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使い潰された勇者は二度目、いや、三度目の人生を自由に謳歌したいようです  作者: あかむらさき
東のはての賢者様編

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東の果て編 その6 貴族らしい貴族プレイ(頭のオカシイ方)

 フィオーラ嬢にかなりの面倒事を押し付けてしまった自覚はあるので何で恩返しするかも考えなければいけないがとりあえず目先の荒れ地、じゃなく准男爵領のこれからである。

 まずは領民全員を集めての『圧迫面接(話し合い)』もとい『話し合い(圧迫面接)』から始める事に。

 うん、建前はとても大事だから。


 風魔法を利用して領内の隅々まで届くように


『あー、新領主より通達する。全領民は明日の正午領主の館の前に集まるように。冬に向けた食料の配給などの話もあるので必ず参加するように。尚、参加無き者には以降一切の何物の支援も行わないものとする。繰り返す――』


 とアナウンスを朝から夕方まで二時間置きに流しておく。

 来ないやつに何も支給をしないと言うのはもちろん本気である。


 ・・・現状俺は勇者様ではなく為政者(ただの補佐だけど)である。最低限のギブアンドテイクも出来ないような領民など必要ないのだ。

 幼女が隣で少し不安そうな目でこっちを見ているが契約時に『ちゃんとこちらの指示に従う領民からは今年の冬に餓死者や凍死者が出さない』と念を押してあるからな。


 確かにここの領民は親や配偶者や子供を三ヶ月前の『魔物の氾濫』で無くしてヴィオラの父親、いや、現領主であるヴィオラの事も恨んで当然だろうが・・・。

 これからは出来るだけそのへんは俺に集まるようにしていけばいいだろう。なんて言っても俺は暗黒卿だからな!ヘルミーナ嬢は元気に稽古してるかなぁ。

 公爵家で食っちゃ寝してる時は幸せだったなぁ。

 働きたくないでござる・・・。



 そして翌日の昼、領主の館の前の(昨日平地に均したばかりの)広場。

 うん、半数以上は不満ありありの様子だな。鍬(木製でさきっちょの部分に申し訳程度に鉄?青銅?の刃先のついたモノ)や棍棒っぽいものを持ってるやつや石を握り込んでるやつもいるし。一揆と呼ぶにしても少々心もとなさすぎるだろそれ。

 後々のためにもとりあえず一発かましとくか。


「呼びかけに応えてよく集まった。私はそちらにいる新しくこちらの領地を継ぐことになったヴィオラ准男爵の・・・そうだな、政務官だとでも思ってもらえばいい。先の魔物との戦において、このヴィーゼンは全てにおいて大きな被害を受けた。ここに集まってもらった者たちも多くの者が家族を亡くしたことだろう」


「そうだ!ここの領主のせいでうちの息子は死んじまった!!」

「あたしのおっとうも死んだ!!」

「返せ!!旦那を返せ!!」


 ・・・まぁそうなるわな・・・。

 でもさ、申し訳ないけどそんなこと俺に言われてもどうしようもないんだ。


「静かにしろ。誰が口を開けと言った」


「な、なんだと!?」

「ふんっ、子供が二人でならんでこの先どうしようってていうのさ!!」

「そうだそうだ!!あんまり生意気なことばっかり抜かすようなら」


 空に向けて掲げた掌の上に魔法で火の玉を呼び出す。クルクルと回りながら次第に大きくなっていく炎の塊にこちらを恨みがましい、そして小馬鹿にした様な目で見る集団の顔色が変わって行く。


「面倒な連中だな、よし、そこのお前、黙るかこの場で全員で消し炭になるか選べ」


 威圧スキルも使ってるので真っ青な顔でうずくまる老人や座って尿を漏らす子供もちらほら。

 うん、どっから見ても『貴族らしい貴族様(頭のオカシイ方)』だな。

 あれだぞ?こう言うときに某王子や某次男みたいに声を荒げる様じゃ三流だからな?冷静によく通る声で無表情で。

 静かになったので炎の塊は空に打ち上げて・・・大きな音を出しながら破裂させる。


 ちなみに見た目は派手だがそこまでの威力はない見せるだけの魔法なんだけどさ。

 ああ、子供が一人泣き出したらそれにつられてほとんどの子供が泣き始めたよ・・・。近くにいる大人はなんとか泣き止ませようと大わらわである。

 いや、大丈夫だから、焼かないから。

 隣からは幼女が『お前・・・正気か?』みたいな目で見てくるし。ちなみにそろそろ止めてくれないかな?と幼女にアイコンタクトを送ってみる。


「貴様らは犬以下か?静かに話を聞くことも出来んのか?」

「ハリス、いい加減にしなさい、この人達は私の領民なのよ?あなたがいくら私のこ、婚約者でも傷つける様な事は許さないんだからね!!」


 おお!!通じた!!メルちゃんみたいなポンコツだったらどうしようかと思ったよ・・・。

 そして俺は『執政官』とは言ったが『婚約者』などとは一言も言ってはいない。でも、今回はそれに乗っちゃうほうが話が早いかも知れないな。

『戦死をした父に成り代わり新しく領主になった幼気な幼女とそれを溺愛しているのでどんな無理でも聞く馬鹿で横暴な婚約者』みたいなストーリで。


「ふっ、ハニーがそう言うならしょうがないな。いいだろう、君のその可愛い笑顔に免じて今回は許そうじゃないか。新しい領主の慈悲に感謝することだな!」


 幼女の前髪を指で摘んでくるくると捩りながら見つめる。いや、お芝居だからそこまで真っ赤になる必要はないぞ幼女。

 てなわけで俺の結構無茶苦茶な『お願い(命令)』が始まる。


 まずは


『今からここに集まった住民全員の名前と年齢を記録していく』


 と言うこと。住民名簿みたいなものは一応あるが出生届も死亡届もとんでもなくいい加減な物なので心機一転やり直しである。

 これから半年間いろんな生活物資の支給をしないといけないからキッチリと戸籍はつくっておくべきなのだ。


 ちなみにアナウンスで伝えてある通り今居ない連中や言うことを聞かず帰るような連中の事は知ったことではない。

 もちろん寝たきりの老人や動けない怪我人や赤ん坊はちゃんと身内の人間が報告すれば大丈夫だからね?さすがにそこまで鬼じゃないからな。

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