東への旅編 その3 精霊様のお告げ
「あー・・・確かに俺もさっき受付のおば・・・お姉さんにそう聞いてこれからどうしようかと思案していたところだ。いや、それにしても少々タイミングよく声をかけられて驚いたよ」
「あんた、あたしに対する態度と違うくない?」
「ソンナコトナイヨー」
何を気に入られたのかわからないがエルフ(っぽい子)さんに話だけでも聞いてもらえないか?と誘われたので栗毛のクリクリちゃんと三人で連れ立って組合を後にする。
まぁ目的地は目の前の飯屋さんなんだけどさ。
「そうだね、まずは自己紹介から。私はエルファ。でそちらの彼女が」
「サーラよ!」
「エルファ・・・何と言うか見た目通りの名前だな。俺はハリス、でこっちは妹のミヅキだ。一応よろしくでいいのかな?」
エルフのエルファ。手抜き感が凄い。いや、そもそもこの子エルフではないんだけどさ。
「ハリスにミヅキか、こちらこそよろしく。で、話の続きなんだが――」
続く話はさっきの焼きまし。
二人だと迷宮に入れないのでもう一人二人メンバーを探していた。
自分たちが初心者なので出来れば同じ様な新人が良かった。
うん、まぁ言ってることはなんとなく理解できるし納得も出来そうなんだけど明らかに隠し事・・・ありそうだよね?
そもそもこれだけだけの美人エルフ(エルフ成分は含まれておりません)が迷宮になんて入りたがる必要性がわからないし。
「それで、ハリスは前衛なのか?後衛なのか?軽装の戦士または闘士かと見受けられるが」
「んー、御名答。てか俺が登録してる時少し離れたとこで聞いてただろ?」
「ふふっ、気付かれてたか」
あからさまに怪しい格好だったからそりゃ気付くわ!ちなみにクリクリちゃん改め『サーラ』は俺と同じく軽戦士、パッキンエルフ改めエルファが弓使いとどう考えてもダンジョンアタックに向いていないメンバー構成である。屋内型の迷宮で弓使いとかフレンドリーファイア待ったなしである。
まぁお互いにソロ(ないしペア)で迷宮に潜ろうとしてたくらいだからそれなりの腕はあるのだろうが。
「んー・・・」
「ん?どうかしたかい?」
「いや、話を聞いた感じだと俺を誘う理由にはあまりならないと思ってさ。『自分たちと同じ初心者とパーティを組みたかった』って話だけど少なくともそちらは腕に自信があるんだろう?なら別にそこそこの腕の連中と組めばすむ話じゃないか?」
「ふむ、いやまぁそれもそうかもしれないがわざわざ格下と組みたがる中級探索者も居ないだろう?」
「んー・・・いや、やっぱり理由としては弱いな。何か他の理由があるんじゃないのか?」
「確かに・・・説得材料には足りなかったかな?いや、なかなか鋭い観察眼だねぇ?」
「そもそも最初から隠す気もなかった様に見えるけどな?それで、あれか・・・やっぱりナンパ目的とか?」
「ぷっ、ふふっ、違うよ。そうだねぇ・・・『精霊様の思し召し』って言ったら信じてくれるかい?」
精霊様ねぇ。こっちの世界に来てからやたらとご縁があるし精霊様に関しては完全に良縁だからなぁ。
・・・クマとウサギは元気にしてるかなぁ。モフモフモフモフ。
てか思し召しってなんだよ思し召しって。
「・・・少なくともエルフさんが精霊を連れてる様には見えないんだけどねぇ?」
「ほう・・・ハリスには精霊様が見えるとでも?」
「さぁてどうでしょう?案外見えるかもよ?」
あれだな、話し方や雰囲気何よりも整ったお顔から見て良家のお嬢様っぽいし?エルフさんのお家も何らかの属性の精霊がいるんだろうなぁ。見るだけは見てみたい気もするな。
「ハリスは私達とパーティを組んでくれるかい?」
「もちろん!・・・遠慮させてもらいますが」
「えっ!?いやいや、なんかこうエルファと二人でいい感じに解りあった感出して話してたじゃん!?どうして断るのさ!!いいじゃん、あたしみたいな可愛い女の子と冒険出来るチャンスなんてもう二度と無いかもよ!?」
「ん?だって胡散臭いもん。他人の厄介事は離れた所から見てる分には楽しいけど巻き込まれるなんて真っ平御免被る!そしてクリクリはそこまで可愛くはない」
「えー・・・すごく失礼だこの子・・・て言うかクリクリって何よ!!」
少し困り顔で黙ってしまったエルフさんとお怒り顔で捲し立てるサーラ。
「いや、そんな変なことは言ってないだろ?だって俺に特にメリットがないもん。迷宮に潜りたいって言っても探索者になったんだから何となく一度くらいは迷宮にも行ってみるかなー?くらいの想いしか無いし。自分から厄介事を抱え込んでまで行こうと思わんよ?」
金儲けの手段くらいいくらでもあるしな。・・・問題はどれもこれも足がつくと面倒くさいって事なんだけどさ。
それに可愛い女の子で言えばそちらのエルフさんと同レベルの見目麗しい御令嬢を三人は知ってるし。お姉様も含めれば5人。そして好みで言えばメルちゃんの方が好みだから合計で6人になるな。
「うう・・・手厳しいな君は。いや、確かに胡散臭いのは認めるよ。私だっていきなり『精霊様のお告げがあったから付き合ってくれ』などと言われれば即座に断るものな。しかし本当の話なんだよ・・・それにメリットかぁ。ならこうしよう、もし私達に手を貸してくれるなら成功報酬としてサーラを好きにしてくれて構わない」
「いきなり売られた!?」
「あ、いいです」
「そして拒絶された!?」
「主よ、我そろそろ飽きてきたぞ」
「さらに自由な妹さん!?」
ちなみに俺もそろそろ宿を押さえに行きたい。まぁあれだ、そちらはそちらで勝手に頑張ってくれ。
ん?冷たい?まぁ条件によっては行動を共にするのも吝かではなかったんだけどさ。
会ったばかりの人間を信用できないあちらさんとそんな相手を信用できない俺と言うどう考えても交わらない状況なんだから仕方ないじゃん?




