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第一話 意地悪な神


 ここは……


 目の前には、真っ白な空間が広がる。

 ふと、俺は下を見た。


 足元にはおおよそ足場と呼べるようなものがなく、果てしない白い空間だけが広がっていた。


 落ちてるわけでもなく、ただこの謎の空間に浮いている、謎の気分。


 ……ってか、


 俺ってどうなったんだっけ?


 えっと…


 そうそう、何か自分の腹にナイフを刺したのは覚えてるんだけど。


 "自分の腹にナイフ?"


 馬鹿じゃん。

 他に色々方法はあっただろうに。


 あの子達を導くためとは言え……

 まぁ、今更考えても仕方ないか。


 もしかして、俺死んだ?


 でも、色んな子供たちを見て教えて、何不自由ない人生だったな。


 最後にあの子達がどうなったかは気になるけど。


 それだけが悔いだな……



 俺は、自分の死に対して何ら悲観せず、受け入れていた。

 

 しかし、これからどうな……


 天国やら地獄やらってあるのかな……


 そんなことを考えようとしたその時。

 何処からか声が聞こえてきた。



『あ、あぁ、聞こえるかい??』


 歪でそれでいてどこか包容力のある声。


 いったい……


『どうやら聞こえているみたいだね。』


「いったい誰だ!」


『誰と言われても……僕には名前なんてないからね。強いて言うなら君たちの世界で言うところの"神様"ってやつかな。』


 神だって……

 実際にいたのか。


 いや、まだ夢の可能性はある。


『残念ながら、夢ではないよ。君は死んだんだ。』


 突然、自称神から告げられる死の宣告。

 自分で考えるのと人から言われるのではその"死"という言葉の重みが違った。


「そ、それで、神様が死んだ俺になんのようでしょうか。もしかして貴方が天国行きかどうかを決めるのですか?」


『天国?いや、そんなものは存在しないよ。君たち人間は死んだら無に帰るだけ。一応生まれ変わりなんかもあるけどあれは魂の形が似た全く別の存在になるからね。』


 死んだ無になる……

 昔から死んだらどうなるのかとか考えてたけどやっぱり天国なんてものはないのか。


「では、なぜ私はまだ意識があるのですか?」


『おお、いい所に気づいたね。それは僕が君の魂をとどめているからさ。』


「それは一体何のために……」


『君は少しせっかちだね。ちゃんと今から説明してあげるからさ。』


「あ、ありがとうございます。」


『僕たち"神様"と呼ばれる者たちはね、人間の世界を常に監視している。そこで善い行いをしたもの、逆に悪い行いをしたものに"その人にあった世界"で蘇生、または転生させたりしているんだ。半ば"神たちの娯楽"のようなものさ。』


「では、俺は………」


『もちろん、君は善い行いしたから"君にあった世界"に転生か蘇生をしてあげることにしたんだ。もちろん、断ることはできるし、どんな世界が良いとかは要望を聞くよ。』


 善い行いをしたから俺を別世界に…

 別にそんな大層なことをしてきたつもりはない。

 ただ、俺は子供の幸せを願って導いていこうとしていただけだ。


 断ってこのまま、死を受け入れるのもいいがまだまだ導いてあげたい子達がたくさんいる。


『ちなみに、元の世界には無理だからね。』


 神様は俺の思考を読めるかのように考えていることを見抜いてきた。


 まぁ、神様だし思考は読めるか。


『で、どうするかい?別に断ってくれてもいいんだけどこんなチャンスはめったにないことだからね。』


 このまま死ぬのは嫌だな。

 恐怖もあるがそれ以上に子供たちの幸せを見て死にたい気持ちが強い。


「神様!どんな世界が良いかの要望ができると言いましたね。」


『そうだとも。それに加えて、特別な力も一つだけ与えてあげるよ。』


 特別な力?

 超能力みたいな?


『別にハンドパワーみたいなのが欲しければそれでもいいけどもっと賢くなりたいとか目が良くなりたいとかほんとなんでもいいよ。』


 なんともサービスが豊富なことだ。


『さぁ、要望を言ってごらん。どんな世界が良いんだい?』


「俺は、子供が誰も不幸にならない、みんなが幸せになれる世界に生まれ変わりたいです。そして、そんな世界で子供たちと一緒に笑い、泣きそして高め合う、そんな幸せ人生を送りたいです。」


『もしかしてさぁ、君ってロリコンなわけ?』


「違います!!子供の成長を見るのが好きなだけです。今の人生では大人という立場から子供たちと関わってきました。しかし、今度の人生では子供の立場から子供たちの幸せを見たいのです!!」


『そっかぁ、君の人生見てて思ってたけどかなり変わってるよね。』


 変わってる?

 子供の幸せを願うのは当然のことじゃないか……


『まぁいいよ。じゃあどんな能力が欲しいとかある?』


 別に超能力とか使いたいとか思わないしなぁ。


「そうですね……別にこれと言ってはないのですが強いて言うなら、いざという時に子供を庇える頑丈な身体とかですかね。」


『そうかい、分かったよ。後はこの紙にサインを書いてくれたらオッケーだ。』


 そう言って神様は一つの契約書のような紙を渡してきた。


 神様の世界にも契約書みたいなのがあるのか。

 

「えっと、何が書いてあるんですかこれ?文字が読めないんですけど。」


『そうだったね、神の世界に提出する必要がある契約書だから神の言葉なんだ。だから読めなくて当然さ。内容としては、転生または生まれ変わりのことを他言してはいけない。神について他言してはいけない。そんなとこだね。』


 確かにそんな事話したら色々大変な事になるな。

 俺はペンを受け取り契約書に名前を書いた。


『どうもありがとう。これで君を別の世界へと蘇生できるよ。』


 "蘇生"?


 俺は生まれ変わりたいと願ったはずじゃ……


『神の言葉をやすやすと信じちゃだめだよ。言っただろう?これは"神たちの娯楽"だって。僕たちは気に入った人間に要望を聞いてそれとは全く真逆のことを叶えてやるのが楽しみなんだ。』


 そ、そんな事……


「ふ、ふざけ」


 言葉を放とうとしたが身体が消えていき声を発せられなくなる。


『子供たちが大人に虐げられ、不幸になるしかできない世界で、"守る"ではなく"壊す力"を与えられた君がどうなるのかを楽しみにしているよ。』



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