的には人間と大差ない。膨大な魔力と言う点では、ロルフも魔女に間違われるほどのものを持っているから。


「……長く生きていれば王族や貴族のような発音も身に付くのか。魔女と言うものはすごいのだな。お前は、この国の魔女ではないというのに」


「っ……」

「行くぞ。今回の任務はこの村の長に延長を承諾させることだ。任務が終われば素早く帰還する。基本だ」


 赤いマントを翻し、ヴィリーはロルフの横を通り過ぎていく。上司の行動に動揺していた部下たちも一人、また一人とロルフを睨みながらヴィリーを追いかけていった。


 ―――――心臓が止まってしまうかと思った。


『あんたの発音は綺麗すぎるんだよ』


 どうしてシシィがあんなにも厳しく発音を叩き直したのか、今ようやく分かった。

 わかる人にはわかってしまうのだ。独特の発音、筆跡。王族として教育を受けているそれぞれが。


「ひどいや兄ちゃん、あんなに遠くまで投げるなんて!」


(必死になるあまり言葉が戻ってしまうなんて、なんて無様な)


「……兄ちゃん?」

「…、ごめんな、イアン。次からは気を付ける」

「う、うん……」


 心配そうなイアンの頭を撫でて、その体を抱き上げる。


「もうすぐほかの皆も遊びの時間だろ。迎えに行こうか」


 ヴィリーが何を思ったのかはわからない。だが見逃されたことは事実だ。

 ……正体がばれていないことだけを、祈っていよう。





      * * * *





「良かったのですか、あの男」


 先程ロルフに声をかけ、それからは常に自分の半歩後ろに控えている騎士の言葉にヴィリーは「何がだ」と返す。質問の内容は明確にせよという言葉だ。


「あの男が魔女だという確証がありません。確かに纏う魔力は魔女と呼べるほどのものでしたが、それだけでは魔女とは呼べない。

 王の命は若い男、特に質の良い魔力を持つ男を集めることだったはずです。見逃したのは何故ですか」


 淡々と疑問を口にした部下、エーミルの姿をまっすぐ見据えながら「まじめすぎるな」と呟く。その言葉にエーミルと同期である残りの二人、フィデリオとヘンゼルが噴き出す声がした。

 「何故ですか」エーミルは同期たちを睨みながらもう一度問うた。


「理由は単純だ。我々だけではあの男を捕えるのは骨が折れると判断した。それに、あの村からこれ以上男を奪う理由はない」

「ですが、王は…」

「俺の王はオド殿下ではない」


 話は以上だ。まだ何か言いたげなエーミルの言葉を遮るように赤いマントを翻してヴィリーは止めていた歩みを進める。

 そんな彼の姿を部下たちは立ち止まったまま見つめていた。


「あの噂、本当だったんだな」


 頬に伝う汗をマントで拭いながらクリーム色の髪をかきあげたヘンゼルが呟く。不真面目な同期の姿にエーミルは眉根を寄せるが、二人に比べて随分と小柄なフィデリオに宥められて開きかけた口を閉じた。

 代わりに素直な疑問を口にする。


「噂とは、なんだ」

「あれ、知らねーの? けっこー有名なのに」


 悪かったな、吐き捨てるように言うエーミルをにやけた顔でからかうヘンゼル。フィデリオが止めようとした頃にはむこうずねを騎士特注の硬い靴で蹴られていた。


「……あーあー…」

(いつもいつも、よくあきないよなぁ)


 むこうずねを両手で抱えて地面を転がるヘンゼルを見下ろし、フィデリオは大きなため息を吐いた。


「…フィデリオは知っているのか?」

「噂のこと?」

「ああ」

「うん、知ってるよ。…ええと、ファブレ隊長が二年前まで第二師団所属だったのは知ってるよね?」


 ああ。それなのにもう一番隊長にまで上り詰めている。素晴らしい方だ。少し興奮した様子のエーミルの褐色の瞳を見上げながら「うんうん、そうだよね」と頷く。


「隊長が第二師団の騎士として護衛していたのは、二年前に行方不明になったラインハルト殿下。勇者の生き写しと呼ばれていた殿下が5歳のころから八年間、ずっと仕えていたらしいよ」


 隊長はお父様が第二師団長であられたから、入団自体が早くて、護衛騎士になった時は11歳だったらしいよ。

 いろんなことに疎いと言われているエーミルだが、さすがに勇者の再来と名高い第五王子のことは知っていたらしい。フィデリオの言葉に「あの第五王子に…」と感動している。

 ……いや、王家を崇拝しているから。だろうか。

 普段からの王家への心酔ぶりを思い出しフィデリオは苦笑した。


「隊長は突然殿下直々に第二師団から除名するよう命じられた。それから数か月後のことだったらしいよ。王家の人間が、オド陛下を残して全員表舞台から消えたのは」


 国王の暗殺、第一王子の急逝、第三王子の意識不明の重体、第四王子の謀反計画。いろいろと黒い噂が囁かれたが仲の良かった王子たちが争うなど信じる者はおらず、実家に帰った妃たちも口を噤んでいるために真実はわからないままだ。

 だが今のオドを見ていると、あの噂は本当だったのではないか……そう思う人間が増えているのも事実だ。フィデリオはそのうちの一人である。

 『オド第二王子が王位に就くためにほかの王子たちを陥れたのではないか』と。


「きっとラインハルト殿下は隊長を守るために護衛から外したんだろうね。少なくとも、隊長はそう信じてる。信じて、殿下の…隊長の王の帰りを待っているんだ」


 そのために彼は、ヴィリー・ファブレは出世を目指している。数ある師団の中でも国中を見て回ることができる唯一の師団「第五師団」の中で。

 フィデリオを始めとした噂を信じる騎士たちはそう思っている。


「いったいどんな人なんだろうね、ラインハルト殿下」


 ヘンゼルは最後まで痛みに悶えていた。


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