孤児院編 その8 何気ない日常・・・
さて、前置きがそこそこ長くなってしまったが・・・俺の新しい経験値稼ぎ&小銭稼ぎの『神様の像』の彫刻である。
クライアント(坊主)の注文としては『女神様(と言う名の聖女様に似た)の像』との事だ。
ん?『誰だよ聖女様・・・』って?そうだね、いきなり知らない人が出てきたら困惑しちゃうよね。
『聖女様』『キルシブリテの光の聖女』『キルシブリテの三大美女』とも言われる美少女なんだけどさ。
ああ、『キルシブリテの三大美女』には俺の知ってる女性も含まれている。そうだね、リリアナ嬢だね。
話は戻って聖女様、お名前は『フィオーラ(お名前)・ガイウス(お父上)・バーム(都貴族)・キーファー(家名)』一応名前の法則のおさらいもしておく俺、有能。
簡単に言えばフィオーラ嬢、ここのご領主様の御令嬢、公爵令嬢だな。
ちなみに俺の火傷痕を消してもらう予定だった人でもあるので顔は見たことはないけど名前だけは知っていた。治療費は金貨1000枚なり。
『聖女様』と呼ばれているところからもわかるように高位の光魔法の使い手らしい。
・・・いや、言いたいことはいろいろあるけど今は気にしないでおこう。
知らない顔の人に似せろとか無茶ぶりも過ぎると思うんだけど・・・あ、教会に肖像画があるんだ?公爵令嬢の肖像画が教会にあるのもどうかと思うんだけど聖女様なんて呼ばれてるしそんなものなのだろうか?知らんけど。
フィオーラ嬢の肖像画・・・はっきり言って物凄い好みである。『金髪の美少女を形にしたらこうなる』って感じだろうか?惜しむらくはもう少し年齢が上であれば言うことなしなんだけどなぁ。
で、そんな女神像の彫刻なのだが、草むしりよりもかなり高効率なのである。
教会の片隅で女神像『信仰心』を彫刻『彫刻と芸術』しながら賛美歌『歌唱とデュアルタスク』を歌う。鼻歌だけど。たったこれだけの作業で草むしりと同等、いや、移動などで時間の消費がない分より効率的に経験値が稼げるのだ!!
あ、信仰心については教会の片隅ってのが重要なのか部屋(倉庫)で彫刻しても上がらないみたいだった。いや、あんな暗いところで作業したいとは思わないけどさ。まだまだMPも低いのでわざわざ魔法の明かりを灯すとかしたくないし見つかったら目立つし。
煉瓦製そのままだと脆くなりそうなのに完成品の仕上げに硬化スキルをかけるために『硬化スキル』と『付与スキル』をランク3まで上げた。
まぁ硬化スキルにどの程度の効果があるのかは不明だけど気は心?とか言うしね?
・・・これで冬になっても安心である。
それからの毎日、いや、思ったよりも快適に過ごしている。
毎日外に出てた春夏に比べれば少々どころかかなり不健康そうな生活を送ってるけどまだ若いしさ、肩こりなんかも・・・結構あるけど治癒の魔法でなんとかかんとか?
てかさ、俺の彫ってる女神像、かなりの売れ行きなのだ。
『教会の片隅の床に座り込み賛美歌を歌いながら黙々と神像を彫り続ける少年』
全身火傷の痛々しさも相まってなかなかに神秘的と言えなくもない光景なのである。
ぶっちゃけると教会にお祈りに来る様な信仰心の厚い篤志家さん達にとても受けが良いんだよね。
それに目の前で彫ってるのを見れるので
『こんな子供が大人顔負けの神様の像を彫り上げることが出来るのは何かしらの神様の奇跡なのでは?』
なんて勘違いまでしてくれるので非常にありがたい。信仰心のかけらもない(いや、スキル経験値が貯まるから無いとも言い切れないのか?)俺なので申し訳無さもなきにしもあらずではあるが誰も損はしてないからいいよね?
そして教会の収入や評判にも貢献してるので俺に対する教会及び孤児院関係者の大人の評価が大幅に改善されたのも大きい。
・・・教会などと言う規律に世界一厳しいであろう場所のはずなのにお金で大人の態度がコロッと変化するとか心の底から世知辛い世の中である。
いや、地球であろうが異世界であろうがどんな宗教団体でも上に行こうと思えば・・・ね?
その分よく知らない子供たちにまで絡まれるんだけどさ。ほら、貧民には小銭とは呼べない額を稼げるようになったじゃん?だから俗に言う『カツアゲ』とかされるわけですよ。
渡すのかって?渡すわけないじゃないですか・・・。
既に基礎能力値がそのへんの大人よりも上になってるんだよ?パンを半分取られてたハリス君はもうどこにも居ないのだ。
じゃあどうするのか。至極簡単だよ?閉じられた子どもの世界で物を言うのは『腕力と暴力』。
説得?そんな無駄な時間を浪費するのは真っ平御免なのだ。
絡んでくるやつは全員ぶん殴ると言う『お前、前世は勇者なんじゃないのかよ・・・子供殴るとか・・・正気か?』と言う理屈もへったくれも無い反撃で潰して行くだけの簡単なお仕事である。
もちろん『体術スキルと格闘スキル』を取ったのは言うまでもない。両者の違いはよく分からないんだけどさ。『避け方と殴り方』みたいなイメージで取ってみた。
倫理観?泥棒にかける慈悲などはたして必要なのだろうか?子供だろうが大人だろうが悪いことをしたらそれなりの罰を与えるのに躊躇はいらないと思っている。
また臨時収入(女神像の売上分)が有ろうが無かろうが孤児院の食事に変化などは一切無かったことを追記しておく。
てかさ、彫刻を始めてしばらく経つとさ、今まで無視されてた知らない女の子が何人か親しげに声をかけてくるようになった。
もうコレ完全に『見てくれはアレすぎるけど手先は器用だし売り物になるレベルのもの作れるなら将来食いっぱぐれ無さそう』とか言う計算と打算だよね?
たまに(シーナちゃんと買い食いしたおすそわけのお土産で)おやつの差し入れしてるのもあるかも知れないけど。男?自分で稼いで食え。
でもすぐにシーナちゃんが追い散らしちゃうんだけどさ・・・。幼くとも女の子、怖い怖い。
シーナちゃん、冬になってからも一緒のベットで寝てるんだけど抱き枕扱いするのは止めて欲しいんだけどな?
ほら、全然成長してないけど一応女の子だからね?
最近は一緒にそこそこまともな食事(買い食い)がとれてるのでお肉も付いてきて柔らかくなって来たと言いいますか何といいますか・・・。




