1.転生の姫と召喚の勇者
タイトル詐欺じゃありません(例によって目をそらす)
唐突だけど、わたし、渡辺瑞姫には前世の記憶がある。
前世のわたしは異世界のお姫様で……うん、あの、自分でも痛いってわかってるから引かないでいただけるとありがたい。
物心ついてからもしばらくは意味不明な言語をしゃべってたとか、見えない何かを探そうとしてかけずり回ったりとか……あー、むしろ黒歴史的なアイタタエピソードな気もするんだけど、一応はそのころから「前世」の記憶があったという傍証になるんじゃないかと……無理か。
児童に見られる造語症とかイマジナリーフレンドとかは、実は異世界から転生した子供の前世の記憶が……心理学者のみなさんにタコ殴られそうだ。
わたしの場合、それよりでっかい傍証というか……やっかいな「証拠」があるんだけど。
「姫様、危ない!」
厄体もない考えごとをしながら歩いてたわたしの腰が後ろからぐっと引かれ、今までわたしの頭があったところを真っ白な球体――バレーのボールが突き抜けていく。
とっさにかばわれたのだと理解するよりも早く、わたしは自分の体を引き寄せた逞しい体にそっととりすがり、
「ありがとうございます、騎士様」
「いいえ、お怪我がなくてなによりです」
鍛えられた腕の中の小鳥を逃がさぬよう、しかし壊さぬようにそっと力を込める「騎士様」とわたしの視線が熱く絡み合い、二人の顔がゆっくりと近づく。
わたしが転生の記憶を気のせいだとか妄想だとか言い切れない、でっかい傍証。それが、「騎士様」。
ここまでお読みいただければおおよそ想像はつくだろうけど、前世での「姫様」の恋人である。
……ああうん。もうね、痛々しさもここに極まれりって感じだけど、もうしばらくご容赦願いたい。
姫様とその護衛の騎士のラブロマンス、って言ったって、さほど珍しくもご立派なものでもない。
お互い身分違いだし、姫様が他国に政略結婚でもすれば、微笑ましい初恋だったわねえとか懐かしい目で思い返す程度のそれだったんじゃないかと思うんだ。
普通じゃなかったのは、隣の大国が突如として侵略を開始しちゃったこと。
滅亡の危機に王家とその護衛の騎士たちは結束を堅くし……ますます恋は熱く激しく――今にして思えば吊り橋効果的なそれだったんだろう。
そんな折、起死回生の一手として打たれたのが、宮廷魔術師による勇者召喚。
異世界――平たく言えば今わたしたちがいるこっちの世界――から召喚された勇者は、本来は魔王率いる魔族を撃退するための人間離れした圧倒的な力でもってただの人間である隣国の軍勢を押し返し、祖国に平和をもたらしたのでした。
ここで「めでたしめでたし」で終わってればいい話なんだけど、おとぎ話の後にも続く世界には、やっかいな戦後処理ってもんが残ってるわけで。
最大の問題として召喚された勇者君、人外どころじゃないパワーを持った彼を元の世界に返す方法が無かった。
そうなれば殺すか抱き込むか。追放とかして恨まれたり敵に回られたりした日にはたまったもんじゃないし、苦慮した父王様がわたし、「姫様」の婿に迎えようと決めたのは、彼の功績からしてもまあ妥当な判断だったと思う。
とはいえ騎士様との恋に身を焦がす姫様にとってはとうてい受け入れられる話ではなかったらしい。
泣いて喚いて嫌がった。だだをこねて抵抗した。見かねた王様がとうとう騎士様を国境の砦に配置換えしちゃったときには勇者君を逆恨みした。
そして……騎士様の駐留していた砦が、再び侵攻を開始した隣国の手によって陥落したとき、姫様は願った。
――生まれ変わっても、騎士様の隣で、ずっと一緒に暮らせますよう。
どこの神様だか悪魔だか知らないが、この身勝手極まりない願いは確かに聞き届けられ、叶えられた――姫様の命を代償として。
「騎士様」の隣のおうち、産院でも隣のベッド、果ては誕生日まで一緒と来ては、これはもう立派なストーカー行為じゃないかとわたしは思う。
ともあれこれで二人が結ばれたなら、まあ千歩くらい譲ってハッピーエンドと言ってあげてもいいのかも知れないけれど。
「あたしにはそーゆー趣味はないんだけど、瑞姫ちゃん」
「奇遇だね。わたしもそっちに走る気はないんだよ、士緒ちゃん」
唇と唇が触れ合う紙一重のところで、すがるように胸に当ててた手を思いっ切り突っ張って阻止。
掌からはぐにっと、鍛えられた胸板にもささやかながら存在を主張する二つの丘陵の感触――くそう、いつの間にやらわたしよりおっきくなりやがって――が伝わってくる。
こっぱずかしくなって視線を落とせば、そこにはひらひらと翻るスカート。
そう、「騎士様」は、女の子――幼なじみの斉藤士緒ちゃん、なのだ。
すっかり見慣れた突発百合劇場に沸くギャラリーは放っておいて補足説明をしておくと、士緒ちゃんにもわたし同様転生の記憶がある。あるんだけど、それはそれとして、姫様の記憶についてわたしが盛大につっこんでるあたりでもわかるとおり、渡辺瑞姫と斉藤士緒として一個の人格も持ち合わせている。
で、まあ、普段はわたしたちの人格の方が勝ってるから平和に幼なじみ兼親友として過ごしてるんだけど、こういう突発的な危機とかに出くわすと、妙なスイッチというか条件反射的なそれでもって「姫様」と「騎士様」として行動してしまう。
おかげでしょっちゅう見せ物状態だわ、百合なお姉さま方からは熱い視線を向けられるわ……士緒ちゃんなんかきりっとした美人さんなもんだから、「騎士様ファンクラブ」まである始末。
ほんっと、頭が痛いったらない状況って言うか、死後転生してまで人様に迷惑かけてるんじゃないぞ、わがまま姫様。
「相変わらずラブラブだな、お前ら」
「ひぅっ!?」
くっくっくと笑い含みにかけられたからかいの声に、思わず小さな悲鳴を上げて身をすくめるわたし……いや、「姫様」。
その怯えた様子に、士緒ちゃん――じゃなくてこっちもたぶん「騎士様」――がかばうように割り込んで声の主をにらみつける。
「ご、ごめん、ゆ……きのしたくん」
おずおずと謝る。うん、彼はなにも悪くない。悪いのは勝手に怯えて敵愾心をむき出しにしてるこっちのほう……っていうか転生事情。
「謝るならいい加減名字くらい覚えてくれよな。おれはそんな寒々しい名字じゃないぞ?」
表向きの内容はともかく、そんなわたしたちにへらりと笑ってくれる雪之下ならぬ木下君はやっぱ良い人だと思う。
「覚えなくても良いよ、瑞姫ちゃん」
「ちょ、ひどっ!?俺がなにしたって言うんだよ!?」
「……敢えて言うなら生理的嫌悪感?」
「り、理不尽だー!?」
わたしがわけもなく怯えるように、士緒ちゃんが木下君を敵視する理由は、本当にない、はず。それはどっちかって言うと「騎士様」の反応。
つまり平たく言うと……木下君こそがあっちの世界に召喚された「勇者様」なのだ。雪之下の「ゆ」は、勇者様の「ゆ」。
じゃあなんでこっちの世界にいるんだとか、ごもっともなご指摘もあるだろう。
彼があっちに呼び出されるのは、そのときの発言からして高校二年の春か秋か冬か――ともかく「コウニ」で冬服を着ている時期。高校一年の一学期後半戦な現時点からすると、最低でも十月十日は先の話になる予定。
どうやらわたしたちは転生の際、こちらの世界の「過去」に飛ばされたらしい……時系列とかどうなってんだという苦情に関しては、高校入って勇者君に遭遇したわたしたちが散々喚いたので、聞き届けられないのだけは確認済み。
だから木下君はなにも悪くない……というか、「姫様」の鱗が何重にも貼り付いた目を通した記憶からしても、前世での勇者君は良い奴だ。
勇者召喚といえばかっこいいけど、実質はよその世界から適当な奴を無理矢理呼び出す、しかも一方通行というんだから拉致監禁とか強制徴募とか言う方が正しい。
にも関わらず、呼び出された勇者君は自分が微塵も関わってない国同士の戦争の矢面に立つことをあっさり快諾。
――姫様視点だと「安請け合いして」とか「礼儀も知らない異世界の山猿が命令に従うのは当然」とか……愛しの騎士様が活躍するチャンスが奪われたという逆恨みで言いたい放題。
勇者君がほぼ一人でひっくり返した戦況も、「騎士様だって本気になれば」とか、うん、素人目に見てもあり得ないよね。
実際、姫様による勇者君への評価も「無礼な野蛮人」から「化け物」にランクアップしてたし。
愛しの騎士様から引きはがされてその「化け物」に人身御供として嫁がされそうになった境遇には同情するけど、「元の世界に好きな奴がいる」と最後まで渋っていた勇者君だってそれは同じ――むしろ、二度と会うことすらできない彼の方がかわいそうだと思う。
それもまた姫様には気に入らないらしく、「好きな娘がいるのに地位目当てで私と結婚しようなどと!」とか見当違いの憤慨しきり。いや、結婚しないと勇者君死ぬんだよ?
絶対に方法を見つけだして帰ると決心してたらしい勇者君は、その時のために「白い結婚」――お互いベッドを共にしない、早い話が家庭内別居を提案してくれたんだけど……これも「一国の姫である私をないがしろにするつもりか」と。
誰が入れ知恵したのか知らないけれど、姫様が騎士様と本当に結ばれるつもりだったなら、お互いに利のあるお話なんだよね。
帰る方法が見つからなくても、一年もすれば離縁ができるようになるし、バツイチとなれば姫様の商品価値は下がる――彼女はこれが気に入らなかったようだけど、一介の騎士風情に降嫁するならそっちの方が面倒がない。
勇者君との結婚を拒めば、恐らくは同盟国のどこかに輿入れ……下手をしたら戦争相手だった大国の世継ぎあたりと結婚させられた可能性だってある。
愛のない政略結婚が基本の貴族社会、愛人の一人や二人抱えてる人もいるけれど、男でもあり国の兵隊でもある騎士様を連れて行けるはずもなく……手に手を取って駆け落ちするにも姫様じゃ生活力ないし。
お互い選択の余地のない妥協案としては、勇者君の提案は姫様を尊重……ううん、もう会えない「彼女」を大事にしてたんだろうなあ。
あんまり周りを見てない姫様のなけなしの記憶をサルベージしても、貴賤を問わず結構な女性や一部の男性から言い寄られてたけれど、揺らぐことはあっても手を出すことはついぞ無かった模様――これまた姫様目線だと「節操なしのヘタレ!」ってことになるけれど、さすがに勇者君に失礼と言うものだ。
「くっ、このっ!」
「おっとっと」
過去の記憶に遠い目してたわたしの横で、士緒ちゃんと木下君との間では、周囲の迷惑顧みないバトルが発生していた。
……ああ、うん。顧みてないのは士緒ちゃんのほうだけか。木下君は、激昂する士緒ちゃんが振り回す竹刀の切っ先を、なるべく人だかりの少ない方へ誘導している。
士緒ちゃんは、前世である騎士様の剣技を受け継いでる。
どうやら転生特典ってやつらしいけど、なにせ人間どころか文字通り跳梁跋扈してた魔獣や魔物をばったばったと切り伏せる技術、平和ボケした現代日本ではオーバースペックもいいとこの殺人スキル。
それだけでもしゃれにならないのに、これまた騎士様から受け継いだ勤勉さと真面目さでもって、物心ついてからの十年以上延々鍛錬し続けた結果、もはや超高校生レベルとか飛び越えて、人間やめちゃったレベルに達してる。女性ってことを差し引いても、全盛期の騎士様よりも強くなってるんじゃないかな。
なにが言いたいかと言えば、そんな人外殺人兵器である士緒ちゃんの猛攻に対して互角以上に立ち回れてる木下君も、現代日本人というか人間としてちょっとあり得ないレベルってこと。
召喚されたときも最初っから人間離れした強さで近衛騎士を圧倒したりしてたけど、異世界転移に付き物のチートかと思ってたら、リアルチートだったとは想定外。
……えっと、勇者君人間だよね?あたしたちみたいなよその世界からの転生者とかそういうんじゃないよね?
ちょっと自信がなくなってきた……今度それとなく探ってみるべきかしら。
わたしの方ときたらそんな転生特典も生まれついてのリアルチートも一切なし。なしっていうかむしろ知力体力時の運ともに最低ランクのダメダメさんである。
何せ姫様ときたら、王家の末姫として蝶よ花よと育てられ、甘やかし放題に甘やかされた結果、信じられないほどのわがまま娘に育っていたのだ。
お勉強?やだめんどくさい。礼儀作法?王家に礼節を尽くすのは相手の方ではなくて?護身術?騎士様がいらっしゃれば充分ですわ――わたしがその場にいたら間違いなくぶん殴ってやるとこだ。
前世は剣と魔法の世界……そう、魔法だって学べば使えたはずなのに、お年寄りの宮廷魔術師が「気持ち悪い」――失礼極まりない!――からって逃げ回り、初歩的な魔法すらちんぷんかんぷんという有様。
そりゃあ姫様は何にもしなくても護られてたからそれでもいいんでしょうけど、こちとら生粋の庶民、一般ピープル。かわいいだけでひ弱な体じゃ世間の荒波をかいくぐれませんのよ、ド畜生。
自分が楽したいからって怠けていると、予想外のところで人様に多大な迷惑をかけることもあると身を持って学んだわたし。
勉強に体力作りに習い事に、とそりゃもうがんばった。くじけそうになると、姫様のことを思い出してはああはなるまいと……転生特典「反面教師」ってそんなんならない方がよかったよ!
まあおかげさまで今のあたしの能力は全部転生チートなんかじゃない、あたし自身が獲得したものだって胸を張って言えるのだけは良かったかも。士緒ちゃんなんかはその辺悩んでたこともあったし。
……っと、いけないいけない。また現実逃避を始めるとこだった。
気がついたら士緒ちゃんの竹刀の切っ先が、掲示板のプリントを切り裂いて……ないね、きれいにすっぱり切り「落として」るね。何をどうやったらそんなことができるかはこの際考えないことにしておこう。
そろそろ野次馬のみなさんが私に向ける「早く何とかしろよ」の視線が痛いくらいに刺さるようになってきたので、撤退準備にとりかからないと。
この先なにが起こるか期待っていうか予想して、楽しみそうに見ている一部ギャラリーはあえて無視して深呼吸。
……はあ。
ため息ついてる場合じゃなくて!まだなけなしの幸せ逃がすつもりはないし!
改めて深呼吸一つ。
思いっきりこっぱずかしいけど、全身全霊全力のぶりっ子オーラを投射。両手は握り拳で胸元に引きつけ……ピーカブーじゃないよ?
「私のために争わないで!」
出ました、女子的一度は言ってみたい台詞上位に食い込む伝家の宝刀……二度は言いたくない、的な意味で。うんもう確実に二桁いくくらいは使い回してるけど!
使い古しのこっぱずかしい台詞、でもその効果は折り紙付きで。
「姫様の仰せとあらば」
士緒ちゃん――騎士様は即座にひざまずき、私の右手を取ってその甲に口づけを落とす……思わずぞわわっと背筋に寒気が走るけど、我慢我慢。
だあっはっは、とお腹を抱えて大笑いしてる木下君を一睨み……笑いが余計に大きくなるのは納得いかない。
「ああもう、とっとと部活行くよ。遅刻するとまた部長がうるさいんだから」
奇遇というかなんというか、三人そろって剣道部。木下君と士緒ちゃんは言うまでもなく男子部女子部それぞれの超期待の新人として絶賛活躍中。今期は男女とも悲願の団体戦県大会突破がねらえるんじゃないかと部長以下先輩方の気合いの入りようが違う。
わたしは士緒ちゃんにひっついて入部はしたものの、そういう熱っ苦しいのまでおつきあいはするつもりないので実力隠蔽にこれつとめ、無事男子部マネージャーという地位を手に入れた……うん、「男子部『初』の女子マネ」ってことで男子部の先輩方がよりいっそう熱っ苦しくなったのは完全に想定外だったけど。
校内ではすっかり有名になった百合ップルの片割れでもいいのかとか思ったわたしに、男子部部長が苦笑混じりに遠い目をして「いいんだよ、『華』さえあれば」とのたまったのも今は昔。
鍛えに鍛えた家事スキル――女子力?いいえ、自立した生活には必須スキルですもの――を遺憾なく発揮し、女子部マネージャーのお姉さま方や男子部のお兄さま方を無理矢理巻き込んでの部内改革により、「華」だけじゃないと否応なく知らしめた結果……めでたくこのたび「姫」の称号をいただくこととなりまし……いや待てどうしてこうなった。
ともかく、三人そろって一年生でありながら部内で相応の敬意を持って迎えられる立場を手に入れました、と。
おかげで遅刻とかずる休みとかしにくい空気なのがちょっとつらい……。
「瑞姫ちゃん?」
「あ、うん、自分から言っといて意識飛んでたね。ささ、行こう行こう」
「いやほんと、お前ら見てると飽きねーわ」
手を繋いで歩くわたしと士緒ちゃんを見てへらりと笑う木下君。
木下君の浮かべる軽薄な笑みは嫌いじゃないけれど、いつも真面目だった前世の記憶の中の勇者君のイメージには合わない。
あとわずか一年ほどでそんな顔をするようになるのはどんな理由が……と考えれば、確実に違う点がたった一つ。
今の木下君にはついぞ浮いた話がない。
なんだかんだで部活っていうか剣道馬鹿で、暇さえあれば剣を振ってて女子とまともに会話してるのを見たためしがないし。
彼はこれから出会うのだろうか、世界を超えてもあきらめられないほど好きな相手、異世界で手に入れた名声を放り出してでももう一度会いたくなるような相手に。
そう思うと、なぜかわたしの胸は小さく疼くのだった。
――勇者召喚まで、あと一年十か月。
Q.転生前の話は?
A.ありませんd(´▽`)b
固有名詞すら設定してませんが何か。
本編には関係ないかもしれないキャラ紹介:
斉藤士緒/騎士様
転生者。前世のスキルを転生特典として受け継いでいる。
生まれ変わってもなお鍛錬し続けているのは、姫様や王国を守れなかった悔い故とかなんとか。
その結果もあって、前世での勇者君と拮抗するくらいの実力を得ている。現代日本じゃ完全にオーバースペック。
小学校時代、近所の道場の「庭石」を、床の間に飾ってあった真剣でうっかり真っ二つにしちゃったのは秘密。弁償できないから。
「今なら素手でもいけるかな?」
木下修吾/勇者君
現段階では普通の日本人……普通という言葉の意味を辞書で引きたくなるが。
とある道場の一人息子で、相手になるやつがいなくて腐ってた小学生当時、同じくらいの年齢の少女が庭の「石灯籠」を真っ二つにしたのを見て、心を入れ替え修行に励むようになる。
クラスメイトの少女に人外呼ばわりされてるが、さすがにまだ人間の範疇だと思いたい。
「さすがに真剣じゃないと無理だって」
渡辺瑞姫/姫様
転生者。前世の姫様のダメっぷり&無茶な転生の影響で、すべてのステータスが「スライム以下」だった。
幼少期に生き残れたのは両親の愛情と士緒ちゃんの献身の賜物である。
そんなド迷惑な姫様を反面教師にたゆまぬ鍛錬を積み上げて、オールマイティになんでもこなせるスペックを手に入れた努力の人。
ちょくちょく危険な状態になってるのは、さすがに「運」は鍛えられなかったのと、本編中にあるように気を抜くとぽんやり考え事をはじめちゃうから。
人間やめちゃった友人二人のせいで目立たないうえマネージャーについているから気づかれていないが、密かに部内三位の実力の持ち主。
「いやいや、普通できないからね?真剣とか重すぎて担ぎ上げるのもやっとだからね?」(自分ができないとは言っていない)