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使い潰された勇者は二度目、いや、三度目の人生を自由に謳歌したいようです  作者: あかむらさき
東への旅編

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東への旅編 その17 また会う日までと初めまして

『そもそも俺はここで何をしてるんだろう?』


 と思わなくもないむしろ毎日思いながらも食堂を手伝うこと早2週間。

 近辺のお店と比べてもそこそこお高いのに一見さんだけでなく常連さんも付き始めた今日此頃。

 裕福なお客向けにメニューの品数を増やしたほうが儲かるんだろうが姉が一人で調理場を切り盛りするにはシンプルなのが一番なので保留した。


「姉も調理を覚えたので俺とミヅキはそろそろと言うかこれから用意出来次第ここを出ようと思っている」


「えっ?!」

「・・・えっ?!」


「いや、特に驚くことでもないいだろうが。むしろ何故こんなに長期滞在しているのかのほうが不思議なくらいだし」

「いや、だって私もお姉ちゃんも娶ってくれるんじゃないの?だって借金返済してくれた上にお店の立て直しまでしてくれたのに」

「・・・うん・・・妹はどうでもいいけど私はお嫁さんに・・・」

「お姉ちゃん!?」


 いえ、一切そんな気はないですけど?だいたい俺が長期の客商売とか出来るはずないじゃん。なおかつ魚・・・あきた・・・。

 てか俺の隣にはいつも蛇が寝てたから姉妹には指一本入れても・・・じゃなく触れてもいませんし?嫁とかありえん。


「まぁ資金にそこそこ余裕も出来たし特に問題はないだろ?魔道具のたぐいも調理関係のは全部置いていってやるよ」

「いや、そう言う問題じゃなくてさ・・・ハリスは私のこと嫌いなの?」

「・・・嫌い・・・?」

「もちろん身体に関しては大好きだけどね?それ以外はこれと言って・・・」

「最低だこいつ!?」


 まぁ半月も四六時中一緒にいりゃそれなりに好意も愛着も湧くけどさ、それはそれ、これはこれなのだ。

 あれだけ世話になったフィオーラ嬢を振り切って出てきた俺である、逆に世話をした姉妹を置き去りにするくらいなんて言うことはないのだ!


「この近くに来ることがあればまた寄る・・・こともあるかもしれないようなないかもしれないような」

「そこはちゃんと寄りなさいよ!はぁ・・・そうよね、未だに名前ですら呼ばないもんね。むしろあんた、私達の名前知らないでしょ?」

「おう、お互いに元気でまた会う日まで、だな。じゃあな、リアーニャ、リアーティ!」

「し、知ってるならもっと早く呼びなさいよバカっ!!絶対にまた来てよっ!約束だからねっ!!・・・・・・ありがとう」


 てことで用意・・・と言ってもさすがに置いていくわけにはいかないトイレ(ほら、転移魔法がさ)だけしまい込んで店を出る。

 一応他の魔道具にもちょこちょこっと仕掛けはしてあるんだけどね?さすがに持ち出されて使われるのは少々問題があるシロモノだから。

 後ろからのすがるような視線を気にせずに歩き出せばその時点で俺は気ままな旅人なのだ!


「別にあそこでとどまってやれば良かったじゃないかの?それなりに楽しそうにしてたじゃろ?我も含めて毎晩バインバインじゃぞ?」

「お前はノーバインだからな?んー・・・いや、アレは俺が求めてる生活じゃないしな。俺がしたいのは・・・うん、まだ特に思いつかないけど。まぁ今はこうしてお前と二人で旅するってのが幸せだからそれでいいだろ?」

「ふふっ、まぁそうじゃの」


 今回は大量に食材や嗜好品の補充も完了してるし長旅もどんと来いである。とりあえずの目的地は最果ての村、いや、村というほどの規模があるかどうかもわからない開拓地みたいな所らしいけど。ちなみにここから東に約5日の場所である。

 そこで記念に『俺様参上!』みたいな石碑を建てたら一旦ここまで戻って・・・どこに行こう?西の帝国でも見に行くか、それとも船に乗って北の皇国か南の共和国でも目指すか。


 でも鉄で出来た船ですら沈むのにエルドベーレの港で見たこの世界の船で旅はなぁ、あまりしたいとも思えん。船自体は大好きなんだよ?帆船もフェリーも、一番好きなのは豪華客船だけど。もちろん乗ったことはない。

 まぁ最悪沈んでも水の上歩いたりも出来るけどさ。


 全ての道は王都に通ずる、地の果て目指して三千里。いやそんなに距離はないな。

 てかさ、出発三日目まではまぁ良かったんだよ。村らしい村もほとんど無かったけど道らしい道はあったから。

 四日目くらいからはあれだぞ?道なのかただの荒れ地なのかわからない感じだったからな。

 そして五日目の夕方・・・。


「うん、何となく民家が・・・ちらほらと見えるような見えないような?ここが目的地ってことでいいのか?」

「我に聞かれても分かるはずなかろうが・・・」


 確かにそりゃそうだな。


「何というかこう、達成感も何もねぇな」

「見渡しても特に何が有るわけでもない海辺って言うだけでただの寂れた土地だからの」

「とりあえず泊まるところ・・・あるとも思えねぇなこれ。まぁいいや、あそこの体育館と言うか市民会館みたいな所で聞いてみるか」

「なんじゃその聞き慣れない代物は・・・」


 少し丘の上っぽい場所にある体育館のような建物、いや見た目はまんま田舎の木造の体育館、さらにそれが半壊したような建物なんだけどね?

 それが実りの悪そうな野菜畑に囲まれて何と言うか


「ちょっとしたお化け屋敷だな」

「大きなお世話よ」

「おおう!?どこから・・・あ、そんなとこで屈んで何してたんだ?う○こ?」

「どうしてわざわざ自分家の庭でそんな事しなきゃならないのよ!?まったく、失礼な下民ね!!て言うかあなた、この辺では見かけない顔ね?」


 おそらく家庭菜園・・・って規模でもない広さの畑でなんらかの作業でもしていたのであろうちみっこに声をかけられた。


「ふむ、顔を見る限りでは貧乏農家の娘って感じでもないけどお嬢ちゃんはここの家の子かい?」

「色々と失礼ねあなた!?そもそもこの家は農家では無いわよ!!聞いて驚きなさい、この屋敷は『ヴィーゼン』を治める『ヴァイデ準男爵』様の屋敷よ!!」

「あ、このボロボロの体育館、壊れかけの倉庫じゃなく人が住んでるんだ?」

「あなた本当に・・・いえ、まぁいいわ。私は淑女レディだからこの程度のことで怒ったりしないもの!!それで何用なのかしら旅人っ!!」


 むっちゃキレてるじゃん、てか元気な子だなぁ。

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