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1-4 初めての魔法

「さあ!魔法のお勉強をしますよ!」


のどかな昼の日光が差し込み、本に囲まれた静かな空間にラナの元気な声が響いた。


生徒として招かれた俺は備え付けのテーブルセットに座って、彼女に問いかけた。


「えっと、ラナがおしえてくれるの?ていうかラナって魔法使えるの?」


「ふっふっふー。いい質問ですね~生徒ナギサ君。何を隠そう、君を召喚した魔法を使ったのはこの私なんですよ!」


ドヤ顔がすごい。


そして今日のラナの服装は昨日のドレスとは打って変わって白のドレスシャツに黒のシンプルなスカート、極めつけは伊達メガネと、女教師の姿だったのだ。


どうやらそれに合わせて俺の呼び方もナギサ様からナギサ君へと変わっているようだ。


はっきり言おう。ものすごく似合っていると。


「ここは、我が国が誇る図書館です。ここにはたくさんの本があって、政治や経済から、冒険小説のような娯楽本。そして魔術に関する本まで数多く揃えているんですよ」


「なるほど、ここで魔術の基礎的なものを本を読んで学ぶんだね。」


心做しか楽しそうなラナの声にこちらの気分まで上がってきた。


どんな魔術が学べるのかとワクワクしながら問いかけると、ラナは静かに首を横に振った。


「いえ、その前にまずは生徒ナギサ君の魔法の属性調べたいと思います」


「属性、ですか?それは火とか水とかそういう?」


「さすがナギサ君、そのとおりです!いいですか?魔法には火、水、風、土、闇、光の六つの基本属性があります。今回はナギサ君にどの基本属性が向いているのか一目で判断しちゃいます!このツボで!」


…………。


一つ五万円くらいで謎の業者から売りつけられそうなツボが机の上に置かれた。


しかし、これでも立派な魔道具らしく、魔力を注ぐと注ぎ手の得意属性に応じて火なら赤色、水なら水色と言うような炎が出てくるようだ。


「さあ、魔力を注いでみてください。何色になるのか先生、わくわくしちゃいます」


はしゃいでいてテンションの高いラナ先生にうながされ、俺はツボに手を置いて魔力を流してみることにした。


すると、ボワッと音がしたかと思うとツボの中には綺麗な水色に輝く炎が立ち上った。


「わあ……純粋な水の属性ですか。大変ですね……」


つぶやきに反応してラナを見ると、どこか複雑そうで微妙な表情をした彼女がいた。


「水ってハズレなのか?」


「いえ、ハズレではないですよ。確かに水属性は6つの基本属性の中では最弱と言われる性能ですが、その分氷や毒属性などの強力な派生属性に恵まれているので、全体で見ればとても強力なものになっています。しかし……」


「しかし?」


「もし、いずれかの派生属性かに適性があれば、その属性の色が水色の中に混じるはずなのですよ。ナギサ君はそれが全く見られない純粋な水色ですので……その……」


「やばいと」


「はい……」


ラナはとても言いにくそうに俺から目を逸らしながら答えてくれた。


もしかしたら傷つけてしまったかもしれないと思いしょんぼりしているラナを見て俺は慌てて声をかけた。


「大丈夫だよ!俺って異世界人だからさ、もしかしたら適正なくて魔法自体使えません。みたいなことも有り得たじゃん?だから使えるだけ良かったよ!」


「本当ですか……?その、でも。」


「いいからさ、気にしないでよ。そんなことより水魔法ってどんなのがあるの?教えて!()()()()?」


「先生…。ふふっ。はい!任せてください!」


どうやら調子を取り戻して貰えたようである。先生呼びをされるのが嬉しいらしい。


本棚の間をパタパタと動き回って本を集めている彼女を見ながら俺は「ステータス」と唱えた




戸田ナギサ


所属 フィーラル王国


Lv 1

生命力 80

魔力 140

攻撃力 2

防御力 5

魔法攻撃力 27

魔法防御力 12

敏捷値 11


【スキル】鑑定(初級)、水魔法(初級)、異世界言語理解(初級)、領域作成(初級)、魔法具召喚


【称号】異世界の勇者、短杖の使い手




ずらりと眼前に半透明のウインドウが開かれる。


これは今朝ラナに教えてもらった魔法だ。この世界では全員が使えて、身分証明にもなる大切な魔法らしい。


この世界の人のLv1平均は生命力と魔力が100、その他は10程度の数値だそうだ。しかしこれが勇者となると一気に数字は跳ね上がり、生命力や魔力は1000越え、ほかの数値も低くて100前後といったまさしくチートのようなステータスになるらしい。


そう考えてもう一度自分のステータスを見てみるとそこにはまさしく平凡。一般人を集めた一クラス30人の教室があったら、上位10人にギリギリ入れない程度の微妙な数値が書かれていた。


まあ……Lv1だし、伸び代に期待かな?などと考えていると、1冊の本を抱えたラナが小走りに戻ってきた。


「ナギサ君。この本なんてどうでしょう?」


ドン。と重みを感じる音を響かせて分厚く豪華な装丁の本が机に置かれた。試しにページをめくってみると、初見は帰れ! と言わんばかりの外装とは打って変わって図や挿絵つきの分かりやすそうな文章が目に入ってきた。


「魔術は初めてだと思うので、先生が知る限り一番基本に忠実で丁寧な本を選びました。できそうですか?」


「うん。これなら分かりやすそうだ。絵もついてるし、ありがとう。ラナ先生」


「せっ先生…っ。こほん、先生ですから、当然ですっ」


お礼を言うと、隣で何やら不思議な事が起こった感じがしたが、見なかったことにして俺は本を夢中で読み進めた。


ちなみにラナさんは光魔法が使えます。どんなのかと言うと、ビーム出したり蘇生したりできます。設定上はかなりのチートにしています

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