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2.転生の騎士と召喚の勇者

 唐突かつ客観的に見ればばかげた話だが、あたし、斉藤士緒には前世の記憶がある。

 前世のあたしは「騎士」――男、だった。

 ……いや、人格の主客をもとにして主観的に話すなら、「俺」が女である斉藤士緒に転生した、と言うべきか。

 おかげで、物心ついたときにはなぜ自分は女の体を持っているのかと悩む羽目になった。

 世の性同一性障害と言うのはもしかして……いや、今も悩み苦しんでいる人たちに叱られてしまうか。

 

 ようやく俺が女の体と折り合いをつけた――「あたし」としてすとんとはまったのは、十二の時、月の障りが始まったのと……同じく転生者である「姫様」、幼なじみの渡辺瑞姫が、基本スペックの低さを克服しようと何倍も努力している姿を見つめ続けていたからだろう。


「――というわけであたしは瑞姫ちゃんのことが好きなんだ」

「告白する前に一方的に振られた!?いやなにが『というわけで』なのかまったくわからんが!」

 世の女性陣が浮かれて騒ぐ、とある聖人の殉教日。毎度のようにかわいい娘さんたちに囲まれていたあたしを道場裏なんぞに誘った男――木下修吾は、軽い先制攻撃に大声で返した。

「瑞姫ちゃんを泣かせる奴はこのあたしが許さねえ……」

「泣かしてない、泣かしてないからな!」

 知ってるさ。あの子は頑張り屋だからな。誰かの見てる前じゃ絶対に泣かない――「姫様」とは違って。


 姫様は実によく泣いた。泣いて喚けばわがままが通ると無条件に信じ込んでるガキ、それが「俺」の主だった。


 前世の俺は、遍歴騎士……とは名ばかりのあぶれ者、顔だけは良かったから訪れる街々で女を引っかけては小銭を稼ぐようなろくでなしだった。

 騎士叙勲を受けはしたものの裏町の女衒と変わらない生活を送っていた俺が、とある小国の王の掌中の珠とも言える姫様の護衛に招かれたのは、むしろそれ故――男の手管に慣れさせようという心づもりだった。

 驚く話でもない。何の免疫もないまま輿入れした先で悪い男に引っかかるくらいなら、きっちり管理下に置いた上で男あしらいも学んでおくというのは、ちょくちょくある話。こちらとしても実入りの良い働き口の一つだ。

 当然、「お客様」の「商品」に手を出すなんて迂闊なことはするはずもない。

 頭が砂糖の蜂蜜漬けみたいにお花畑だった姫様は気づきもしなかったが、俺と姫様が一緒にいるときは常に誰かしら手練の者が張り付いていて、下手に手を出せば首と胴体が泣き別れするところだったしな。

 

「……そんな彼女を本当に好きになっちゃうなんて、我ながらどうかしてる、わよね」

「恋なんてままならないもんだろ……って、俺がお前慰めてどうすんだよ!くそう!」

 今まさにままならない恋に身を焦がす男に思わずくすりと笑みがこぼれる。


 姫君らしからぬすれてないところや奔放さ、喜怒哀楽の激しい表情……いろいろ理由を連ねることはできるが、自分が本気で彼女に惹かれ始めていると感じた俺は、即座に王へと退去を願い出た。

 どこか国境の砦にでも配置換えをして、小競り合いの中で行方をくらませるか、何かしら不祥事に巻き込まれる形で放逐されるか。

 とにかくこのまま居続けるのはやばい、と。

 雇い主に対するなけなしの礼儀に、父王は小さく苦笑して……そこで首をはねられなかったのは温情と言うものだろう。


 事態が俺にも王にもどうしようもない様相を呈したのはまさにそのときだった。

 なにをトチ狂ったのか、姫が輿入れする予定だった隣国が突如として侵攻を開始。俺は王宮を去るタイミングを逸してしまった。


 ……それからのことはあまり思い出したくもない。

 泥沼のような戦況の中でますます燃え上がる姫様の恋心と――俺は……いや。


「あんたになら『姫様』を任せられると思っていたんだけどなあ」

「いや、なんでそこで渡辺押しなんだよ」

 

 勇者召喚なんて馬鹿げたおとぎ話の中にしか存在しないと思っていた魔法でうっかり呼び出されてしまった少年。

 召喚されたときの付帯効果か、人の身にはあり得ないほどの力を持ちながら、それに溺れることも流されることもなく、誰よりも真摯に訓練に打ち込む姿に、下手な嫉妬や軽侮の感情は打ち消されていった。

 自然と人の輪に打ち解けていく気さくさ、周囲の人間を引きつけずには置かない魅力に、なるほどこれが英雄と言うものかと納得させられたものだ。


 だから、隣国を押し返し束の間の平和が訪れたそのとき、勇者と姫の婚姻の内示に、俺は心から祝福を贈った。

 勇者が元の世界に残してきた思い人のことはよく聞いていた――どんな良い女かとからかい倒したものだが、まさか自分のこととは思わなかった――が、帰る方法などないのだ、ともかくくっつけばいずれ絆されるだろうと思いながら「白い結婚」なんていう妄言を吹き込んでやった。

 姫も嫌がってはいたが……あれは傍目に見ても本当は惹かれ始めていることの裏返し、俺という「恋人」がそばにいることで意固地になっているだけと察せられたし、二人が王の元結婚した暁にはこの国に骨を埋めるのも悪くないと思いながら、晴れ晴れとした気分で辺境の砦へと赴任することができた。


 隣国が性懲りもなく再度の侵略を開始し、矢面となった砦を護る戦いの中で討ち死にしたときも、最後に思ったのは「もう一度くらい姫様の笑っているところが見たかったな」と……まあその程度の未練しかなかったと言うことだ。


 それに、今生では――

「だって、瑞姫ちゃんから貰ったんでしょ……本命チョコ」

 そう、「姫様」自身が彼のことを好きなのだから。

 彼女を発起人として「女子部一同より」という名目でばらまかれた、実にありがたくない義理チョコの中。

 こいつにだけわざわざ直接手渡されたチョコだけは、巻いてるリボンの色が違った。

 隠そうとして全く隠れてない彼女らしからぬ乙女な行動に、その場にいた部員一同微妙になま暖かい空気になってたりもしたのだが。


 しかし、それを指摘された木下は照れるとか驚くとか言うよりも少し困った顔をして、言葉を紡いだ。

「たしかに渡辺から本命チョコは貰ったけどさ、そりゃもう一年も前の話だ」

「……え?」

 予想外の言葉に、あたしの目が丸く見開かれる。

「だいたい、俺はその場で断ったからな」

「瑞姫ちゃんのせっかくの告白を断るたぁふてぇ野郎だ!」

「お前にだけは言われたくねえよ!」

 木下が悲痛な声で突っ込みを入れた。

 そりゃそうか。状況からしてこいつが瑞姫ちゃんの告白を断った理由は、あたし。

 あたしのことが好きだから、瑞姫ちゃんの告白は受け入れなかったと……そうか、彼女よりあたしを選んだのか。

 華奢でかわいらしくて、どこから見ても守ってあげたくなる「お姫様」な瑞姫ちゃん。

 元男だからいうことを割り引いても、およそ女らしくはない「騎士様」のあたあし。

 世の男なら十中八九は瑞姫ちゃんの方を選ぶだろう。あたしが男でも……いや、俺でもそうする。

 そんな中でこいつは、思いを寄せてくれてるかわいい女の子よりも、それにひっついて世話を焼き続けてるあたしのほうがいいと言うわけだ。

 ――うん、いやな気分ではないな。


 それにしても……瑞姫ちゃんが去年振られてた?

 ……いや、思い返してもそんな素振りは微塵もなかった。

 むしろあの日は朝から終始明るくて、何か良いことがあったのかと……瑞姫ちゃんが木下を好きなのは見ていればわかってたが、その後もお互い態度が変わった様子は微塵もなかったから、余計に首を傾げることになった。

「振られることはわかってたってさ」

 疑わしげな顔をしたあたしに、木下は苦笑を返す。

「それでも……『それでも、時間切れで後悔なんてしたくないから』とかなんとか。言ってる意味はよくわからんかったが……あいつは、強いな」

 そのときの彼女の表情を思い出してるんだろう、木下は目を閉じて小さく息を吐いた。


 瑞姫ちゃんは、強い。

 前世の怠惰の報いか姫様の無理な願いが叶えられた反動か、人一倍上手く動かない体と頭を徹底的に鍛え上げる根性とか、はかなげな外見に釣られてくる不埒者を正面からたたきつぶす度胸とか、柔軟にしなやかに、その中に一本通った芯の強さを持っている、自慢の――親友だ。

 彼女は確実に否定するけれど、その強さはきっと前世の姫様から受け継いだもの。

 身分違いの恋を最後まで諦めなかった強情さ、隣国に攻められる中でも無心に自国の正義と勝利を疑っていなかった純粋さ……たぶん俺が惹かれたのも、彼女の「強さ」だったんだと思う。


「――で、そんな瑞姫ちゃんなら、『今すぐ告白してこい』って背中を押してくれたと思うんだけど?」

「……よくわかったな」

 あたしが彼女の立場でも、きっとそうすると思うから。

 俺は間違えたから。あのとき、彼女が自分の気持ちと向き合う余裕を与えないままに放り出して――逃げてしまったから。

 きっと、振られることまで踏まえて計算に入れた上で告白したんだろう。それなら、「告白させる」までで1セット……いや、あたしがその告白に答えるまで、か。

 ――「よくわかったな」は、彼女にこそ言ってやりたい、けれど。


「告白する決心がつくまで、丸一年かかった、と」

「ぐっ……いや」

 息を詰めたのを見て図星を指されたのかと思ったが、ますます苦々しい顔になって首を横に振る。

 記憶にある限り、こいつに告白されたような事実はない、はずだ。

 何もこんなとこで見栄を張らなくても……と思ったあたしに、木下が制服のポケットから例の「本命チョコ」を取り出す。

「どうしても決心つかなくてぐずぐずしてたら……今日、これを渡された」

 やたらファンシーな包装紙から解放されたそのチョコは、パッケージにカカオ濃度を堂々と記載している特徴的なそれで――

「95%はないわあ……」

「そう思うよな……」

 瑞姫ちゃんのしてやったりという笑顔が目に浮かんで、木下と二人、顔を見合わせてため息をついた。

「つまり、自分が振った相手に背中押されてなおグダグダ言ってたら、さらに発破をかけられた、と」

 まだチョコを食ってもいないのに苦い顔になった木下の様子に、小さな笑いの発作が起きる……いやはや。

「とんだヘタレだな、『勇者様』ともあろうものが」

「その呼び方はやめていただきたい……」

 瑞姫ちゃんがポロリと漏らしてしまった呼び名に、校内でも百合カップルとして定評のあるあたしたちへと果敢にちょっかいをかけるその姿も相まって、すっかり定着してしまった木下のあだ名が「勇者」。

 前世で見たとおり、やたらと腕っ節は強いくせに驕ったところがなく、困ってる人を見つけると放っておけないお人好しさ加減は、実際そのあだ名にふさわしいと思う。

 一皮むけば、好きな女に告白するのもしり込みするようなヘタレなんだが……あたしにだけは言われたくないだろう。


「……で?」

「で?ってなあ……」

 ひとしきり大笑いして収まったところで、目尻の涙を拭いながら問いかけてやると、ますます苦り切った顔になる。よく焼けた耳元や頬にかすかに朱が乗っているのを認めると、こんな男でもかわいく思えてくるから不思議なもんだ。

「答えがわかってるもんを今更聞いてもなあ」

「口にしなければ答えようもないんだが」

「わかってるよ、畜生!ああもう、ムードもへったくれもないだろうが!」

 その点に関しては、あたしのほうが怒ってしかるべきだと思うんだが……あたしが口を挟む前に、木下がひどく真面目な顔をした。

 空気がぴんと張りつめたように感じるのは、部活で――あるいは前世でこんな顔をしたこいつと、回数を忘れるほど幾度も勝負を重ねたからだろうか。

 そんな雰囲気に引きずられるようにあたしが笑みを引っ込めたのを確認してから、さらに一呼吸おいて、木下が口を開いた。


「斉藤士緒さん、好きです。恋人になってください」


 実に彼らしい、愚直にもほどがある直球の告白。

 言い切ったとばかりに安堵の息を吐いているけど、まだ終わってないだろう。

 何より肝心な――あたしの返事が。


 心地よい胸の鼓動にくくっと小さく笑うと、あたしの様子に少しうろたえている木下を見つめる。

「告白自体は……うんまあ、あれだ、嫌じゃない」

「ああそうかい」

 わざとはぐらかすようなあたしの物言いに、奴の緊張の糸が切れた音が聞こえた。

「いやいや、我ながらびっくりだが、むしろ嬉しいと思うよ。なにしろ、女扱いされることが滅多にないからな」

「そこからかよ!」

 いやむしろそこが大事なんだぜ、勇者君。

 自慢じゃないが整った顔立ちはしかし、綺麗よりは精悍と形容したほうがいいような造作。立ち居振る舞いもどうしても男の時の癖が抜けず、近頃とみに大きくなって瑞姫ちゃんに恨めしがられている胸のふくらみと制服のスカートを見なければ、自分ですら男と見間違う。

 加えて百合カップルの片割れの「姫様」を守る「騎士様」として、また全国大連覇の猛者として、無駄に知名度があるもんだから……勇者君が「勇者」なんてあだ名を賜るわけだ。


「安心しろ、あたしも男の中じゃ木下が一番好きだから」

「うっわー、安心できねえ!」

 照れ隠し混じりに答えてやったら、絶望に満ちた悲鳴を上げられた。

 ――ああ、畜生。そっちの誤解はさすがに解けてなかったか。いや、解けてりゃ告白をしり込みしたりするはずもない、か。

 わざとらしくため息一つ。

「あのなあ、何度も言ってるだろう?あたしには百合の気はないって」

「……は?」

 いい加減、この間抜け面さらしてる馬鹿を殴ってもいいですか。


 まあそもそも、自分にそっちの性向がないと気が付いたの自体、中学に入るか入らないかくらいなのだから、それがたとえあたしのことを好きな奴だったとしても、すぐさま理解してもらえると期待する方が間違いなのだ。

 きっかけはなんだったか……否応なく女になっていく自分をどうにかこうにか受け入れたとき、瑞姫ちゃんが「士緒ちゃん」にも「騎士様」にも恋愛感情を向けることはないと気づいて――驚くよりもまず安堵したことだったか。

 自分が瑞姫ちゃんに向けていたのも恋愛感情ではなく、手のかかる頑張り屋の幼馴染に対する親愛や保護欲のようなものだと――騎士として姫様に捧げていたのとは別種のものだと理解するとともに、前世ではあんなに好色だった自分が、今や女性にはそうした情動を向けることがないと納得するに至った経緯は……瑞姫ちゃんにも決して教えられない黒歴史である。

 一方で、たとえば木下に向けてる感情がどうかというと……前世ではそういう「たしなみ」もあったことを踏まえても、「そういうもの」ではないのだという程度の区別はついている、つもりだ。

 

 魂は器の「かたち」に引きずられる、だったか。前世の友人であった獣人のセリフを思い出す。

 「俺」はたしかに前世の記憶と意識を引き継いではいるが、女に生まれ、女としての「かたち」を受け入れた今となっては、やはりどこかでその「かたち」に合わせるために心のありようも変化していってるのだろう。

 あるいは「あたし」の体――特に胸のあたりが最近すっかり女らしくなったのも、逆に「かたち」が魂に引っ張られた影響なのかもしれない。

 元男が女として――ごくごく普通の女として男を愛するようになる。前世で散々女を泣かせてきた罰が当たった、とでも言うべきだろうか?

 そんな今の状況が嫌じゃないのはたぶん瑞姫ちゃんと――目の前で目を白黒している男のおかげ、だろうな。


「へ?は?いや、それってつまり――」

「とはいえ、いきなり告白されてあたしだって驚いている」

 色めき立つ馬鹿を人差し指一つで制して、にやりと……笑えているか?ああ、どうにも照れくさい。胸が弾む、口角が意図せず緩む。

 頬の熱さをごまかすように、ことさらに冷静ぶってくぎを刺す。

「と、というわけで、うむ。時節柄、一か月後……ホワイトデーに返事をさせてもらうということで」

「いやちょっと待て、ここまで来て蛇の生殺しかよ!」

「うるさい、こっちだっていろいろ必死なんだ!」

 ずっと昔に理解も納得もしたし、いつかこういう日が来ると覚悟もしていた。

 だけど、改めて特定の男と恋人同士になるかの決断を迫られるとなると……うん、確かに嫌じゃないし、むしろ心地よいとか嬉しいとかそういう気持ちでいっぱいなのは否定できない事実だけど。

 ――いいのか、あたし……ってえか俺!?

「一年うだうだやってたお前に比べれば十二分の一だろ!?」

「くそうっ、そう言われると言い返す言葉もない!……が、その前に」

「ああ、その前に……」

 くるりと振り返ったあたしは、木下と一緒に背後の茂みへと歩みを進める。


「ひ、姫部長!敵はこちらの存在に気付いたようです!」

「気づいたってーか、ハナっから気づかれてたような気もするけど……ええい、現時点をもって拠点を放棄!みんな散開して撤退!わたしが殿になって二人を抑えるわ!」

「了解!」

「ご武運を!」

「えー、そこはみんな『そんな!姫だけ残して逃げるわけには!』とか言うところじゃないのー?」

「命は惜しいので!」

「デスヨネー……ひぃっ!?」

 茂みに隠れて妙な茶番を繰り広げていた瑞姫ちゃんは、目を三角に吊り上げたあたしと木下によって捕獲されたのでした。

 ……遠くで「南無南無」とか合掌してる馬鹿どもも、後できっちり説教してやる。

 


 


 ――勇者召喚まで、あと二十八日。

 

Q.騎士様TS転生でパニックの話は?

A.ありませんd(´▽`)b



本編には関係ないかもしれないキャラ紹介:



斉藤士緒/騎士様

 意識としては「騎士様」が連続しているものの、女の体に変わったことによってメンタリティが引きずられているのは理解している。

 瑞姫ちゃん相手にだけは若干女言葉なのは、猫を被ってことさらお姉さんぶってるから。

 実は、彼女始動の「騎士様と姫様」劇場の半分くらいは瑞姫ちゃん狙いの男子をけん制するための演技。独占欲というよりは「娘はやらん」というお父ちゃん的なそれ。


木下修吾/勇者君

 ヘタレ(笑)

 顔は悪くないし人もいいしスポーツもできるってことでファンは多いし告白も何度か受けている。男の敵。

 およそバレバレな恋心は皆知るところだが、剣道部員の一部以外にはあまりにも望み薄と見られている。


渡辺瑞姫/姫様

 剣道部「男子部」(誤字ではない)部長。

 本当は木下君が男子部部長になるところだったが、周到な根回しと説得(物理含む)で横からかっさらった。

 途中で召喚されていなくなったら引継ぎとかめんどくさい、というのがその主たる理由。

 女子マネージャーの身で部長という異例の存在ではあるものの、硬軟飴鞭使い分ける手腕に後輩や同級生からの信任は篤く、「姫部長」と呼ばれて慕われている。 

 何せアレな二人を見ているので、自分はまだまだ弱いと思っているため試合はともかくいざルール無用「なんでもあり」な喧嘩に突入すると、急所狙いや目つぶし・人質に社会的制裁など卑怯な手口を使うことに一切のためらいがない、敵に回すと誰より危険な存在。ついたあだ名が「黒姫」「鬼姫」。



隣国の王

 強引な拡大政策のため姫のお父様に嫌われていた(周辺諸国はみんな嫌ってた)ので、同盟のために婚約はしたものの、婚姻自体はのらりくらりと逃げられていた。

 そこへ騎士様が来たもんだから、「嫁にとられるくらいならいっそ奪ってやる」と攻めてきた。

 二度目の侵攻も、勇者君にかっさらわれそうだったからと、実にわかりやすい。

 さすがに大敗北を喫したあとの再度の戦費負担は国民にも総スカンをくらい、毒杯をあおることになった。

 その執念は死してなお已むところを知らず、当然転生してまで追っかけてきたが、幼い瑞姫のストーカーなんぞやらかしたもんであえなく逮捕。瑞姫と士緒に心もへし折られて失意のうちに獄中で衰弱死した。

 二人はもちろんそんなこと知らないし、当時ストーカー多すぎて覚えてない。


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