第9話:陰キャ後輩とお年玉
「ダーリン、これを渡そう」
新年、私服として豪華な着物を纏った先輩が、何かを差し出しました。
「お年玉だ」
「え…いいんですか?」
嬉しくは思いますが、あまり歳の離れていない先輩から頂くのは少し罪悪感があります。
「もちろん、いつも家事をありがとう」
なんでしょう、今日の先輩、清いというか…
いつもの気持ち悪さがないというか…
「何も出ないですよ?」
「何も求めていないさ、というかすでに対価をもらったというべきか…」
対価…何か渡しましたっけ?
不思議そうな顔をしていると、先輩が顔を赤らめて言いました。
「初詣のとき、聖奈のことが大好きと…//」
…なんというか、チョロいです。
調子が狂うので咳払いをして、お年玉を開封します。
流石の先輩といえど、まだ学生、少額でしょう。
札が7枚、7千円でしょうか。
しかし、顔を覗かせたのは渋沢さんでした。
「先輩…怪しいことしてませんよね」
「少しだけだ…」
「え…?」
「冗談だ、この聖奈がリスクを取るわけないだろう」
先輩は苦笑してから、私に説明してくれました。
「今月のバイト代、全額だ」
ものすごい短文ですが、インパクトが凄いです。
「そんなの貰えないですよ…」
生活費は、双方の親から出してもらっているのですが、先輩はバイト代で趣味を嗜んでいます。
「いいんだ、聖奈の富はキミのためにあるのだから」
依存されすぎてきもち悪いです…
きっと先輩は性格的に折れません、それなら…
「じゃあ先輩、今からレストラン行きませんか?」
依存されすぎるのは、対等ではありません。
恋人、なんですから。
「キミからお誘いとは!喜んで着いて行こう」
家事をしてるとはいえ、悔しいですけど先輩には支えになってもらっています。
親孝行ならぬ先輩孝行、今度してあげますか。




