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使い潰された勇者は二度目、いや、三度目の人生を自由に謳歌したいようです  作者: あかむらさき
東のはての賢者様編

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東の果て編 その15 『とある滅びかけの村の少女』

 あたしの名前はララ、辺境の村『ヴィーゼン』で暮らす鍛冶屋の娘。

 いや、鍛冶屋の娘だったって言うのが正しいのかな?今は鍛冶を生業にしていた父ちゃんも死んじゃったし・・・。

 ううん、死んじゃったのは家の父ちゃんだけじゃなく村の男の人の半分以上が死んじゃったんだけどさ。

 魔物がいっぱい出てきてそれを退治しようとご領主様と出ていったきり・・・みんな帰ってこなかった。


 ・・・お墓は一応母ちゃんのお墓の隣にたてたけど、父ちゃん、ちゃんとそこまで帰ってこれたかな?

 父ちゃんが死んで新しいご領主様だって言うあたしより少し年上の女の子がお金を配ってくれた。

 そんなもの・・・そんなものいらないから父ちゃんを返してよ・・・。

 悪いのは魔物で女の子は悪くないのは分かってるの。でも、でも・・・。


 そのお金はその後に来た商人さんから食べ物を買っただけで全部なくなった。

 いつもより高かったのは今から考えるときっと足元を見られてたからだと思う。


 それからひと月経ち・・・ふた月経ち・・・。

 魚もまともに取れなくなり、畑もまともに耕せなくなった村。

 あたしみたいなやくたたずが稼げる方法なんてあるわけもなくて、海で貝や小さな蟹を捕まえたり山に行って食べられそうな山菜を探したりでなんとか食べ繋いでいた。


 村のみんなも同じ様な状態で、もうどうしようもなくて、このまま飢えて死んじゃうのかなぁ・・・って思ってた、そんな時、あの人はいきなり現れた。

 見たこともない子供が村を見て回ってるなんて隣のお婆ちゃんが言ってたけど、こんな辺鄙なところに来る人なんているはずないと思ってたからちょっとビックリしちゃった。

 初めて見たあの人・・・綺麗な服を着た・・・貴族様?凄く、凄くカッコいい男の子だった。


 その次の日お腹も空いて、でもすることもなくて、ボーッとしてたら・・・いきなりお空から


『あー、新領主より通達する。全領民は明日の正午領主の館の前に集まるように。冬に向けた食料の配給などの話もあるので必ず参加するように。尚、参加無き者には以降一切の何物の支給も行わない』


 って大きな声が、それも1日になんども。

 えっ?食料の配給?食べ物くれるの?


 次の日、言われた通りにご領主様のお屋敷に向かう。人がいっぱい・・・父ちゃんたちを見送った時もこんなふうにみんな集まってたな。

 ・・・いや、それよりもあれ・・・お屋敷、あんなんじゃなかったよね?いつの間に建て替えたの?あれだけ大きくて立派なお屋敷建てようと思ったら人もお金もいっぱい掛かるよね?

 ・・・あたしたちが食べ物にも困っているのにご領主様はお屋敷の建て替えをしてたんだ?心の中が黒い気持ちで押しつぶされそうになる。


 その後は少し高い所に立っている男の子と新しいご領主様が、いえ、ほとんどは男の子が話してるだけだった。

 て言うか怒って騒ぐお爺さんやおばさんに対して男の子が


「面倒な連中だな、よし、そこのお前、黙るかこの場で全員で消し炭になるか選べ」


 って言って大きな!凄く大きな火の玉の魔法を使おうとした時はもの凄く怖かった。殺されちゃうかもって思った。・・・屈み込んで歯をカタカタ鳴らしながら・・・少し、その・・・。小さい子はみんな泣いてたし・・・。

 でも怒ってる男の子を新しいご領主様が止めてくれたのでなんとか死ななくてすんだみたい。

 その後は名前とか歳とか聞かれただけで特に酷いこととかはされなかった。ほっとした。

 あ!それで、帰りに食べるものを貰えたの!いっぱい!たぶん一週間分くらいあったんじゃないかな?


 ・・・でもあの男の子、皆に食べ物を配ってる時に袋とか箱とか持ってなかったのにどこから出してたんだろう?


 そのあと?そのあとはね!もうね!凄いの!!

 あたし、お家貰えたんだよ!新しいお家!

 今まで住んでた木の板を柱に貼り付けただけの冬になれば隙間風でガタガタ震えるようなお家じゃなくご領主様のお屋敷みたいな煉瓦で出来た立派なお家!

 それも何もなかった所にポーンって出来ていくんだよ!?たぶんご領主様のお屋敷もあの男の子が建てたんだろうなぁ。

 男の子、おとぎ話に出てくる魔法使い様よりももっともっと凄い魔法を使う魔法使い様。あっ、たぶん魔法使い様じゃなく賢者様って言うんだよね?


 その後もお風呂って言うのを建ててくれたの!知ってる?温かいお湯に身体をしずめるんだよ?そしたら暖かくてすごく気持ちいいの!

 あたしは父ちゃんが海の近くに仕事場があったから海側の村に住むことにしたんだけど・・・賢者様、あたしでも出来るお仕事を作ってくれたんだ!

 海の水からお塩を作るお仕事なんだけどね?みんなで水の入ったバケツを持って競争したりしてるとお仕事って言うより遊んでるみたいな感じになっちゃって叱られないか少し心配。


 ああ!そう、お仕事って言えばお仕事場が出来た日!!賢者様が直々にみんなに『あめちゃん』って言うのをくれたの!!

 すごいのよ?あめちゃん!まるくて甘いの!物凄く甘いのよ!きっと貴族様しか食べれられない様な高い食べ物だと思うのに村の人全員にくれたの!

 その後もたまに貰えるんだけどいつ食べても甘いの!


 あ、あとね・・・一度だけ・・・頭を撫でてもらったの・・・。

 みんなとまた追いかけっこしながらバケツで海水を運んでた時に丁度賢者様がみえられて・・・。

 最初は叱られるっ!!って思ってビクビクしてたんだけど「よく頑張ってるね、でも走って怪我しないようにね?」って。

 すっごく優しそうな笑顔で・・・優しく・・・ふふっ。


 村の人達もひと月前までみたいな暗い顔をした人はだれも居なくなったしごはんも毎日お腹いっぱい食べられるようになったしお風呂にも入れるようになったし賢者様がこの村にこられてからはみんな、みんなまた笑えるようになったんだ。


 あ、そう言えば今日は賢者様直々によるごはんをごちそうしてくださるみたいなの!

 ・・・お仕事はお休みにしていいって言われたけど・・・なんとなく落ち着かないから今日もお仕事お仕事!

 あたしだけじゃなくみんなしてるから怒られないよね?


 はぁ・・・ごはん楽しみだなぁ。ううん、ごはんよりも賢者様と会えるのが・・・すごく楽しみだなぁ・・・。

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