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そらリゼーション  作者: ゆきのいつき
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第八話 月と少女と金冠月食

 地球の衛星である月。

 その月の裏側、地球からは見ることはかなわないその場所で、厚みの薄い、長方形と正方形をした2隻の宇宙船が、その側面同士を向かい合わせるようにして連結されていた。 大きさ的はちょうど長方形の短い辺と正方形の辺が同じ長さであり、その辺を合わせるように連結ドッキングしている形となっている。

 その薄い長方形の星間宇宙船はもちろんディアであり、対する薄い正方形のほうが……少し前に蒼空が救出に協力した……アレイなのであった。


 そして今、その2隻の大きさは本来のスケールとなっていて、もし地球軌道上に現れたとしたら、間違いなく補足されるであろう存在感を示していた。



「うーん。 それでは、一連の状態異常は反ライエル派のものたちが引き起こした……ということで間違いないと……そういうわけですか?」


 いつもと違う、マジメな面持ちでそう語るフォリン。


「ええ、しかも近衛軍仕様で、まだお披露目もすんでない最新型ジェネリック船であるディアや、現行型のアレイに対し、あそこまでの干渉を仕掛けることが出来るなんて……」


 フォリンにそう答えるもう一人の人影。

 その外見はフォリン同様、身長1m程度の子供サイズで、ぱっと見でフォリンと同じ人種であるとわかるが、その髪はフォリンと違い見事な金髪で、その髪は肩口あたりで切り揃えられている。 そして、その顔付きもフォリンと似ているものの、全体的に線が細く、やわらかな印象であり、この人物が女性体であることが伺い知れる。


「ですね……連中の中に技術院の情報を入手できる、或いは……そもそもそこに所属するものがメンバーとして存在している可能性も出てきますね」


 そう言って難しい顔をするフォリンに、女性体がこう続ける。


「まぁ、とはいえディアを完全に掌握することは出来なかったみたいね? アレイと違ってギリギリ惑星への墜落は免れたわけだし。 ……それにしてもなんか面白いことになってるみたいね? フォリン」


 女性体がさも面白いといった表情を見せてフォリンに問いかける。

 どうやら深刻な話はここまで、……別の興味深い話に移る気満々のようである。


「ううっ、フェアリン。 その、まぁ、ディアも墜落は免れたものの……色々あってね……あははは」


 そんな話の流れに、狼狽の表情を浮かべつつ、笑ってごまかすフォリン。


「ふふっ、何を今さら慌ててるのかしら? アレイを見つけ出し、掘り出してくれたとき使った粒子収束砲。 残念ながら地中深くあったから把握しきれて無いんだけど……あれ、どう考えたっておかしいよね?」


 そう言ってフォリンを見つめるフェアリンと呼ばれた女性体。

 フォリンはもうタジタジである。


「そ、それは……」


 言葉を続けることが出来ないフォリン。 そんなフォリンにお構いなく話しを続けるフェアリン。


「監視船は、その監視対象の惑星内でのいかなる干渉も禁ずる。 粒子収束砲の使用なんて本来あってはならないこと。 にもかかわらず粒子収束砲は実際使われた。 そうよね?」

 

 すでに言葉のないフォリンに、フェアリンは尚も続ける。


「でもあの後、アレイに確認したらディアから粒子収束砲が打ち出され記録はないとか。 ただ……、エネルギーラインのリンクによるそれに相当するエネルギーの使用は認められてる。 さあ、これどういうことか……説明してくれるわよね?」


 フェアリンはそう言うと、ふてぶてしいくらいの表情でフォリンをじっと見つめる。


 その顔を見つめかえすフォリン。

 そして深いため息をつくと……あきらめたように話始める。


「わかったよ。 フェアリン……姉さんには負ける。 説明させてもらうよ……けど、約束して欲しい。 この件に関してはいずれ私のほうから報告するから、姉さんには申し訳ないけど、黙認していて欲しい」


 そう言ってフェアリンを見つめかえすフォリン。

 そんなフォリンのちょっと身勝手な言葉にあっさりと、


「いいわよ。 元より別に報告なんてする気、これっぽっちもないし。 それに今回の件だってそう。 やられたらやり返す! いちいち報告なんてやってられるかっていうの。 さ、これでいいでしょ。 早く聞かせて? さぞや面白いお話なんでしょうね? 期待してるわ!」


 そんな不敵な姉、フェアリンの言葉に唖然とするも、気を取り直し、そして声をかける。


「ディア、それじゃ姉さんに今までの経緯を説明してやってくれ」

「了解です。 それでは私のほうから順を追って説明させていただきましょう……」


 こうしてフェアリンに、蒼空との関わりを始めから説明し始めるディアなのだった。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「で、なんでボクいきなり転移させられたのっ?」


 ボクは放課後、例によって公園に立ち寄り恒例行事をしてる最中、ディアに強制連行されすでになじみとなってしまった、ディアの中に転移させられていた。

 ボクのカッコはガッコの制服、手にはラブレターを握ったまま、まさにいきなり連れてこられちゃったのだ。


「すまない蒼空。 ほんと急で申し訳ないんだが……こっちもちょっと色々あってね」


 フォリンがなんかすごく苦々しげな口調でボクに謝ってきた。


「えっ、う、うん。 まぁ別にガッコも終わって公園に居ただけだから、いいっていやいいんだけど……。 で、今日はいったいなんの……」


 ボクが何の用なのって聞こうとした矢先、


「まぁ! この子が原住民の子なの? ふーん、まぁかわいらしいけど……なんだか普通ね?」

「はわっ!」


 な、何この人?

 ボクはいきなりわいて出た(転移していきなり目の前に現れたんだからまさにそうなのだ)、フォリンとおんなじ見た目の人に思わずたじろいでしまう。


 ボクをなめるように見つめてくるその人。

 外見はフォリンに似てるけど、髪の色はフォリンと違って派手な金髪で肩口までのミディアムヘア。 全体的に柔らかい感じがして……この人もしかして女の人なのかな?

 胸とかお尻とか、ボクたちみたいにわかりやすい体型してなくて微妙だけど……。


「ふふっ、初めまして! 地球の人。 私はフェアリン。 この間はアレイと私を助けてくれてありがとう! 一度会ってお礼したかったから、無理言って呼んでもらったの。 都合も考えずに呼びつけちゃってごめんなさいね?」


「は、はぁ。 フェアリンさん、ですか? ……って、ああ! あの雪山の時の~?」


 そういやあの後どうなったんだろ? って気にはなってたんだけど、結局うやむやのうちに済んでいってたんだった。


「そうです蒼空。 あの時、あなたの粒子収束砲で助け出した宇宙船、アレイに乗っていたのがこの方なのです」


 ディアがそう説明してくれる。


「そうなの。 フォリンったらなかなか口を割らないから、あなたにお礼言うの遅くなってしまって……ほんとあの時はありがとう。 あなたは命の恩人ね!」


 そう言って、ニコリと笑って(笑ってると思うんだ、きっと)ボクを見てくるフェアリンさん。

 それに対して苦虫をつぶしたような顔してるフォリン。

 それにしても、口を割らないって……一体、二人の間に何があったんだろ? ボクはちょっと興味がわいたけど、そんなこと聞けるわけもなく。 


「ところで……蒼空さんだったかしら、私にもあなたのホントの姿……見せてくれないかなぁ?」


 フェアリンさんのその言葉にフォリンは、「もう好きにしてくれ」と、そんな投げやりな言葉を返していた。


 なんなんだろ? よくわかんないけどフォリン、相当この人のこと苦手みたい。

 それにしてもホントの姿っていわれても……。

 ボクがどうしたものかと戸惑っていると、


「蒼空、フェアリン……姉に、その……偽装を解いた姿を見せてやってくれ。 それから……君の能力を少しばかり披露してやって欲しいんだ」

 

 フォリンがそう言う。 あれ? 今、姉って言ったような? ボクがそんなこと考えてたら、例によって、例のごとく……。



 いきなり転移させられた。



 どこにって?



 


「でぃ、ディアの、ばかーーーーーーーーーーーーーっ!」





 ボクのその言葉が実際声になって聞こえることは無い場所。


 ああ、星がきれい。

 目の前に広がるのはおっきな……。



「つ、月ぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?」




 そう、ボクがディアに放り出されたのは宇宙空間。



「し、死ぬ、死ぬ! 死んじゃうから~!」


 ボクはまたもやパニック状態だ。 いったい何回こんな思いさせられてるか?


<蒼空。 いいかげん落ち着いてください。 あなたも学習能力がありませんね?>

<う、うるさい! こんなとこに放り出されて、パニクらないほうがおかしいよっ!>


 ボクはディアにあまりの言い草にそう言い返した。


<ほんとにしょうがない人ですね。 あなたの体がたかが宇宙空間に放り出されたくらいでどうにかなるとお思いですか? この私の持てる技術の全てを注ぎこんだあなたがです。 ほら、早く落ち着いて、フェアリンにあなたの能力を見せてあげてください>


 く、くっそう! ディアにやつぅ……。

 でも悔しいけどディアの言う通りだった。 ボク、宇宙に放り出されてるっていうのに……なにこれ。


 寒くも、熱くもない。 そもそも息苦しくもならない。

 映画でよくあるみたいに、血が沸騰したり、目や体が膨張して破裂なんて恐ろしいことにも全然ならない。(まぁ実際にも、そこまで極端なことにはならないみたいだけど……)


 不思議。

 

 落ち着いてくると、とたん感じるそのあまりにも特異な世界。


 あまりに孤独で、そして静かな世界。


 なぜボクがそんな空間に普通に居られるか? なんてもう突っ込みはもうしないけど。

 はうぅ……。

 ボク、ほんと……普通の人じゃなくなっちゃってるのは確かだよ。


 落ち着いて、今さらながら気付いたんだけど、宇宙空間に浮かんでるボクが着てるのは、この間春奈と行って買ってきた例のゴスロリ衣装だった。 宇宙空間だというのに、なぜか普通の状態に見えるレースのフリルもにぎやかな、かわいらしい衣装。


 もういいや。 どうとでもしてよ。


 ボクはあきらめ、落ち着いてもう一度、周囲を窺う。

 さっきは気付かなかったけど、ボクから見て斜め上方、数百メートルくらい離れたところに大きな四角い物体が二個、寄り添うように存在してる。


<ちょ、ちょっとディア。 ボクの目の前にある四角いの二つ。 それってもしかして……>

<ようやく落ち着きましたか? そうです、それが私とアレイです。 大きい方が私です。 それでは模擬戦よろしくです>


<え? 模擬戦? ちょ、ちょっとディア!>


 ボクがあきらめ悪くディアに話しかけて中。 そのディアの船体、その長方形の厚みの部分、帯状になってる周囲の一点から何やら細かい物体が排出されたみたい。


 ボクもう悪い予感しかしない。 ったく……。


 そいつらの数は30基ほど。 うへぇ、どんだけだよ!

 大きさはサッカーボールくらいかな? かなり小さくて真っ暗な宇宙空間だとあっという間に見失っちゃう。


<ディア。 念のため聞くけど、今出てきたの壊しちゃっていいの?>


 ボクはもう今さらグダグダ言ったってしょうがないから単刀直入に確認した。


<ようやくやる気になったようですね? かまいません。 派手にやってください。 それから補足ながら……今着てる新しいコスチュームですが、この前言った通り、きっちり強化しておきました>


 でぃ、ディア。 おまえ……ほんとにやっちゃったんだ。


<エネルギーパックとそれへのチャージ機能も付けましたから、太陽にさらされている限りエネルギーチャージされます。 まぁ私とのリンクに比べれば、その効率はせいぜい30%といったところですが、あなたの生体エネルギーだけの場合と比べれば、はるかに有効にです。 ですので存分に暴れてください>


 ボクはもう呆れるしかない。

 それにしてもこのお洋服のどこにそんなもの付いてるんだろ? 気にはなったけど、今確認してる余裕がないのも確かなので、ボクはさっさと気持ちを切り替えボールを捜すことに専念する。


 訓練を思い出すんだ……。 ディアの中で散々やらされた右目の訓練。


 とりあえず移動。

 宇宙空間で移動ってどうなんだろ? そう思いつつもいつも通りキーワードを唱え、翼を展開させて飛ぶイメージをする。


 ボクの翼はいつも通りきれいな輝きをともなって背中に展開する。 心なしかいつもより輝きが強いような気がする。 そしてとりあえず移動するイメージ。

 翼からキラキラと青白い光の粒子? が放出され、ボクは普通に今いた場所から移動を始める。


 移動している間中、ボクの翼からは粒子が尾を引くように放出されてる……。


 なんかすっごく幻想的。 きれいだ。


 地球上で飛んでるときも多少出てたけど、こんなに出続けることはなかった。


 思わず状況を忘れてひたってしまってると、キュピンって感じでアタマに響き、右目情報が表示される。

 そう。 右目は索敵レーダーの機能もある。

 ほんとこの右目、どんだけ万能なんだろ? それにこんなに情報いっぱいにもかかわらず理解できてしまうボクって?

 ほんとディアったら、ボクのアタマん中、どんだけいじくりまわしてくれてるんだろ?


「とりあえず、サッカーボールモドキ3基か。 よーし、相手はただの機械だし。 ストレス発散もかねて思いっきりやっちゃうんだから~!」


 ボクは右手を前に出し、手のひらに意識を向け、キーワードを唱える。


「プラズマボール!」

 

 そのまんまの名前だ……。 唱えたとたん現れるまばゆいばかりに輝く高エネルギーの集合体。 それがボクの手のひらの上に小さいボールとして存在してる。 うかつに人が触ったりしたら……考えるだけで恐ろしいよ。


「よーし、いっけー!」


 ボクは右目の情報の位置をイメージしながら、適当に右手を突き出す。 するとボールはまるで行き先がわかってるかのように放物線を描きながらすさまじい勢いで飛びだしていった。

 ボクはそれを目で追うこともなく、次のボールを準備。

 今度は両手にいっぺんに出す。


「よーし、まとめていっけー!」


 両手を突き出し、2個のプラズマボールを同時に撃ち出す。


 ボクの右目には次々モドキボール情報が入ってくる。

 今撃ったボールがどうなったかなんて確認することもしないボク。 まぁそんな余裕もないけど。


 たまにボクめがけてすごい勢いで突っ込んでくるモドキボールも、バッチリ見えてるから余裕でかわす。

 ボクがそうやってかわすたびに、翼からはきれい光の粒子が放出され、いつしか周囲はその余韻の粒子の帯が幾重にも重なり、キラキラと輝くそれはとってもきれいで幻想的な空間を作り出していた。


 とは言っても、さすがにその景色を楽しむわけにいかず、もう機械的に次々標的に向ってボールを撃ち出すボク。


「ほーら、行け行け~! いっけー!」


 そうやって休む間も無く撃ち続け……ついに右目に反応が無くなった……。


 確認するまでもなく、ボクの放ったプラズマボールは標的に一発も外れることなく着弾、撃破したみたいだ。 えっへへ~!


<あれぇ? ディア、もう終わりなの? ボクのエネルギーまだ全然余裕で残っちゃってるよ?>


 新しいコスチューム、けっこう使えるかも? ボクは見た目はともかくその機能にはかなり好感触を得ることができ、思わずほくそ笑んだ。


<なかなかやりますね? それは最後にこれでどうでしょう?>


 ディアがそう言うと同時にまた新しい何かが放出された。


 んーなんだろ? じーっと見つめるボク。


「はわっ! 何あれぇ!」


 ボクは宇宙空間で、まさに声にならない声をあげた。

 

 それはなんかどっかのSF映画かアニメに出てきそうな巨大な星……をイメージしたおっきなボール。

 たぶんこれ直径100m以上はあるんじゃない? 出てきたトコよりおっきいってどうなの? ボクはなにげに理不尽なその物体に毒づき……でもまぁ、ディアがやることだからと、あっさり流す。(なんかボクもだいぶディアに感化されてきた気がする)


「ふふーん、そうきたかぁ? するとたぶんそいつってどうせ星の真ん中辺りからなんか打ち出してくるんでしょう?」


 って、ボクが誰ともなしに、突っ込んでる間にそいつってば、さっさとボクが言ったような砲撃体勢に入ってたりする。


「ちょ、はやっ! 早いって。 まだボク準備出来てないのに~!」


 そうグチってみても向こうは待ってくれない。

「ス、スピアー来てっ!」

 ボクは慌てて音叉の槍を右手に呼び出し、発射準備にかかる。


 でっかいボールの真ん中に深い闇が現れ、その丸い何もない空間に稲光が幾重にも走ってる。 そしてその中心が青白く光りだし、そこからチロチロとプラズマの舌が踊り狂うように出現してる。


「な、なにあれ怖い! ディアたっらボクを殺す気ぃ~?」


 などと口走っててる最中、ついに発射されるその凶悪な砲撃。 打ち出されたプラズマの奔流! それはボクの音叉の槍の粒子収束砲にも似た、すさまじいばかりのエネルギーの嵐。

 

「ディアのばかー!」

 一言叫ばずにはいられない! そして、

「し、シールド! シールド! シーーーールドーーーー!」


 びびったボクはシールドを3枚重ねで展開、それとほとんど同時に、その打ち出されたエネルギーがシールドに直撃し、一瞬世界が真っ白になる。

 そして次に来るのは激しく幾重にも重なる稲光の嵐。 1枚目のシールドがあっけなく消滅し、エネルギーの奔流に飲み込まれ、続いて2枚目も……。


「う、うっそぉー! やばいよ」


 ボクは音叉の槍の発射準備を整えつつも、眼前の光景に冷や汗を流す。 そして3枚目のシールドもなんかやばそうな気配。 もう一枚シールド展開するか? 一瞬そう思ったもののボクは別の選択をした。


「もうこのバカディアめー! これでおしまいにしてやるんだから~!」


 ボクは今にも破れそうなシールドに向って音叉の槍を、もう限界ってほどの威力に設定し、撃ち放ってやった!


「もう、シールドごとぶち壊しちゃえ~!」


 ボクは撃った反動をそのまま利用し、かつ、翼も全開にしてその場から急速離脱、もしもの場合に備えつつその砲撃の結果を固唾を呑んで見守る。


<蒼空……やりすぎです……>


 なんかディアのそんな言葉が聞こえてきた気がするけど……。


 ボクの音叉の槍の砲撃は、限界寸前だった3枚目のシールドをあっさり破壊、そこで渦巻いていたエネルギーの塊をも丸呑みし、そのまま何も無かったかのように突き進む。

 そして、凶悪なほどの輝きとプラズマの嵐をともなうエネルギーの奔流は、ほんとにあっさりとそれはもう、トイレの水に流される○ンコのように、悪の衛星モドキを巻き込み……。


 しばらく目の前が真っ白になる、すさまじいばかりの光とエネルギーの嵐が消え去った後には、100mを越える衛星はきれいサッパリ消滅。


 何も無い空間がただ広がっているだけ……、だったんだけど。


「……あはは……なんかごめん」


 ボクはさすがにちょっといやな汗かいちゃった。


 ボクの放った粒子収束砲の行き着く先には、なんかディアがいたりしてたわけで……。

 まぁ、当然なんの被害もなかったわけだけど。


「ほんと、ごめん……反省します」


<まぁ、こちらもやりすぎた感はありますので、まあいいでしょう。 今後はもう少し周囲の状況を的確に把握するようお願いします>


 ううっ、今後ってなにさ? またなんかやらされるのかな?

 ボクは反省しつつも、ディアのその言葉に引っかかりを覚えるのだった。




「ちょっと……フォリン。 あれ何?」


 船内ではフォリンがフェアリンに冷たい目でもって詰め寄られていた。


「い、いや、……地球人代表の模範演技……?」


「あんた……バカでしょ?」


「はひっ!」


 この後フォリンとディアは、フェアリンとアレイに延々と、それはもう耳にたこがいくつも出来るほどどやされ、……そして、ぐうの音も出ないほどに痛めつけられたという……。


 


 そしてその時、

 地球からは、なぜか原因不明の金冠月食が短時間ではあるが観測されていたのだった。


 翌日、ネットでそのことについて盛り上がったのは言うまでもない。



また勢いで投稿……

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