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使い潰された勇者は二度目、いや、三度目の人生を自由に謳歌したいようです  作者: あかむらさき
王都公爵邸編

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王都公爵邸編 その29 たぶん殴っても死ぬだろうけど

 知らざぁ言って聞かせやしょう。てなわけでここん家のバカと一緒に竜退治に行くことになったと説明。

 絶句、聞き終わったお嬢様まさに絶句である。


「・・・お嬢様、少しお時間を頂きたく。虫ケラを一匹・・・いえ、二匹ほど潰して参ります」

「ええ、構わないわ、行ってらっしゃい」

「いやいやいや、抜刀してるから!そこの護衛のお姉ちゃん抜刀しちゃってるから!送り出してないで止めてね?」


 抜いてるのは刀じゃなく剣だけどな!

 さすがにそのまま屋敷の中をふらふらと徘徊してたら完全に危ない人である。

 メルちゃん、抜いた剣をだらんとぶら下げたままこちらを見つめ


「ハリス、いくらお前が私より少々強くとも流石に竜と殺り合うのは無茶が過ぎるぞ!!」

「別に斬り合うわけじゃないから大丈夫だよ」

「わかってるさ!殴り合うのだろう!?」


 どうして俺がドラゴンと昭和のヤンキー漫画みたいなタイマン勝負しないといけないんだよ・・・。


「いや、見てもらった通りほら、コレコレ」

「だからその変な形の棍棒で殴るのだろう?」


 ああ、なるほど・・・。

 この国では銃なんて出回っても無さそうだし飛び『道具イコール弓』みたいな認識になるのね。

 そして細長い鉄の塊イコール棍棒なのか。確かに重量的には十分に鈍器だけどさ。


「あー、あれだ、これ、こう見えて飛び道具・・・魔法の杖の魔道具版?みたいなモノなんだよ」

「いいかハリス、竜に魔法を撃っても効果はとても薄いんだ。それならまだ剣で斬りかかる方がマシだとすら言えるんだぞ?」

「んー、説明が難しいんだけどさ。これ、魔法だけど物理攻撃なんだよね」


 メルちゃん、説明してもよく分かってないな。頭の上にハテナマークが5つくらい乗っかってるメルちゃん。


「何にしてもあなたは私の使用人なのよ?それをどうしてあの男ごときの命令を了承しているのかしら?」

「一応仮にも建前上は『留守役の公爵代行』らしいですからね。それを前面に出されるとそれこそ公爵家と喧嘩するくらいの覚悟をしないと断れませんよ」


 元々険しい顔をさらに険しくするフィオーラ嬢。


「ほらほら、お嬢様にそんなしかめっ面は似合いませんよ?いつもみたいに微笑んで下さい」

「そんな事無理に決まってるでしょう!?メルも言っているように相手は竜なのですよ!!」

「俺にとってはたかだか大きなトカゲですよ。帰りには竜皮のハンドバックでもお土産に持って戻りますからお楽しみに」


 まぁ俺にとってだけではなく、誰にとっても大きなトカゲだけどさ。

 問題は空を飛んで何らかの『竜の息吹ドラゴンブレス』を吐き散らかすことくらいか?完全に致命傷だなそれ。

 今回は遠距離攻撃手段があるし退治が無理そうなら他人(バカ次男)を放って逃げられるのでそこまで悲観的になる要素がないのが幸いだ。

 これでもしフィオーラ嬢を連れて行くとかになれば、それこそ決死の覚悟を決めないとならない所だもん。


「あ、あと、この部屋に小さな転移の魔法陣を設置して何かあればお手紙を送りますから・・・ね?」

「何かあれば送れないでしょう!!毎晩、毎晩送ると約束しなさい!!」


 確かに何かあれば送れないね、確かにその通りである。

 てか毎日業務日報の提出とかあれやぞ?バイトの辞める要因でもそこそこの上位やぞ?

 特に何も無いのに『特記事項なし』って三日続けたら怒られるからな?お前はそんなに職場でトラブルが起こって欲しいのかと。

 まぁそんなカラオケ屋バイトあるあるはどうでもいいとして。だってスイッチが入ると長い話になるからな!早朝サービス出勤してビラまきとかマジ勘弁。


「ぜ、善処します?」

「もう!あなたは・・・もう!!うーー!!」

「いきなり幼児化しないでください・・・」


 感情的には俺だってそんなに行きたいわけでもないんだからねっ!!



 さて、時は流れて翌日の早朝。出発前に蛇が「我も行くぞ!」とか言い出したので少々困る。

 だって竜退治だとか言ってみんなそこそこの覚悟(いや、そこそこどころか討ち死にする覚悟)で出陣するのに俺だけ女連れ(てか幼女連れ)とか非常に外聞が悪い。

 当然無理だと答えるも「大丈夫じゃ、我、神ぞ?」とか言いながら小さい蛇の姿になり首に巻き付く。

 うん、傍目には呪いのアイテムにしか見えなさそうだからせめて巻き付くのは手首にしてくれないかな?

 ああ、手首だと動きが激しくて乗り物酔いすると・・・俺は乗り物じゃねぇし。


 玄関に集合しているのは北都から来た第三騎士団とバカとその取り巻きのぼんぼん達。

 なんとバカ御一行、プレートメイル(冒険者とかが着てる動きやすい板金の鎧)超えてスーツアーマー(騎士が馬上で着るガチガチの全身鎧)着用である。

 そして腰にはロングソードを差し、手には長柄武器ポールウエポンを持っている。

 ・・・お前らそんな身動きが取りにくい上に一人で着脱も出来ない物着込んでどうしようっていうんだ?

 てかその抜身の槍とかハルバードとか持ち歩いて大丈夫なのか?騎士団の皆さんを見てみろ、ちゃんと槍は槍鞘に収めてるぞ?


 ん?おれの服装?もちろん少し丈夫なだけの普段着。

 ズボンの尻のトコとか皮で補強されてたりするけど防御力は限りなく0に近い布の服。そして手持ちの武器は腰に差した小剣のみ。

 ちなみに最初の嫌がらせとして俺の馬が用意されていなかったがジョシュアじーちゃんが気を利かせて乗騎を用意してくれた。

 ほんとこの人にはここに来てから世話になりっぱなしなんだよなぁ。

 てかバカ、何爺ちゃんの事睨んでんだコラ、ぶち転がすぞ?と言う意思を込めてこちらから思いっきり睨み返してやったら青くなってそっぽを向いた。


 何やら上機嫌な鬼婆ぁに気合を入れられ、見送られるバカとその取り巻き御一行。

 一方の俺は


「ハリス、怪我のないように」

「はい」

「ではいってらっしゃいのキスを・・・」

「あっ、それはいらないです」

「どうしてですか!?」


 フィオーラ嬢と


「ハリス・・・戻ったら武勇伝を聞かせるのだぞ!!」

「おう、有る事無い事語り尽くしてやる!」

「無いことは要らんからな!」


 メルティス嬢と


「「「「「いってらっしゃいませ、お早いお帰りをお待ちしております」」」」」


 なぜかずらっと並んで頭を下げる北都組と王都組の双方のメイドさんと


「ハリスくん」

「ああ、お姉様、その様な切なげなお顔はおやめ下さい・・・やっぱり行くの止めようかなぁ・・・」

「あなた私とお母様に対する接し方が逆じゃないかしらっ!?」


 オースティア様と


「ハリス、はやくかえってきてね?けがとかしちゃダメだよ?あ、ちょっとだっこ」

「はい、たかが竜退治如き、かすり傷すら負う事無く成し遂げて見せますよ。だっこですか?」


 チュッ。


「ハリス!?その子いまホッペにチュッてしましたよ?!?!」


 ヘルミーナ嬢に見送られての出立となった。

 あとフィオーラ様、少々うるさいです。


 うん?リリアナ嬢とアリシア王女?いや、さすがに他所様のお姫様に関係のない出陣の連絡なんてしてないです。

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