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2-7 出発

翌朝。たっぷり休んで英気を養った二人、ナギサとフィアは、馬車に乗り込み出発の準備をしていた。


「本当に色々ありがとうございました。こんなにお世話になってしまって」


「いやぁ、いいって。兄貴に言われたし、何より、あの辺に身一つで送り出すなんてそいつを殺すようなものだしね」


エルサさんは頭の後ろで手を組みつつ、笑いながらあっけからんと言い放った。しかし、次の瞬間ふっと感情を落としてこう言った。


「でも、気をつけたほうがいい。途中までは問題なく進めるだろう。問題は砂漠だ」


「砂漠?竜人の国じゃなくてですか?」


「「違う」」


横で荷物を見ていたフィアとエルサさんの声が重なる。その声は恐怖に彩られていた。


「……どうやらフィアちゃんは知ってるみたいだね。あの砂漠は魔境だ。群れで動き、獲物を骨の髄まで食い尽くす群狼たち。砂の中から強襲してくる”女王”。他にも沢山だ」


「”女王”はだめ。絶対に勝てない。子供だけでも数がいれば厳しい」


彼女たちは”女王”なるものを恐れているようだ。気になって俺は聞いてみる。


「”女王”ってなんだ?子供?どんなやつなんだ?」


「さあ?太古の戦争の時に”ゼルド”から召喚されたバカみたいにでっかいムカデらしいけどね。何せ出会って生き残ったやつがほとんど居ないんだ。でも子供ってのはわかるぞ?あたしも戦ったことがあるからね」


フィアが「すごい……」と声を漏らす。それを聞いてエルサさんは得意げな顔をした。


「まあ子供ってのは簡単に言えばこれまたでっかいヘビだな。灰色の鱗で見つけにくいんだが、あいつらが移動した通り道には波状の波紋が残る。一体一体はあんまり強くないから注意していけば大丈夫だ。」


「その辺は覚え書きとしてメモを入れてあるよ」と彼女は荷物を顎で示す。


「あとはこれだけだな。砂漠の所々に紫色の植物が生い茂った場所があるんだ。そこには近づくなよ。”ゼルド”への入口があるからね」


「”ゼルド”?聞いたことがないですね」


俺がそう問いかけると、エルサさんは羨ましいものを見るような目を向けてくる。フィアは話に飽きたのか、前方で馬と戯れていた。


「さあね?あたしも詳しくは知らないんだ。てか話したくないな。あんまりいい経験じゃあ無かったしねっ!」


よっこいしょとエルサさんは座っていた切り株から立ち上がって、話は終わりだとばかりに手をひらひらと振った。


「よっと。おーいフィアちゃーん!なにしてんのー?」


声をかけられたフィアは馬を撫でていた手を止めて、こちらを見た。


「ん。マモちゃんかしこい。撫でてた」


「名前つけてたのか。まあ、長い旅になりそうだしいいか」


フィアは馬に、放置するとミサイルのように射出される人参を食べさせている。 マイペースな彼女に微笑みながら俺は口を開く。


「そろそろ出発しようと思うんだ。いける?」


俺の言葉にフィアは頷きながら、いそいそと馬車によじ登って行った。


「出発かい?」


「はい。あまり長居するのも悪いですし、俺には目標があるので。それを求めて世界を回るつもりです。」


「愛しの王女サマを助けるんだってね?それなら砂漠の中心にある遺跡を目指すといい。まだゼルドに飲み込まれていなければあるいは……。何かあるかもな?」


茶目っ気たっぷりにウインクをして俺を馬車へと押し込む。


「うおっ、ちょっ!なんすか!?遺跡って?!もっと詳細を……」


「その辺はあたしにも分からん!噂とそこから来る勝手な想像だ!」


「開き直った!この人!」


最後の最後までぎゃーぎゃーと言い合いながら荷物を詰め込んで、出発の準備をする。最終的に馬車の中には三つの小さな木箱。それぞれ水、食料、雑貨と入っている。


御者台に座って手綱を握りながら俺とフィアは二人で彼女。エルサさんに別れの挨拶をする。


「ありがとうございました。絶対帰ってきて馬車はお返ししますので」


「おう!ゆっくりでいいよ。だけど引き際は見極めておけよ?」


「ん。がんばる」


教えてもらった数々のこと。それをもう一度自分の中で咀嚼して馬。マモちゃん(フィア命名)にムチを打って馬車を進め始める。


「生きて帰ってこいよーー!」


「「はーーい!!」」


不吉な事を大声で叫ぶエルサさんに、同じく声を張り上げて叫び返して大きく手を振る。


目指すは山道を南に約四日。砂漠と草原の中間の街。ネリサだ。


馬車に揺られながら二人は過酷な土地に向けて歩みを進めて行った。





お話の関係上短いです。というか作者もお話のふくらませ方が分からずとても書くのが難しかったです。説明会みたいになっちゃいました。

結構エルサさんのキャラは気に入っています。友達に欲しいタイプ。

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