新しい年編 その24 デウス・エクス・マキナ
なんかこう・・・公開処刑と言いますか公然わいせつと言いますか非常にいたたまれない空気に包まれている俺氏。
俺の対面に座ってるリリアナ嬢とヘルミーナ嬢、隣に腰掛けるヴェルフィーナ嬢だけでなく後ろに立つ騎士様とメイドさんからもプレッシャーが掛かる。
膝の上のミヅキ?むしろ興味無さそうに俺の膝枕で寝だしたわ。
マジ自由神だからなコイツ。
あれだ、話の流れ的には
『今回の援軍の戦功に対してのご褒美的なアレでお嬢様に交際を申し込む』
感じを予定してたんだよ?
でもほら、いきなり『公爵令嬢と一緒にお風呂』の話からの『公爵令嬢と婚前交渉』の話に流れちゃったじゃないですか?
これ、どう言うふうにベクトルを正すのが正解なの?
むしろ正解とかあるの?
・・・よし、こんな時はあれだ!!
「ちょっと一度話をリセットして入場からやり直しませんか?」
「君、この状況でまさかの全部無かったこと発言とか凄いことするね!?」
だってほら、このままだと俺が戦争中にあちらの御令嬢、こちらの御令嬢と誑かしてまわったただの女好きのだらしないクズ野郎になっちゃうじゃん!!
もちろんそれを否定できる要素は何一つ持ってはいないのだけれどもっ!!
「ガイウス様、ブルートゥス様、マルケス様」
「ぶふっ、ほ、本当に真顔で話しを変えてきた・・・」
コーネリウス様、余計なチャチャを入れないように!!
「ぐふっ・・・ど、どうかしたのか・・・あらたまって・・・真顔で」
「くくくっ・・・卿は・・・貴族ではなく役者としてもやっていけそうだな・・・真顔で」
「ふ、ふふふ、ははははははは!!いや、相変わらず愉快な男なのである!!・・・真顔で」
うん、むっちゃお嬢様のお父様方が笑ってる。
あと真顔をそこまで強調する必要はないです。
いや、これから真剣な話・・・出来そうにもないよな。
まぁお通夜みたいな空気よりはいいけどさ。
「ガイウス様、ブルートゥス様、マルケス様!いえ・・・お義父さん!皆さんに助走をつけて殴られるくらいの覚悟は出来ております!どうか、どうか娘さんを!いえ、娘さんと?交際的な感じのオツキアイヲ・・・」
「ハリス?声がしぼんできていますよ?そして交際でも婚約でもなく『結婚』ですよね?」
「あっ、はい・・・娘さんを、嫁に、ください?」
予定では婚約だったんだけどなぁ。
もちろん逃げる予定だったとかじゃないからね?
ほら、ちゃんと自分のお家が出来てからあらためてご挨拶に伺って結婚の許可をいただくはずだったんだよ。
「こちらはむしろ最初からやると言っているのに今更何を言っているのだお前は。いや、そもそも既に手を付けているらしいのに娶らぬなどと言い出したら・・・とんでもない目に合わされるぞ?娘に。と言うよりも既に尻に敷かれておる様に見えるが」
「お父様、いいですか?私は聖女なのですよ?愛する殿方に何かをするはずなどないでしょう?三歩下がって夫を立てるに決まっております。ねぇ、あなた?」
聖女様・・・夜は、むしろ朝も昼も関係なく完全に性女様だったよ・・・。
そして『あなた』は止めてください恥ずか死にますので。
「そうであるな!家でも適齢期を逃しそうなちょっとおかしな娘がやっと自分で納得できる相手が見つかったのだから反対などしないのである!」
「父上!?ちょっとおかしいとはどう言う意味ですか!?あと適齢期も逃してはおりません!!ハリス、そ、その、これからもよろしくお願いするね?」
普通は変装出来るアーティファクトを宝物庫から持ち出してそのへんをフラフラしてる娘はちょっとオカシイと言われても仕方ないと思います。
「・・・ハリス、良かったよ、もしかしたらうちの娘だけほったらかしにされ(たら私がどれほどの気苦労をさせられ)るのかとドキドキしたのだからな?」
「お父様、行間で何か不快なことを考えてらっしゃいませんか?お父様の洗髪剤に脱毛剤を混ぜますよ?ふふっ、ハリスちゃん、おねぇちゃまはちゃんと信じてたよ?」
・・・嘘だっ!!完全に虚無の瞳だったもん!!
フィオーラ嬢やヴェルフィーナ嬢とは違いリリアナ嬢に一切手出ししてはいないんだけどね?
ほら、病気だって知っただけで心臓が苦しくて倒れそうになったじゃないですか?
もしも他の男と結婚とか聞かされたら・・・『初恋の人への想い』を舐めてはいけない。
もちろん『元ハリス君』の気持ちだけじゃなく俺も彼女にはそれなり以上の好意は持ってるんだ。
優しいし、好いてくれてるし、ヤンデレ属性とか大好物だし。何だかんだで甘えさせてくれる女の子はだいちゅきなのだ!!
あとお姉様似なのでおっぱいが絶対におっきくなるはず。
「待って、ちょっと待って!!妾、妾の父だけここに居ないのだけど!?大丈夫だよな?後で挨拶してくれるよな?信じてるからな?いや、ホントに今回のチャンスを逃せば出家が見えてくるんだからな?」
「まぁアリシア殿下は・・・追々と?」
「いや、このメンバーで一番急がないといけないのは妾なのだからな!?」
まぁ王女様につきましては・・・王様とちゃんと話してからだな、うん。
「ハリス、そちらの3名だけではなく私のこともお義父さんと呼んでくれて良いんだよ?ほら、君が私の名前を出さなかったから見ての通りそこそこの威力の攻撃を脇腹に受けているからね?」
「ハリス・・・ミーナは・・・だめなのです?いらないこなのです?」
「ヘルミーナ様はさすがにまだお小さいので・・・成人されてから、もしお気持ちが変わっていなければその時にでも」
「わかりました。では口約束ではなくちゃんとした契約書として残しておきましょう。もちろんハリスのことを疑っているとかその様なことは無いのですよ?後々細かな行き違いで揉めることがないように。そう、書面での契約はとても大切ですからね?」
「ヘルミーナ様、人格が変わってます。いつもの純粋な姫騎士様に戻ってください」
「ハリス、恋は・・・少女を大人に変えるのです」
いや、どちらかと言えば少女モードが擬態じゃないですかね?
「ハリス、私は?ちゃんとプロポーズされてないわよ?」
「いや、ややこしい話の途中なんだからヴィオラは後で良いだろうが」
「だって後回しにしたら絶対にすっとぼけるじゃない!!」
まぁそんなことも無きにしもあらず。
でもヴィオラは領地のこととかもあるしなぁ。
「閣下、嫁がいっぱいになりましたね!でも閣下は性欲の塊のような方なので10人や20人どうということはないですよね!」
「サーラ、ここには知らない・・・知ってるおじさんもいっぱいいるからね?風評被害を撒き散らかすのは控えようね?」
「ハリス・・・私のことも大事にしてくれるよね?捨てたりしないよね?」
「当たり前だろう?2人とも、何があっても俺の隣で、俺の後ろで、俺を護ってくれるだろう?」
「もちろんです!」「むろんだ!」
・・・この2人とそう言うことが無ければきっと今も踏ん切りが付いてなかっただろうなぁ。
「御主人様、私も末永くお側でお仕えさせて頂きたく・・・」
「ああ、約束だからね?これからも俺の身の回りの世話は全部ドーリスに任せるさ」
「・・・はい」
彼女に関しては有能過ぎてむしろこちらが手放せないとも。
でも男を駄目にするタイプのメイドさんなんだよなぁ。
一日中何も考えずドーリスの膝枕で過ごしてぇ・・・。
「ハリスさん!なんかいっぱい、いっぱいお妃様がいらっしゃいますし私1人くらい混じってても問題無さそうですよね!?」
「旦那様、私これでも商家の娘でございますので少々顔が広うございます。お側に置いて頂ければ何かとお役に立つかと」
「ハリスたん!!お姉ちゃんも!!お姉ちゃんも一緒に行きたいです!!」
「うん、君たちは公爵家のメイドさんだから俺が勝手にどうこう出来ないからね?」
ちなみに最後の高度な変態の人はいらないです。
・・・いったいなんだろうかこれは。
てかさ、俺にとっては一世一代の大勝負の気持ちだったんだよ?
それなのに、この世界での・・・むしろ3つの世界を乗り越えて初めてかも知れない恋の相手にプロポーズしたって言うのに・・・イマイチ自分に、おそらくは相手にも実感がないと言う・・・さすが俺!って感じだよな。
もちろん褒めてはいない。
まぁどうせまた2人きりになったら(おそらくは全員に)求婚のやり直しを求められるんだろうけどさ。
てかいきなり奥さんがいっぱい増えたから王様にそこそこ広めの土地をもらわないといけないんだよなぁ。
もうしばらくのんびりした生活はおあずけ・・・っぽいな。




